「森友」公文書改ざん 特例決裁 昭恵氏が転換点
「森友」解明 証人喚問が不可欠
「改ざん前」文書 記載は「総理夫人だから」
学校法人「森友学園」への国有地格安売却をめぐる財務省の決裁文書改ざん問題で、参院予算委員会の集中審議が19日、実施されました。日本共産党から質問に立った小池晃書記局長と辰巳孝太郎議員は安倍晋三首相らの責任を明らかにし、首相の妻・昭恵氏や佐川宣寿前理財局長らの証人喚問を強く求めました。(論戦ハイライト)
国有地売却 値引きの根拠崩れる
「3.8メートル」の資料なし 辰巳氏指摘
辰巳氏は、森友学園に国有地が約8億円値引きして売却された根拠となっている地中ゴミについての政府答弁が虚偽であることを国土交通省の資料から浮き彫りにし、同省と財務省が「二人三脚で8億円の値引きをした」と追及しました。
国交省は、くい打ちの部分は深さ9・9メートル、それ以外には同3・8メートルまでゴミがあることを前提に、約8億円の値引きを算出しました。
これについて辰巳氏は、森友学園側の業者が作成し、国交省が「3・8メートル」の根拠とした試掘現場の写真を紹介。会計検査院の戸田直行第3局長から、写真に写っているメジャーの目盛りが「3・8メートルを正確に指し示していることを確認することができる状況は写っていない」「ボーリング調査で(ゴミが)確認された最大深度は3・1メートル」との答弁を引き出しました。
辰巳氏は、「3・8メートルの根拠を示す客観的な資料は全くない」と指摘。石井啓一国交相は、試掘現場の写真の信憑(しんぴょう)性について「工事関係者に確認しているが、説明をいただいていない」と答弁しました。さらに、辰巳氏が同省職員に聞き取り調査をしたのか詰め寄ると、石井国交相は答弁できなくなりました。
辰巳氏は、売却が原則の国有地を同学園には特例的に貸し付ける契約を結んだ経緯をめぐっても安倍昭恵氏が関わり、財務省本省の指示の下で進んだのではないかと追及。本省の指示を否定する太田充理財局長に対し、2月に開示された同省の法律相談文書の一つに「財務本省理財局より短期賃貸借(貸付期間3年)を利用した処理案を検討してもらいたいとの指示を受けました」との記述があることを挙げ、本省の「指示」を証明しました。
辰巳氏は、真相究明のため、国政調査権の発動と、昭恵氏ら関係者の証人喚問を求めました。
論戦ハイライト
「森友」公文書改ざん 特例決裁 昭恵氏が転換点
学校法人「森友学園」への国有地格安売却に関する財務省決裁文書改ざん問題の集中審議が行われた19日の参院予算委員会。日本共産党の小池晃書記局長、辰巳孝太郎議員は、安倍晋三首相の責任や首相の妻・昭恵氏と国有地取引とのかかわりなどを具体的に指摘。昭恵氏や佐川宣寿前理財局長らの証人喚問を求めました。
本省指示で貸し付けへ
辰巳議員が追及
森友学園の資金難のため、近畿財務局は2014年4月には同学園との交渉打ち切りを検討していました。辰巳氏は「森友事件の核心は、(国有地の)貸し付け契約に後ろ向きだった国の対応が一変したことにある」と指摘しました。
辰巳 14年4月、(学園理事長だった)籠池(泰典)氏が1枚の写真を提示した。籠池夫妻と安倍昭恵氏が学校予定地を見学している写真だ。このとき、二つの要望を突き付けた。審査の延長、契約を締結することを証する旨の文書を豊中市に提出すること。どういう結果になったか。
太田充理財局長 いずれも基本的にその方向で進んでいた。
辰巳 それだけでない、売り払いを前提にした貸し付けに「協力する」と変わる。なぜか。本省からの指示があったのでは。
太田 本省が指示するのは普通の状況ではない。
辰巳 今年になって出てきたリーガル(法律)文書で、近畿財務局管財部から法務監査官に宛てたメールがある。14年9月1日のものだが、「財務本省理財局より短期賃貸借(貸し付け期間3年)を利用した処理案を検討してもらいたいとの指示を受けた」とはっきり書かれている。
本省の指示という“証拠”を突き付けた辰巳氏。太田理財局長はまともに答えられません。
辰巳氏は「三くだり半つきつけて打ち切り寸前だったものが、籠池氏が3ショットの写真を見せた途端に近畿財務局は本省に相談して、本省から指示をして貸し付け契約について協力すべしとなった」と、昭恵氏の影響で財務省の態度が変わった経過を指摘し、「事実関係を見れば、昭恵氏が貸し付けに影響を与えたことは明白だ」と強調しました。
決裁文書を改ざんした際、財務省が国交省にも改ざんを求めたとの報道について、辰巳氏は石井啓一国交相に確認。石井国交相は「現時点で事実関係が確認できていない」と否定しませんでした。辰巳氏は「(報道が)本当なら、昨年の時点で国交省は改ざんを知っていた。財務省と国交省はぐるでやっていたという話だ」と述べました。
辰巳氏は、8億2千万円引きの根拠となった地下のごみ問題をただしました。国交省は、くい打ち部分は地下9・9メートル、それ以外は3・8メートルまでごみが埋まっているとして値引きを計算しています。辰巳氏は、工事業者が国交省に提出した現場写真を示してただしました。
辰巳 ホワイトボードに書かれている深さは「3m」。データでは4メートルまで試掘したという記録になっているが、「3m」に見えないか。
石井国交相 確かに看板は深さ「3m」と書いている。昨年から工事関係者に複数回確認しているが、いまだに説明がない。
辰巳氏は、同じ写真を使い回している疑惑もあると追及。石井国交相は「その点についても昨年から工事関係者に回答をいただけていない」と答えました。
辰巳氏は「3・8mの根拠は客観的な資料ではまったくない」と断じ、国会法104条による国政調査権の発動、関係者の証人喚問を求めました。
財務省、改ざん依頼か
辰巳質問 国交相は否定せず
学校法人「森友学園」との国有地取引をめぐる公文書の改ざんを、財務省理財局が国土交通省に依頼していたとの報道(19日、日本テレビ)について、石井啓一国土交通相は同日、「事実関係を確認したい」として否定しませんでした。参院予算委員会で、日本共産党の辰巳孝太郎議員に答えました。
国交省は、公文書改ざん疑惑の報道(2日)を受けて、同省保有の「貸付決議書」と、財務省が初めに国会に開示した同決裁文書に違いがあることを同日に確認。5日には財務省へ報告するとともに、同省が保有する文書の写しを提供したと説明してきました。
日テレによると、理財局は国交省に対して近畿財務局と同じように改ざんするよう依頼していたとしています。政府は、同決裁文書を含む14件の決裁文書が昨年2月下旬から4月に改ざんされたことを認めています。
辰巳氏は、「報道が事実なら、昨年の時点で国交省は改ざんを知っていたことになる。財務省、国交省ぐるみの改ざんだ」と批判しました。
2018年3月20日付新聞赤旗より転載