「森友」音声記録 佐川局長確認を拒否/宮本徹議員(4/28衆財金)
2017年04月28日
以下に議事録を掲載します
193-衆-財務金融委員会-16号 平成29年04月28日
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
質問します。
我が党も、本法案は賛成であります。
初めに、法案にかかわって、基本的な点を三点お伺いします。
一つは、フィンテック企業の電子決済等代行について、現状では、利用者保護で具体的にどんな問題が出ているのか。二つ目に、本法案では電子決済等代行業は登録制とされておりますが、EUではよりハードルの高い免許制も適用されております。なぜ登録制に落ちついたのか。三つ目に、どのレベルでの事業者規制が必要かというのは、まず登録制で始まるにしても、今後、法の運用を見ながら、実態に即してさらなる検討が必要ではないかと思います。三点、お願いします。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、第一点につきましては、少なくとも我が国におきましては、これまでのところ、大きな問題が顕在化した事例ということは承知をしておりません。他方、海外では、例えば米国で、大手銀行が、顧客情報の保護を理由に、顧客のパスワードを使用する業者のアクセスを一時的に遮断するというトラブル事例があったというようなことは承知をしております。
そういうことで、我が国では、これまでのところ、幸い、大きな問題は顕在化していないわけですが、同時に、電子決済等代行業に該当するサービスにつきましては、銀行口座に関するパスワードといった重要な認証情報が業者に取得される場合がありまして、顧客情報の漏えい、認証情報の悪用等のセキュリティー上の問題がないかとの不安があると指摘されているということを認識しております。
本法案は、そうした課題等を踏まえ、利用者保護の観点から必要な法律上の措置を講じようとするものでございます。
二番目の免許制、登録制の問題でございます。
一般に、免許制におきましては、免許の付与に際して、行政機関に一定の裁量が与えられるのに対しまして、登録制におきましては、登録拒否要件に該当しない限りにおいて、金融機関は登録を拒否することはできないものとされておりまして、一般に免許制の方が重い規制態様であるとされているかと思います。
そうしましたときに、電子決済等代行業者は、その定義上、利用者の金銭を預かることが想定されていないところでございまして、現行法制上、例えば、金銭の預託を受けることが前提とされております資金移動業者が登録制とされていることなどに鑑みますと、電子決済等代行業者について免許制とすることには慎重であるべきものと判断しているところでございます。
ただ、御指摘にありましたように、三番目の点でございますけれども、私どもとして、まずはこうした法制の整備を通じて利用者保護の確保を図っていきたいと考えておりますが、フィンテックは今後もさまざまな発展を遂げていくことが想定されるところでございまして、金融庁としましては、その動向を十分注視し、必要があれば適切に対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 法の運用の実態がどうなるかということに即して、いろいろな問題が出てきたら、その段階でまた必要な規制をしっかりとっていただきたいというふうに思います。
次に、犯罪対策について聞きます。
インターネットバンキングによる不正支払い事件というのがかなり起きているわけですが、まず近年の件数の推移、あと被害金額、これを教えていただけるでしょうか。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
全国銀行協会の公表によりますと、インターネットバンキングによる不正支払いの被害件数を平成二十三年度から順次申し上げますと、平成二十三年度百六件、二十四年度百六件、同じくです。平成二十五年度は、大きく伸びまして千七十一件、平成二十六年度千二百十五件、平成二十七年度千二百八十三件、平成二十八年度は、速報ベースでございますけれども、五百六十九件となっております。
平成二十五年度に大きく増加した後に、平成二十七年度まではほぼ横ばいで推移し、平成二十八年度は前年度比で減少している状況にございます。
金額について申し上げますと、平成二十三年度は二億三千五百万円、二十四年度は一億二千四百万円、二十五年度は十四億三千四百万円、二十六年度十六億八千万円、二十七年度十七億八千二百万円、二十八年度は八億二千四百万円といった推移でございます。
○宮本(徹)委員 二〇一三年度に急激に拡大して、一四年度、一五年度とぐっと伸びて、一六年度は若干下がったわけですけれども、かなり高どまりしている状況ということだと思います。
近年急拡大した原因と、犯罪の主な手口というのはどういうものなんでしょうか。
○遠藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、犯罪の主な手口から御説明させていただきたいと思います。
インターネットバンキングの不正送金の主な犯罪手口といたしましては、特定ホームページの閲覧を通じて利用者のパソコンをウイルス感染させた上で、ユーザーIDとかパスワードなどを盗み取り、犯罪集団が利用者に成り済まして不正送金する手口、犯罪集団が利用者のパソコンを乗っ取り、遠隔操作で不正送金する手口、あるいは、ウイルスがあらかじめ送金依頼データをセットし、自動的に不正送金する手口などが存在すると承知しております。
また、ウイルス以外の手口といたしましては、フィッシングサイトに利用者を誘導してユーザーIDやパスワードなどを盗み取り、犯罪集団が利用者に成り済まして不正送金する手口も存在すると承知しております。
近年、被害件数が、特に平成二十五年度に急拡大している原因でございますけれども、専門家等によって指摘されている理由については幾つかございます。
一つは、ウイルスやフィッシングサイトを作成するツールがインターネット上に安価で出回るようになったこと。一つは、海外の犯罪集団に日本語が比較的堪能な協力者が加わることによって、日本語のにせのホームページを作成することができるようになり、日本も犯罪対象にされてきたことなどが要因ではないかという指摘がございます。
また、従前は被害者の中心が個人でございましたけれども、法人にもこの被害が拡大していることなども要因の一つではないかというふうに考えられます。
○宮本(徹)委員 今回の法案というのは、こういう事件への対応は何らか抑止できるような力になるんですか。
○池田政府参考人 今回の法案は、現行の電子決済等代行業者の多くが利用者から銀行口座のパスワード等を取得し、利用者に成りかわって銀行のシステムにアクセスすることによりサービスを提供しているため、仮にこれらの情報が漏えいした場合に、利用者が不利益をこうむるおそれがあることなどを踏まえて法制の整備を図っているものでございます。
この法律案は、インターネットバンキングを利用した不正支払いの抑止自体を直接の目的とするものではございませんけれども、電子決済等代行業者に対して顧客情報をより適正に管理することを求めておりますので、顧客情報の悪用等による不正支払いの未然防止にも資するものであるというふうに考えてはおります。
○宮本(徹)委員 中国ではフィンテックが物すごい勢いで拡大しているようで、雑誌で見ましたら、ネット人口は七億人を超え、九割以上がモバイルを使っている、スマホ決済もばんばんやられていると。驚いたのは、ことしのお正月に四百六十億件ものお年玉がスマホ決済で送られているという話でした。銀行に行かなくても送金できるというのは非常に便利なわけですけれども、安全性という点では疑問もつくわけですね。
中国では、スマホ決済を利用した犯罪や不正送金というのはどういう状況なんでしょうか。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
中国におけますスマートフォン決済に係る犯罪等の実態について、その詳細を具体的に把握しているものではございませんけれども、中国におきましては、御指摘のように、IT関連企業が提供します決済サービスが急速に拡大しておりまして、そうした中で、顧客の情報を不正に取得し、送金を行う等の事案が発生しているとの報道があるということは、報道ベースでございますが、承知をしているところでございます。
○宮本(徹)委員 不正が中国でも起きているということであります。
日本でも、フィンテックはさらにぐっと普及していくということを考えたら、いろいろなことが想定されるわけですけれども、きょうは全銀協がつくっている振り込め詐欺の警戒を呼びかけるチラシをお配りしましたが、振り込め詐欺にスマホ決済も利用されるのではないかという懸念もあるのではないかと思います。
今は、これに出ているように、携帯電話で高齢者に指示してATMに振り込ませるということになるわけですけれども、仮にスマホ決済が普及すれば、ATMに行かなくても、家でスマホを使って送金させられる、こういうおそれがあるわけですよね。そうすると、今、ATMの前で声をかけてとめようというのもできなくなるわけですよね。
フィンテックの普及によってふえそうな犯罪の抑止について、どのような対策を考えているのか、お答えいただきたいと思います。
○池田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の問題は、必ずしも電子決済等代行業者の問題ではなく、インターネットバンキング全般にかかわる問題であろうかとは考えますが、スマホ決済等の利用が広がっていく中で、そうした動きに乗じた不正送金等の問題についてもきちんと考慮していくべきことは御指摘のとおりかと思います。
金融庁におきましては、これまでも関係省庁あるいは関係団体と連携して振り込め詐欺被害等の未然防止に向けた取り組みを行ってきたところでございますが、こういう状況を踏まえ、振り込め詐欺被害等への注意をより強く呼びかける等、リーフレットの作成、政府広報等、そうしたものの実施に一層の工夫をしていくということが求められようかと考えております。
引き続き、関係省庁、業界団体等と連携して、振り込め詐欺あるいは不正送金等の未然防止に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。
○宮本(徹)委員 より強く呼びかけていくというのは当然必要なことなんですけれども、もっと技術的に対応できるようなことがないのかということも含めて検討していく必要があるんじゃないかというふうに思いますので、その点の検討もお願いしたいと思います。
それから、きょうは、証券等監視委員会にも来ていただきました。
最新の報告書を見ますと、「(AI)による投資アドバイスや資産運用、プログラムによる高速取引等、FinTechの進展に伴う最先端の金融技術・手法の動向について、証券監視委内横断的に外部の市場関係者等から情報収集を行い、証券市場や市場仲介者等への潜在的な影響等について調査を行っている。」という記載がありましたけれども、この調査の着眼点というのは何なんでしょうか。結果はまとまったら国民に対して公表されるんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
証券監視委におきましては、市場の公正性、透明性確保の観点から、フィンテック等のIT技術の進展等に伴いまして生じます新たな取引形態、商品などに着目いたしまして、現在の監視システムや手法で十分な監視が行えるか、また、そのためにどのようなシステムを構築すべきかといったことにつきまして、外部の市場関係者等から情報収集を行うなど、検討を進めているところでございます。
今後、調査結果を踏まえまして必要な監視システムや手法の構築に努めまして、必要に応じて今後の監視委員会の活動方針などに盛り込んでいくなど、適切な対応を行ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 方針に盛り込むと同時に、調査結果についても国民に対してぜひ公表していただきたいというふうに思います。それでこそ国民の側も安心、安定ということになっていくと思いますので、お願いしたいと思います。
次に、異次元の金融緩和、それから、マイナス金利政策の銀行への影響についてお伺いしたいというふうに思います。
まず初めにお伺いしたいのは、この間、金融機関の収益の源泉である預貸金の金利の利ざやが縮小しているわけですけれども、これは異次元金融緩和導入前と現時点では具体的にどうなっているでしょう。
〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
○宮野谷参考人 お答え申し上げます。
金融機関の預貸し金利ざやは趨勢的に低下しております。
具体的に申し上げますと、量的・質的金融緩和導入前の大手行では、二〇一二年度の預貸し金利ざやは一・一七%でございましたが、二〇一六年度の上期は〇・八八%となっております。また、地域銀行の二〇一二年度の預貸し金利ざやは一・五六%でありましたが、二〇一六年度上期は一・二二%となっておりまして、いずれも低下しております。
○宮本(徹)委員 この利ざや縮小について、ことし四月のIMFのレポートも分析しております。こう言っています。「長短金利の差は平たん化しています。一般的にいって」、「銀行にとってそれは収入が減ることを意味します。また、銀行が預金金利をマイナスに引き下げるのは通常難しいことなので、金利低下は利ザヤを縮小させがちです。そして人口の高齢化と成長が減速したままであれば家計からの需要が減退しやすいため、融資量の増加による低利ザヤを補うことができなくなります。」こうした上で、「対照的に」銀行の「手数料ベースの売買サービスが増加する」というふうに書いております。
日本銀行にお伺いしますが、日本のメガバンクというのは、手数料収益の増大の傾向というのはどう出ているんでしょうか。
○宮野谷参考人 お答え申し上げます。
日本の大手行の手数料収益の推移を見ますと、基調的には、海外のシンジケートローンの関連手数料などを中心に緩やかに増加傾向にあると認識しております。
○宮本(徹)委員 緩やかに増加傾向とありますけれども、例えば、住友三井トラストのホームページを見ましたら、手数料ビジネスの拡大というのをどんと書いてあるわけですよね。こう銘打って、この間、手数料ビジネスからの収益は二七%増加、手数料収益比率は五〇%を超過ということを言って、そこに走っているわけですね。
もう一点お伺いしますが、近年、日本のメガバンクは、海外向け与信を増加させて国内減少分をカバーしている傾向というのは見られるんでしょうか。
○宮野谷参考人 お答え申し上げます。
日本の大手行につきましては、海外向け貸し出しの伸びが国内向け貸し出しの伸びを上回っております。ただ、国内向け貸し出しも伸びてはおります。
具体的に申し上げますと、大手行の海外向け貸し出しは、前年に対してプラス一割程度の高目の伸びを続けております一方、大手行の国内向け貸し出しにつきましては、伸びてはおりますけれども、その伸びは前年比一から二%程度の伸びとなっております。
○宮本(徹)委員 つまり、今、低金利政策のもとで、手数料ビジネス、そして海外での貸し出し、こういうことになっているわけですよね。そういうのが広がっているわけです。
一方、資本規模の小さい地方銀行は、低金利政策で経営体力を奪われております。
地方銀行の資産構成の変化がどうなっているのか、地方銀行の資産の有価証券の種類別の内訳、異次元金融緩和の導入前と現在を比較したらどうなのか、報告していただけるでしょうか。
○宮野谷参考人 お答え申し上げます。
地方銀行と第二地方銀行における有価証券保有残高を見ますと、国債につきましては、量的・質的金融緩和導入前の二〇一二年十二月末が四十三・〇兆円でありましたが、これが二〇一六年十二月末は三十二・二兆円となっておりまして、この間で十・七兆円の減少となっております。
一方、外国証券につきましては、二〇一二年十二月末の七・六兆円から二〇一六年十二月末の十五・一兆円まで、七・五兆円の増加となっております。
また、その他有価証券につきましては、二〇一二年十二月末の三十七・七兆円から二〇一六年十二月末の四十六・六兆円まで、この間、八・九兆円の増加となっております。
○宮本(徹)委員 今お話がありましたように、国債は減って、外国証券、その他有価証券がふえているわけですよね。地方銀行が、より高い利回りを求めて、リスク性資産に資金をシフトしているというのは明らかだというふうに思います。
あと、もう一点、地方銀行の企業向け貸出金について、規模別では中小企業向け、業種別では不動産業向け、これについて、異次元金融緩和導入前と現在、比較すればどうなるでしょうか。
○宮野谷参考人 お答え申し上げます。
地域銀行における中小企業向け貸出残高を見ますと、量的・質的金融緩和導入前の二〇一二年十二月末は八十八・七兆円でございましたが、二〇一六年十二月末は百二・二兆円となっておりまして、この間で十三・五兆円の増加となっております。
次に、地域銀行の不動産業向け貸出残高につきましては、二〇一二年十二月末の二十六・七兆円から二〇一六年十二月末の三十四・六兆円となっておりまして、この間で七・九兆円の増加となっております。
○宮本(徹)委員 不動産向けの融資が大きくふえているわけですけれども、この間、相続税の引き上げがありましたから、私も地元を回っていましたら、特に農家の皆さんなんかは、相続税対策で、宅建会社がどんどんやってきて、アパートを建ててくれ、こういう話があるというのを幾つも聞いているわけです。
これは大臣にお伺いします。
アパートローンの実態をどう把握しておられるのか、不良債権化するリスクというのはどう見ているのか、そしてどう対応されているのか、お伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 足元で、アパートローンを含めまして不動産業向けの貸し付けというものの伸びというのを見ますと、残高の伸び自体は、これまでの拡大局面と比較しての話ですけれども、必ずしも高くはありませんが、新規融資額は、二〇一六年におきましては、通期での比較においては過去最高ということになっております。ちなみに、額でいえば、二〇一六年でいきますと、十二兆二千八百六億円、前年比で一五・二%でありますので、そういった意味では最高ということになりましたが。
金融システムの健全性という点からいきますと、アパートローンなどにつきましては、これはデフォルトという意味でいきましたら、その率というものでは極めて低位で推移をしておりますし、また、担保によって債権は保全されているというように我々としては認識をいたしております。したがって、足元で金融機関全体の健全性を懸念しているという状況ではありません。
ただ、先生おっしゃるように、アパートローンというものにつきましては、これは不動産業者による持ち込みで持ってこられる話がほとんどですから、いわゆる家主、ローンの借り手ということになりますけれども、家主は、アパートがいいぞとかいう話で乗せられる話はよくある話なんだと思いますが、アパートというのは、借りてくれる人がいて初めて金が入ってくるわけなので、そういった意味では、空き室とか賃貸料とか、そういったいろいろなものを考えにゃいけませんので。そういったリスクを十分に理解していないおじさんなんというのはいっぱいいますよ。私どものところにもいっぱいいましたから。別に驚く話じゃないのであって、どこでもそういった話は、おいしい話というのはそういうものがついて回るのは当たり前の話なんですけれども。
そういったものに対しては、金融機関に対して、金融の貸す方としては、今後、貸している金利の上昇が考えられますよとか、また、賃料というものは低下するという面もあるわけなので、そういったリスクについて、融資を審査する際に、じいちゃんとかばあちゃんにちゃんと教えてやらぬと、極めて難しい、不親切ということにもなりましょうし、わかりやすく借り手に伝えているなどというのは、銀行の人たちは忙しかったりなんかすると、それはよく読んでおけばわかりますなんていったって、読むのに虫眼鏡がなきゃ読めぬようなおじいちゃん、おばあちゃんというのはいっぱいいるわけですから、そういったものに対して、こういった貸出業務を運営するに当たっては、ちゃんと丁寧にやって、きちんとそういったリスクの話もするような指導をしてやるべきということは、我々の方から申しているところであります。
○宮本(徹)委員 だまされたという話もこの手の問題ではたくさん聞くわけですので、しっかり対策をお願いしたいと思います。
あと、きょうは国交省の藤井政務官にも来ていただきました。
住宅政策としても、今空き家がどんどんふえている、そういう中で、相続税対策ですよということでアパートをどんどん建てられているという状況があって、空き室の率もずっと高まっているという報道もあるわけですが、今これは率直に言って供給過剰になっているんじゃないかというふうに思いますが、国交省は現状をどう認識されて、どう対策を打とうとしているんでしょうか。
○藤井大臣政務官 宮本委員にお答えいたします。
平成二十八年の貸し家の着工戸数は、四十一・九万戸、前年比一〇・五%増と、平成二十年以来の高い水準となっております。この増加の要因といたしましては、平成二十七年一月の相続税の課税強化に伴います節税目的での建設や低金利継続による影響といった見方がございます。
賃貸住宅につきましては、地域によっては空室率の上昇や賃料の低下といった状況も見られることから、今後、こうした市場の動向等を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
○宮本(徹)委員 見守るだけじゃなくて、住宅政策としてどうするのかというのは、やはり検討が必要だと思います。一方で空き家対策、空き家対策と言っているのに、どんどん野方図にアパートがふえて建っていくというのは、これでいいのかというのをぜひ御検討いただきたいというふうに思います。
いずれにしても、長期化している低金利政策は、銀行の経営ももちろんそうですけれども、日本社会全体にいろいろなひずみを広げてきているというふうに思います。異次元の金融緩和路線は改めるべきだということを強く申し上げておきたいというふうに思います。
次のテーマに移りますので、ここで、日銀、国交省、それから証券取引等監視委員会は御退席していただいて結構でございます。
続きまして、私も森友学園の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
二〇一六年三月十五日に籠池氏が財務省に来て理財局と面談した際の音声データ、録音、これが今報道されております。私どものところにもあるということで公表しておりますけれども、籠池氏がみずから録音したものということです。なぜ八億二千万円もの値引きが行われたのか真相を明らかにしていく上で、極めて重要な交渉の録音記録だというふうに思います。
この記録によりますと、理財局との面談の目的について、籠池氏はこう言っているんですね。今回お邪魔した主たる目的というのは何かというと、財務省の近畿財務局の方が、殻とか有害物質が入っている土を、もうそのまま埋め戻してほしい、運ばないで場内に埋め戻してほしいなんということが発生したと。これが三月十五日に籠池氏が財務局までやってきた目的だということをはっきりおっしゃっています。つまり、二〇一五年九月四日のあのペーパーですよ、財務省職員の指示で埋め戻された廃材等のごみについて、どうしてくれるんだ、これで来たわけですよね。その中で、籠池さんの奧さんからも、何でこんなので借地料を払わなきゃいけないんだという話も出されているわけであります。
この問題については、今週二十五日に同僚の宮本岳志議員が質問いたしました。この面談で財務省職員の埋め戻し発言について籠池氏側からクレームがあったのではないかと聞いたところ、佐川理財局長はこう答弁されました。本人の記憶では、新たに発見された埋設物への早急な対応についてそこでやりとりしたということで、そのほかにつきましては、具体的な内容等については記憶していないと。記憶していないということだったわけですね。
今までは、田村室長の記憶がないということで国会への説明というのは済まされてきたわけですけれども、しかし、この記憶を補う記録というのが今や明るみに出てまいりました。もう個人の記憶頼みではなく、真相究明できる段階に入ったんだというように思います。
まず、佐川局長に確認したいんですが、報道されている音声データが本物の記録かどうか、田村室長や同席した職員なりに確認されましたか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
報道されていることにつきましては承知してございます。ただ、その音声の記録とされるものが実際どのようなものなのか私どもは承知していませんので、そういう音声の記録等につきまして、報道につきましてはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。
その上で、三月十五日の面談の御質問でございますので、ここについてお答え申し上げますと、私ども、籠池氏が昨年三月、財務省を訪問した際の面談の内容につきましては、実際に面会をしました、この審理室長に聞いてございます。それで、先方より、これまでの経緯についての説明があり、その後、新たな埋設物が発見されたので至急対応してもらいたい旨の要望がありまして、当方からは、事実を踏まえ法令等に従って対応する、引き続き、現地で近畿財務局が大阪航空局と連携して対応する旨対応したというふうに聞いてございます。
それ以外に、先日も宮本先生の方からありましたので、先方のこれまでの経緯についての説明の中で、地下埋設物の撤去に係る有益費の関係などにつきましても先方は言及されたかもしれないけれども、大きな話として、新たな埋設物の話についてそういうやりとりをしたということで、その他についての詳細、具体的な内容については記憶をしていないというような話でございました。
○宮本(徹)委員 コメントを差し控えたいという話じゃないんですよね。新たに音声データがこれだけ報道されているわけですよ。音声を聞かれましたよね、報道ステーションだとかメディアで流れた音声を、理財局長も。聞かれていないんですか。
〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
複数のメディアで報道されていることは承知してございますが、私もニュースで少し流れているのは聞いてございますけれども、音声も余りはっきりもしておりませんし、現実にそういう音声の記録というものがどういうふうに録音されて、どういうものなのかというのは私どもよくわかりませんので、各局が多分同じものを録音されているので、複数やっているだろうとおっしゃいましても、それは同じものをやっているんでしょうけれども、どういうものなのか承知してございませんので、報道、音声そのものについてはコメントを差し控えたいというふうに思います。
ただ、先生が先ほど御指摘になりました九月四日の記録について、埋め戻しがあったのではないかというようなことを、今、宮本先生御指摘になりましたので、その点について御答弁させていただきますと、その話につきましては、先般この委員会でも委員長の方から御指示いただきまして、近畿財務局の職員に私は自分で確認をしてございます。それで、産業廃棄物の場内処理を求めるような発言についての確認をしようということで私がしまして、近畿財務局の当事者に確認をして、そういう発言を行ったことはなかったということで、この委員会でもお答えをさせていただいている、こういうことでございます。
○宮本(徹)委員 報道を理財局長は聞かれたということですよね。
田村室長の声もはっきり流れていたわけですけれども、田村室長の声でしたよね。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
本人かどうかは全く私はわかりません。
○宮本(徹)委員 驚きの答弁ですね。
それで、本人には、この報道が流れて以降、確認したんですか。田村室長や同席した職員の方々に、何人も同席されているようですけれども、報道があった後、どうですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
三月十何日ですか、その三月の半ばの籠池氏が財務省に訪問した際の面談の内容については、ここで何度も御答弁申し上げますが、私は審理室長の方に確認をしてございます。
そういう意味で、先ほど答弁したとおり、室長の方から、先方から新たな埋設物が発見されたので対応してもらいたいと、当方からは法令に従って対応する、引き続き現地で近畿財務局と大阪航空局と連携して対応する、こう対応したというふうに聞いていると、ここで何度も御答弁させていただいているところでございます。
○宮本(徹)委員 全く説明になっていないですね。
今までの確認は記憶に基づくもので詳細はわからないというのをずっと、今週の火曜日まで、理財局長は答弁されていたわけじゃないですか。記憶以外のところは出てこなかったわけですよ、理財局長の答弁から。だから、もっと確認が必要じゃないかということを私たちはずっと質問してきたわけですよ。そして、記録が出てきた。
これは本人に、田村室長に聞けば、これが本物かどうかというのはすぐにできる話じゃないですか。なぜ確認しないんですか。
○佐川政府参考人 御答弁申し上げます。
委員の御指摘は、報道されております音声の記録そのものについて、それが事実であって、そういうものを確認すべきだということの御指摘なのかもしれませんが、私どもは、そういう音声記録がどういうものなのか、どういうふうにでき上がっているものなのか、承知をしてございませんので、それについて確認をせよと言われても、ちょっとそういう確認は控えさせていただきたいというふうに申し上げております。
○宮本(徹)委員 そんなおかしな答弁はないでしょう。
同じことがありましたよ。九月四日の建設会社、業者がつくった打ち合わせ記録のペーパーがありましたよね。当時、理財局長は、同じような、どういう筋合いのものかわからないから私たちは確認しないというふうに言われていましたけれども、最終的には、委員長の指示で確認されるということになったわけですよね。
委員長から指示が出れば、では、報道されている音声データ、これは本物かどうか、田村室長や職員にちゃんと確認されるということでいいわけですね。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
委員長の指示というお話であれば、もう私が答弁する立場にはございませんので、そこは控えさせていただきます。
○宮本(徹)委員 委員長、九月四日のペーパーと同じ話ですよ。それよりももっと生々しいですよね。九月四日のペーパーは、音源はあるけれども、それを起こしたものですよ。今回は音源そのものですよ。メディアでもこれだけ流れているわけですから。
委員長、指示していただけますか、理財局長に。田村室長や三月十五日の会議に同席していた職員の皆さんに、本物かどうか、確認していただく指示を出してください。よろしくお願いいたします。
○御法川委員長 この件については、後ほど理事会で協議をいたします。
○宮本(徹)委員 本当に、委員長から指示が出るまで調べようともしないというのは、私は公務員の姿勢としてどうかと思いますよ。
理財局長、当然、憲法を読まれたことはありますよね。私たち特別公務員も皆さんも、一部の奉仕者ではなくて全体の奉仕者なんですよ。全体の奉仕者の立場に立って、これだけ国民が疑念を持っていて、ここまで明らかになっているのに調べようともしないというのは、公務員になったときの初心に照らしてどうなのかということを真剣に考えていただきたいというふうに思います。
その上で、今回、表に出てきた音源というのは、佐川局長のこの間の答弁にもかかわってくるわけですよね。
二〇一五年九月四日の業者が作成した打ち合わせ記録について、この間の佐川局長の答弁は、全く承知していないということをおっしゃっておられました。しかし、音声記録は、三月十五日に籠池氏が田村室長に、この九月四日の打ち合わせ記録を渡して見せながら読み上げているんですね。映像はないですけれども、報道されている音源だけでもはっきりしていますよ。
改めて確認したいと思いますが、三月十五日の面談でも、この業者が作成した打ち合わせ記録というのは財務省側には渡されていない、手元にもない、全く承知していない、これが今でも理財局の認識なんですか。
〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
何度も答弁をさせていただいておりますが、私は、昨年の三月に籠池理事長夫妻がお見えになって、うちの国有財産の審理室長に面会をし、会ったということをきちんと確認して、御答弁はしているところでございます。
その上で、その先方と当方のやりとり以外についても、先方からこれまでの経緯についてるる説明があったということについて、そこについても御答弁をさせていただいてございます。
そういう中で、今おっしゃった、その業者が作成されたとするメモ等につきましては、そういうことに関することも含め、具体的にどういう内容だったかについて本人に聞いてみたところ、詳細な記憶を持っていないということを御答弁しているということでございます。
○宮本(徹)委員 記憶を持っていないと本人は言ったわけですね、九月四日のメモについて。
ですけれども、音源記録を見たら、記憶がないどころか、渡されているのは確かですし、この間の理財局長の答弁というのは、九月四日のペーパーについては承知していないという答弁を繰り返してきましたよね。承知していないということを繰り返してきたわけですよ。承知していないどころか、渡されて、一緒になって読んでいるわけですよ。
籠池さんの音源、テレビでも流れていましたけれども、どういう意味かというと、そこに書いてありますよ。下から一、二、三、四、五、六、七、八、財務局。この打ち合わせ記録も、一、二、三、四、五、六、七、八、財務局。そのとおりですよ。そして、確かにこの八番目のところには、財務局の側が、場内処分の方向でお願いしますというふうに書いてあるわけですよ。
あの報道を見たら、これまでの理財局長の承知していない、財務省としてこのペーパーを承知していないというのは、全くのうそ偽りの虚偽答弁になったということじゃないですか。
○佐川政府参考人 御答弁申し上げます。
先日、宮本岳志先生の方にも御答弁申し上げましたが、先方からの説明で、これまでの経緯についての説明の中で、地下埋設物の撤去に係る有益費の関係などについても言及されたかもしれないが、具体的な内容については記憶をしていないというのが室長の話でございました。
したがいまして、その九月四日の業者の打ち合わせのメモというものについて、そういうものに基づいて先方はお話ししたのかもしれません、その有益費の関係について。
しかし、そういうことも含めて、その中身について詳細については本人は記憶していないということでございます。
○宮本(徹)委員 だから、はっきりさせてほしいんですけれども、今、手元にない、記録は渡されていないということは、もはや全否定はできないということでいいわけですね。かもしれないとか記憶にないとかと言いますけれども、音源を見る限り、はっきり渡されていますよ。これは、手元にある可能性もあるということでいいわけですね。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
二十七年の九月のその業者が作成したとされるメモにつきましては、私ども、参議院と衆議院の財金の委員長から御指示を受けまして確認しておりますので、そういう意味では、当然、私ども、そのメモにつきましては見てございます。
ただ、その場で、その三月の時点で、籠池理事長御夫妻がお見えになったときに、うちの室長たちが向こうとの間で面会、会話をした中で、そういうメモについて、どういうふうに取り扱われたかについて、本人たちも詳細を覚えていない、こういうことを申し上げてございます。
〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕
○宮本(徹)委員 結局、覚えていないとか記憶にないというので、言い逃れしてきただけの話じゃないですか。
今までの国会の説明と違う話になってきているわけですよ。覚えていないというだけで、実際はあったというのが、渡されているというのも、音源データではっきりしているわけですよ。
委員長の指示を持たずに、自分のこれまでの国会の説明にもかかわる、矛盾する話なんですから、みずから調べようという思いを持たないんですか。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたが、その業者のつくったメモにつきましては、そういう意味では、委員長の方から御指示を受けて、私ども確認をしてございますので、もうその存在は当然知ってございます。
ただ、その三月のところでそういうメモがどう取り扱われたかについては、本人たちが覚えていない、こう申しているわけでございます。
○宮本(徹)委員 どこまで調べようとしないのかというのは、本当に国民の皆さんに対して、申しわけないという思いを持たないですか。
委員長、この点も、九月四日の面談記録を、二〇一六年三月十五日、籠池氏が財務局とお会いした際に渡しているというのは、音源データからもはっきりしています。これは渡されているかどうかというのもはっきり確認するように指示を出していただけるでしょうか。
○御法川委員長 理事会で後刻協議いたします。
○宮本(徹)委員 もう一点、お伺いしたいと思います。
音声データを聞いていますと、特例という言葉が何度も出てまいります。財務省の側からの発言でも、この件の経緯がね、貸し付けするってことが特例だったものでと言っているんですよね。籠池氏の側も、特例にしていただいたことは非常にありがたいことというふうに応じております。
確認しますけれども、森友学園への土地の貸し付けというのは、財務省としては特例だったという認識でよろしいんですね。
○佐川政府参考人 お答え申し上げます。
その音声記録についてのコメントは差し控えさせていただきますが、今おっしゃった特例処理のお話でございますが、説明をさせていただきます。
私ども、個別の普通財産の管理、処分につきましては、当然、国有財産法等に基づきまして、各財務局に分掌されているわけでございます。それで、各財務局におきましては、国有財産関連の法令あるいは通達に基づきまして、事案に応じて、もちろん適切に財産の管理、処分を行っているわけですが、案件によりましては、その法令、通達の適用に関しまして、各財務局から、私ども本省も相談を受けます、それは当然だと思いますが。
そういう中で、個別の事案、事情に応じましては、本省の承認を得て処理します特例処理という規定が通達上に定められてございます。したがって、その事案に応じて、通達に基づきまして、各財務局から本省に特例処理の承認申請を行って、その承認を得た上で処理を行っているということもございます。
それで、今御指摘の本件でございますが、本件は、通達上、貸付期間というのは通例三年以内というふうになってございますが、ただ、これは、通例の貸し付けでございますと、借地借家法上、借り主は貸し付けを継続するというのは可能でございます。したがいまして、貸付期間が延びていく可能性があるわけでございますので、私ども、この森友学園に対しましては、貸付期間中に確実に買い受けをしてもらおう、こう思ってございまして、そういう意味では、期間満了後に更地返還が必要になります事業用の定期借地とするのが適当だと考えてございました。
それで、借地借家法上、定期借地というのは、これは最短期間十年でございますので、そういう意味では、通達上、通例三年となっております貸付期間を、必ず十年後には更地で返してもらうという定期借地にするためには、通達上、特例処理という項目に沿って本省の承認が必要になりますので、本件の土地の処分につきましては、十年間の定期借地の契約とするということを、私ども本省において承認をしたというのを特例というふうに表現しているということでございます。
○宮本(徹)委員 時間が参りましたので、もっとたくさん質問したいことがあったわけですけれども、特例中の特例でやりとりをしていたというのは、この間の経緯を見てもはっきりしているわけですよね。特例的なものは我々のところにも相談が来ます、こういう事実を踏まえてどうしたらいいのか、これはちゃんと検討しますとかいうことでやっているわけですよ。
しかも、音声記録では、繰り返し籠池さんの側からは、昭恵夫人の方からも、たしかここも聞いてもらったこともあると思いますけどと、自分のバックには安倍総理夫人がいることも何度も示唆している、そうやって交渉しているわけですよね。
ところが、この間の同僚議員の質問に対して、総理夫人の話を出されたんじゃないかと聞いても、田村室長に聞いたけれども、記憶にないと言っていると。およそ信じられないですよ。
結局、バックにそういう方がいるんだということをそんたくして、八・二億円引きという特例をしていったということなのではないかというふうにますます疑念が深まらざるを得ないわけです。
当委員会にて、田村室長及び籠池前理事長に話していただかなきゃいけないというふうに思いますので、委員長、参考人招致を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○御法川委員長 後刻理事会で協議をいたします。
時間が来ておりますので。
○宮本(徹)委員 質問を終わります。ありがとうございました。