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国会会議録

学力調査問題「人事評価は適切に」 文科相「大阪市に再通知する」

2019年03月20日

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(写真)質問する辰巳孝太郎議員=20日、参院文科委

柴山昌彦文部科学相は20日の参院文教科学委員会で、大阪市が同市と大阪府独自の学力調査の結果を小中学校長の人事評価や給与に反映させようとしている問題で、「人事評価は適切になされるべきであり、大阪市に再度通知したい」と述べました。日本共産党の辰巳孝太郎議員への答弁。

柴山文科相が言及したのは、全国学力テストについて「数値データの上昇のみを目的」とする「行き過ぎた取り扱いがあれば、(同テストの)趣旨・目的を損なう」とする同省初等中等教育局長通知(2016年8月28日付)。

辰巳氏は、同市の方針は「政令市で2年連続最下位」という学力テストの結果を問題視し、点数を上げることが動機になっていると指摘。「序列化や過度な競争が生じないよう、十分配慮する」よう促す全国学力テストの実施要領や局長通知に反する“禁じ手”だとして、国の認識をただしました。

柴山文科相は「調査結果を指標として活用する場合は、調査の趣旨・目的に沿った扱いとなるよう留意してほしい」と答え、人事評価について「再通知したい」と述べました。

辰巳氏は、子どもの学力には、貧困など家庭の社会経済的背景が影響していると指摘。同市では講師70人が未配置で授業に穴があく事態が起きており、「大阪の貧困の実態と劣悪な教育条件の改善こそが必要だ」と強調しました。文科省による全国学力テストの成績公表が、大阪市の禁じ手を誘発しているとも指摘し、成績公表の中止を求めました。

 

2019年3月21日(木)赤旗より転載

議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
全国学力テストと大阪で進む教育破壊の問題を取り上げます。
大阪市は、文科省実施の全国学力テストの結果が政令市で二年連続最下位だったということを受け、市長の号令の下、テストの成績と教員の人事評価を連動させる制度の検討を表明をいたしました。これに対して、過度な競争、序列化につながる、余りにも短絡的だと、現場の教師や保護者、専門家から批判や懸念が相次いでおります。
まず、大阪市が当初示した案にある、全国学力テストの結果を人事評価へ活用するということについて聞いてまいります。
二〇一九年度の実施要領では、この調査の目的あるいは配慮事項についてどのように記されていますか。
○政府参考人(清水明君) お答えいたします。
全国学力・学習状況調査のまず目的でございますが、義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握、分析し、教育施策の成果と課題を検証し、その改善を図る、これが一点でございます。二点目が、学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の改善等に役立てる。そして、そのような取組を通じて教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する。この三点が目的でございます。
そして、調査結果の公表に関しましては、全国学力・学習状況調査に関する実施要領の記載でございますが、教育委員会や学校が保護者に対して説明責任を果たすことが重要である。一方、調査により測定できるのは学力の特定の一部分であること、学校における教育活動の一側面であることなどを踏まえるとともに、序列化や過度な競争が生じることのないようにするなど、教育上の効果や影響等に十分配慮することが重要である、その旨を定めているところでございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、今説明がありましたけれども、この学力テストの結果を校長や教員の人事評価や給与に反映させるということは、これ、今ありました実施要領では想定されていないと、こういうことでよろしいですね。
○国務大臣(柴山昌彦君) 今局長からお話をさせていただいたとおり、この調査結果は、実施要領において調査の目的を達成するため、自らの教育及び教育施策の改善、各児童生徒の全般的な学習状況の改善などにつなげることが重要であることに留意して適切に取り扱うものとするというふうに定めているにすぎません。
ということで、確かに、この定めは調査結果を教師の人事評価等に用いることを排除しているものではありません。調査結果の取扱いは各教育委員会の主体的な判断の下で判断、実施されるべきものであると考えておりますが、ただ、これも局長からお話があったとおり、本調査の趣旨、目的や、調査により把握できるのは学力や学校教育活動の一側面にしかすぎないわけですから、その方法等について、仮に教師の人事評価等に用いる場合については適切に配慮、検討していただかなければいけないというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 私は想定されていないと思うし、大臣が今おっしゃったように、これ、どういうことなのかと、それが何なんだというのをちゃんと見ていかなきゃならないということだと思うんですね。
今回、大阪市は、この全国学テの活用は断念はしました。ところが、この学テと相関関係にあると言って、大阪府独自に実施しているチャレンジテストと、大阪市独自に実施しているこれ小学校三年生から六年生の経年調査というのがあるんですが、これを用いて評価をすると言っているんですね。ですから、国のテストではなくて独自のテストでやるんだから構わないだろうと、こういう理屈なんですね。
念のため、この大阪独自のテストの法的位置付けについて確認をしておきたいんですが、これ、全国の学テと大阪府が実施するチャレンジテストのこの法的根拠は何ですか。
○政府参考人(清水明君) お答えいたします。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十四条第二項におきまして、文部科学大臣は地方公共団体の長又は教育委員会に対して、都道府県の教育委員会は市町村長又は市町村の委員会に対し、それぞれ都道府県又は市町村の区域内の教育に関する事務に関し、必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出を求めることができるという規定がございます。全国学力・学習状況調査はこの条項に基づいて実施しておるところでございます。
また、大阪府が独自に行っております学力調査でありますチャレンジテストにつきましても、大阪府に確認したところ、同じくこの地教行法の第五十四条第二項を法的根拠としているということでございます。
○辰巳孝太郎君 同じなんですよ。ですから、違いは実施主体が文科省か大阪府教育委員会か、その点でしかないわけなんですね。同一の法的根拠をもって行われる行政行為ということです。
私は大阪市の公立中学校の現役教師の方からも話を聞きましたけれども、今大阪の状況というのは、教師も生徒もテストに追い立てられているという恐ろしい実態が蔓延しているということが分かってきました。
例えば、中学校三年生は、年間、土日とか春休みとか夏休みとか冬休みを抜けば、大体授業日というのは、これは全国どこでも二百日ぐらいなんですね。この二百日の授業日のうち平均して二十一日から二十二日がテスト日なんです、大阪市の中学校三年生は。つまり、実に授業日の一割以上がテストなんですね。これ、もうテスト漬けになっておるわけですよ。
大阪大学大学院の小野田正利教授の調査によりますと、この年間のテストの日数の全国平均というのは大体十五日ということですから、大阪市がいかに異常なテスト漬けになっているかというのが分かると思うんです。元々あった定期テストや実力テストに加えて、二〇〇七年からは文科省の全国学力テストが加わった、二〇一五年からは大阪市独自の大阪市統一テストが加わった、二〇一六年からは大阪府独自のチャレンジテストをこれまた上乗せしたと、こういう状況になっているんですね。
学習指導要領では教科ごとの授業時間数の確保が義務付けられていますから、これ、テスト時間というのは授業時間としても処理されていくわけなんですね。そうすると、大阪市の生徒はテストのために使われる時間が多くなっているわけですから、これ、教師は授業の進み方、進め方、スピードですね、これ速めざるを得なくなるわけなんです。ある単元が標準時数では九時間となっているところを八時間でこなさなきゃならないと、これが今実際に大阪市の教育現場の実態なんです。これだけ負担が現場に掛かっているわけなんですね。
今回、大阪市は、全国学テの結果を教員評価、給与に反映させることは断念はしましたが、この府や市独自の学力テストの結果によって、校長の人事評価と給与、そして学校にも加算配分すると。点数が上がったところは加算配分、学校に加算配分すると。教員についても人事評価の参考にするという方針を決めております。しかし、私、これ、今政府から説明あったことからも問題だと思うんです。
今日は資料に付けていただきました。資料一ページ目の下、番号書いていますけど、この二と三を見ていただきたいんですよ。どう書いてあるか。
これ、一ページ目の下の部分には、振り返りプリントをやるんだと、こう書いてあるんですね。いつ振り返りプリントをやるのか。これは、裏面、一ページ目の裏面に書いてあります。こういうサイクルがあるわけなんですよね。ここにある振り返りプリント一、これ、十月ぐらいにやるというんですね。
つまり、これ、四月に全国学力テストをやって、結果が出てくるのが七月から八月ですよね。その後に振り返りプリントをやるというんですけれども、これ、全国学力テストを受けるのは小学校六年生と中学校三年生ですよね。じゃ、その小六と中三の人が振り返りプリントを受けるかといえば、そうじゃないんですよ、そうじゃないんです。この振り返りプリントを受けるのは、小学校五年生と中学校二年生なんですよ。小六と中三はもう終わっていますから振り返る必要ないというようなもので、要するに来年受ける人たちの振り返りプリント。だから、振り返りプリントというんですけど、それは違うんです。
振り返りプリント三を見てください。これ、三月に振り返りプリントをやるというんですけど、これは要するに四月に実施される全国学力テストを前にした小学校五年生と中学校二年生が行うプリントなんですよ。ですから、これ、要するに過去問の予行演習なんです。振り返りとか何でもないんですよ。
そこで確認しますけれども、全国で学力テストの点数を上げるために直前に過去問をさせて、ふだんの授業に支障が出る事態が全国で発生したことに伴い、文科省は二〇一六年、学力テストの適切な取組の推進を通知しております。これ紹介していただけますか。
○政府参考人(清水明君) お答えいたします。
全国学力・学習状況調査、先ほど申し上げましたように、全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握して、分析をして、教育施策、教育指導の成果、課題の検証を行い、その改善に役立てることを目的に実施をしているものでございます。
御指摘いただきました平成二十八年四月に出された調査でございますけれども、こういった目的を考えますと、仮に数値データの上昇のみを目的にしていると取られかねないような行き過ぎた現場の取扱いがあれば、それはこの調査の趣旨、目的を損なうものであると考えられるということから、関係者に対して、いま一度原点に立ち戻って、この調査の趣旨、目的に沿った実施がなされるように、各教育委員会、また所管の学校に対して、関係者間の共通理解を深める、そういった目的で通知をしたものでございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、となりますと、この振り返りプリントですけれども、これ予行演習ですよ、全国学力テストの。そもそも大阪市が何でこんなことをやろうと言い出したのかといえば、出発点は全国学力テストの点数が二十政令市で二年連続最下位だということなんですよ。全国学力テストの点数を上げるために府や市独自の学力テストで人事評価をする。これ全部、全国学力テストの点数を上げるための施策につながっているんですよ。
今局長紹介していただいたように、結局、大阪市の方針は、これ全国学力テストの実施要領あるいは局長通知その他に照らして問題なんじゃないですか。
○政府参考人(清水明君) 済みません、大阪市の取組についての少し説明だけ。
大阪市教育委員会から聞いているところでございますけれども、大阪市においては、学力向上に向けた総合的な制度構築の一環として、市の児童生徒の課題に対応した内容のプリントの実施などを行って、不断の授業改善等を通じて児童生徒の実力を育成する取組を年間を通じて行っているということで説明を受けているところでございます。大阪市からは、これは行き過ぎた取組に当たるということではないという説明を受けているところでございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、出発点は全国学力テストの点数を上げるためなんです。そのために人事評価、それにひも付けようとしたけど、それはやっぱり無理だと。だったら、大阪市独自のテストでやっちゃおうと。それと相関関係にある、大阪府独自と全国学力テストは相関関係にありますよ。だから、こっちで人事評価すると。これ全部、全国学力テストの点数を上げるための施策なんですよ。これ、文科省の今の言い分は当たらないと思いますよ。こんなことを許したら、序列化と過度な競争に更に拍車を掛けることになるのは明らかですよ。
そもそも、学力の向上には様々な要因があるわけです。テストの点数が振るわない、これ教員の本当に責任ですか、言えるんですか。
文科省、家庭の社会経済的背景、SESと学力との関係について紹介していただけますか。
○政府参考人(清水明君) お答えいたします。
家庭の社会経済的背景、家庭の所得等と学力との関係についてでございますが、この学力調査と並行して実施しております保護者に対する調査というものがございます。これは、全国の公立の小中学校の保護者約十四万人を対象に行うアンケート調査で、平成二十五年と二十九年の二回実施をしているところでございます。
この調査によりますと、家庭の所得等の社会経済的背景、この指標が高い児童生徒の方が教科の平均正答率が高い傾向が見られているところでございます。ただ一方で、この社会経済的背景が低い生徒の中でも、学校や保護者の取組により不利な環境を克服して成果を上げているという例もあるということで、そういった分析も併せてしているところでございます。
○辰巳孝太郎君 ですから、家庭の社会的、経済的影響というのは学力との関係があるわけです。保護者の子供への接し方、教育についての考え方、学校の状況、家庭の状況、あるいは年収、学歴、職業、これやっぱり相関関係にあるわけなので、これ学力テストの結果と、そして教員の評価、教員の給与、これやっぱり結び付けるというのは余りにも無理があるわけです。
大阪市は、生活保護の受給率は今全国一位です、一番ですよ。貧困世帯に支給する就学援助の割合、これ大阪では四人に一人で、全国平均の七人に一人と比べて非常に高いわけです。人口一人当たりの教育費は全国で四十二位ですね。こうした貧困の実態、劣悪な教育条件を改善することこそ、私、先決やと思っております。
そうした点で、困難を抱える学校に本来は予算配分をやらなあかんのにもかかわらず、これ予算を削ろうと、そういうのが大阪市のやり方ですから、まさに本末転倒、天下の愚策と言わなければなりません。
加えて、大阪市の講師ですね、これ、今欠員続きなんですよ。今年度、平成三十年度は小学校、中学校合わせて七十名の講師が未配置となって授業に穴空けているような状況なんですね。本当に学力向上というんだったら、この環境整備ですよ、これを最優先にやらなきゃならないと思うんです。
大臣ね、大臣、もう一回聞きたい。やっぱり教師にそういう給与などのインセンティブを与えれば学力向上につながるんだと、そういう取組はやっぱり私は短絡的だし、おかしいと思うんですね。先ほどの通知にもありますけれども、文科省は助言、指導を行うというふうにも明記をしておりますから、大阪市に対して助言、指導、ちゃんと大阪市の実態を見た上で助言、指導していただきたい。いかがですか。
○国務大臣(柴山昌彦君) 先ほど清水局長の方からあったとおり、少なくとも大阪市からの言い分は、行き過ぎた取扱いに当たる、あの平成二十八年四月の通知に例示したそれには当たらないというふうには聞いておりますが、ただ、全国学力・学習状況調査の結果を指標として活用する場合は、やはり実施要領にあくまでも示した本調査の趣旨、目的に沿った扱いとなるよう留意の上で施策や指導の改善に役立てていただきたいと私どもとしては考えておりますし、また人事評価につきましても、確かにそれぞれの任命権者がその責任において評価の基準や方法等について定めるものとされておりますけれども、やはりその評価はしっかりと適切になされるべきものと考えておりますので、その旨はしっかりと大阪には再度通知をしていきたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 大阪の言い分はですからね。是非、文科省で主体的に調べていただきたいと思うんですね。現場の声も是非聞いていただきたい。
それで、そもそもなんですよ、この全国の学力テストは第一次安倍政権の下で二〇〇七年に始まりました。当時、我々共産党も含めて保護者を含む教育関係者から強い懸念の声が上がったわけです。日本弁護士会も二〇〇八年二月十五日の意見書で、全数調査として実施することには反対という表明もいたしました。その後の民主党政権下では抽出調査に変わりましたが、二〇一二年、安倍政権では再び全数調査として実施をされております。二〇一四年からは、都道府県、市町村の教育委員会及び各学校が学校別の結果の公表を行うことも許容をされました。大臣、これ、大阪みたいなこういうことが何かやられようとしていると。
そもそもなんですよ、やっぱり我々は学テそのものに反対ですけど、文科省は、都道府県別あるいは政令市別の成績を公表しなければ、大阪のような禁じ手みたいなことをやるような自治体というのは現れることもなかったと思うんですよ。
これ、いかがですか。もう点数の公表やめたらどうですか、あるいはもう全数調査やめたらどうですか。
○国務大臣(柴山昌彦君) この全国学力・学習状況調査の結果については、国として我が国の児童生徒の学力等の状況について説明責任を有していることから、国全体の状況に加えて都道府県ごとの公立学校全体の状況を公表をしております。これは、都道府県教育委員会は教職員の給与費を負担し広域で人事や研修を行うとともに、市町村教育委員会に対し市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため必要な指導、助言、援助を行うなどの役割と責任を有しているためであります。ただ、もう当然のことながら、私どもとしては、数値データによる単純な比較が行われ、それを上昇させることが主たる関心事とならないようにすることが大事だというようには考えております。
そこで、各教育委員会や学校に対して解説資料ですとか調査結果の分析データですとか、あるいは授業のアイデア例などの詳細な資料の提供を行わせていただいておりまして、調査結果を活用した教育の施策や指導方法の改善充実に活用いただいているというところであります。
さらに、実施要領においても、公表に当たっての配慮事項として……
○委員長(上野通子君) 大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(柴山昌彦君) 単に平均正答率の数値のみの公表は行わず、そういった分析結果や改善方策なども公表することを定めて序列化や過度な競争を招くことがないよう配慮を求めておりますので、そこは配慮していただきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 時間ですからもう最後にしますけれども、二〇一七年、福井県の池田中学校で起きた中学校二年生の男子が自殺した事件を受けて、福井の県議会は教育行政の抜本的見直しを求める意見書を賛成多数で採決をしました。そこには、学力日本一を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与えて、教員、生徒双方のストレスの要因になっていると考えると、こうあるんですね。
私たち日本共産党は、本当に過度な競争的、あるいは序列化、これを生むような全国学力テストはもう廃止するべきだということを述べて、質問を終わります。
ありがとうございました。