ODA特別委員会でケニア大使に質問
2016年05月11日
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。マイナ大使、アフォワキ・ハイレ大使、本当にありがとうございます。
まず、マイナ大使にお聞きをしたいんですけれども、ケニアの電力割合についてでございます。
少し調べさせていただきますと、ケニアは、火力発電での電力が三三%、水力発電が三七%、地熱発電が二七%、地熱以外の再生可能エネルギーが約三%となっておりまして、自然エネルギーが占める割合というのが六割を超えております。とりわけ、地熱発電におきましては日本からのODA関連での支援というのもあろうかと思いますが、三菱重工であるとか、あとは東芝であるとかが地熱発電をつくっているということも調べて分かりました。日本では原子力発電をつくっている企業が御国では地熱発電をつくっているということに少し驚いたのですが、非常にこの割合、先ほどケニアは工業化を目指しているということもありましたので、やはり化石燃料に頼った中での工業化ということであれば様々な公害の問題というのも今後出てくる可能性がありますので、非常に再生可能エネルギーに依拠した電力構成というのはすごいなと思っているんですが。
私がお聞きしたいのは、そもそもなぜケニアがこの再生可能エネルギー、自然エネルギーに依拠して電力を賄っていこうということを考えたのか、またその哲学というのが何なのかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(ソロモン・カランジャ・マイナ君)(通訳) 御質問に感謝いたします、辰巳先生。大変関連した重要な質問だと考えます。
ケニア政府は、意図的に再生エネルギーということを政策として掲げてまいりました。もう既にデータ、調査をしていらっしゃると思いますけれども、アフリカにおけるケニアというのは主導的な国です。つまり、再生可能エネルギーに関してかなりエンゲージしている国であるということです。それから、地熱のプロジェクトに関しても最大のものを持っているというのがその証拠だと考えます。この一月、実際、日本とケニアの間で四億八百万USドルに署名し、百四十メガワットの地熱の事業を開始するということになっています。これは今ある既存のものにプラス上乗せしてということです。
この工業化というのが私たちの進むべき道だというふうに私は考えております。そして、工業化のためにはもちろん十分なエネルギーというのが必要になってくるわけです。でなければ工業化は可能ではありません。ですからこそ、私たちは水力発電だけではなく再生可能エネルギーというような形で、最近石油の発見もありましたけれども、エネルギーの多角化というのを行ってきたわけです。意図的な政策としてやってきたということなんです。私たちは意図的に、私たちの将来の資源が枯渇されないように、そしてそのために私たちは日本とパートナーシップを組んできたわけです。大企業の名前が幾つか挙がりました。すばらしい仕事をケニアにおいてはしてくださっています。
私たちは、実はアフリカの角だけではなく、世界中の模範となっている。私たちの再生可能エネルギーのリソースの政策に関しては大変誇りに思っております。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。大変すばらしい取組だと思います。
もう一点、ケニア大使にお聞きをしたいんですが、これは少しセンシティブな問題かもしれませんが、少し先ほどありました難民とテロの問題であります。
先ほどソマリアでの不安定ということが、今もう最高で六十万人の難民ということに膨れ上がっているということに私も少し驚いたんですけれども、先ほど、この難民キャンプの二か所を閉鎖しようというふうに考えているというお話もあったかと思います。
一方で、この間、ケニアとソマリア間での国境封鎖ということもされてきたと思うのですが、しかし国境封鎖以後も難民が増え続けている、国境封鎖以後も流入が増大をしているというのも事実ではないかなというふうに思っております。
この難民問題、そしてそれに起因するテロの問題をどのように、改めて、重複するかもしれませんが、解決しようと考えておられるのか、また、国際社会、そして日本がどういう役割を果たしてほしいというふうにお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(ソロモン・カランジャ・マイナ君)(通訳) 辰巳先生、御質問に感謝いたします。大変重要な質問をしてくださいましたし、大変時宜を得たものであり、ケニアといたしましても大変真剣な取組をしている最中でございます。
テロとの闘いということで触れさせていただきましたが、ケニア政府は二つの難民キャンプを封鎖する、カクマで、閉鎖するという決定をいたしました。それは、国家の安全保障が真剣な形で損ねられているという事実に基づいたものです。
テロ攻撃がケニアであったことは皆さん御存じのことだと思います。これらは全てこの難民キャンプに起因した攻撃であり、UNHCRがなかなかそういったことをスクリーニングすることは難しい、どういった人が難民キャンプに入るべきなのか、スクリーニングが難しいということなんです。
そういったこともあり、その国境において統合的な管理のシステムにおいて日本に協力していただくということはとても重要になります。八百キロメートルの国境を管理しなければならないということなんです。
それから、辰巳先生、またもう一つとても重要なことがございます。それは、ケニアが過去二十五年、一体どういったことをしてきたのか。
環境の破壊というのが大規模に進んでまいりました。それから、不法な武器がソマリアから流れてくるということがありました。それから、海賊の問題というのは、皆さんよく御存じのように、大変大きな悪影響をケニアだけではなくほかの東のアフリカの国にも及ぼしてきたわけであります。しかし、国際的な海洋制度を通し、そして日本も参加してくださっている海賊対策を通し、ケニアは支援を受けています。そして近隣諸国も支援を受け、その海賊活動というのはなくなってきているわけです。アルシャバーブ、それ以外のグループは、そういったこともあり、また別のリソース、別のチャンネルを求めているということなんです。
つまり、野生動物などを使ったビジネスを展開しようとしております。ケニア政府としてはそれを許すつもりはありません。皆さん御存じかもしれません、二週間ぐらい前に国家元首が象牙の禁止をいたしました。そして、これらを全て没収し、そして焼却するということを行いました。大きなショーだったわけです。そのことによって、こういったチャンネルを使うテロリスト、資金を得ているそういったテロリストを許さないという意思を示したということなんです。
国際社会には是非そういったところでの支援をお願いしたいと思います。難民が元の国にしっかりと送還されるように、帰還できるようにお手伝いをいただきたいと思います。長い間、それらの難民を受け入れてまいりましたけれども、ずっと永遠にというわけにはいかないわけです。難民キャンプがあるところで耕作を行うことができる場所というのもあるわけです。
辰巳先生、まとめに入らせていただきます。
私が強調させていただきたいのは、安定したソマリアというのがとても重要だということなんです。アフリカの角にとって、アフリカの角、この地域が繁栄するためにはそのことが必要です。先ほど言及させていただきました、プレゼンの中で御紹介した事業でありますけれども、これらは全て合わせた形でこの地域の平和を促進するようなものでなければなりません。ですからこそ、国際社会には是非ケニアにお手伝いをいただき、そして、アフリカの角のお手伝いをいただき、平和と安定をソマリアにもたらしていただきたいと考えます。
大変重要な御質問をいただき、感謝をいたします。
○辰巳孝太郎君 安定したソマリアということでいえば、やはりテロ活動に参加をする若者などが貧困の中でそういう活動に参加するということもあろうかと思いますので、日本としては貧困撲滅のために引き続き国際社会と連携して力を尽くしていきたいというふうに考えております。
時間が来ましたので、アフォワキ・ハイレ大使にはまたの機会に質問させていただきたいと思います。
ありがとうございました。