「森友」問題 「新たなゴミ」の根拠 検査院「確認できず」(前)
日本共産党の辰巳孝太郎議員は20、22両日の参院財政金融委員会で、学校法人「森友学園」への国有地8億円値引きの根拠がないことを、この間明らかになった資料をもとに浮き彫りにしました。
8億円値引きの理由について国は、ゴミ撤去費(有益費)として当初補償していた分とは別に、2016年3月に大量の「新たなゴミ」が発見されたためと説明しています。
辰巳氏は、値引きの妥当性を検査した会計検査院に、「前年(15年)に学園が残したゴミではなく、新たなゴミだと判断する根拠はあったか」と質問。同院の宮川尚博審議官は「確認できなかった」との検査結果を報告しました。
辰巳氏は、今年に入り開示された財務省近畿財務局の法律相談文書で、有益費の範囲内なのか、新たなゴミなのかを精査する必要性が指摘されていると強調。同文書が検査院に提出されたのは結果報告の前日だとして、精査するよう求めました。宮川審議官は「文書の内容を精査の上、慎重に検討する」と述べました。
16年3月のゴミをめぐっては、同月30日に学園理事長(当時)の籠池泰典被告=詐欺罪で起訴=や学園側業者と、財務省近畿財務局、国土交通省大阪航空局の職員が会合した音声記録が明らかになっています。
国交省の和田浩一航空局次長は、会合に航空局職員が同席していたことを認めつつ「(出席職員は)詳細は覚えていない」と答弁。
辰巳氏は、会合では、国側が「ストーリー」という言葉で「新たなゴミ」としようと促し、学園側と口裏合わせをしていると指摘。8億円値引きの算定をした大阪航空局が口裏合わせの場に居合わせ、現場確認より前に「新たなゴミ」と断定していたとして、「学園に便宜を図るために『新たなゴミ』を捏造(ねつぞう)し、値引きありきで交渉を進めたということだ。財務省と国交省は二人三脚だ」と批判しました。
2018年3月25日付の赤旗より転載
196-参-財政金融委員会-004号 2018年03月20日
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
森友事件についてお聞きをしたいと思います。
森友の問題というのは、貸付け、売却、二段階あるんですね。貸付けの契約の前の段階から昭恵さんの名前などが出てきて、そこから様々な特例措置なんかが始まったというのがいろんな文書で分かってきたということだと思います。
もう一つは、売却の際に、ごみがないにもかかわらずごみを積算し、その撤去費用などを見積もったのではないか、この部分だと思うんですね。
今日は、ごみの積算をしたのが国土交通省大阪航空局ですから、国交省にも来ていただいております。
初めに、国交副大臣にお聞きしますけれども、国側が、値引きをされる当事者である森友学園側に、結果的には八億二千万円の撤去費用なんですが、この算定について関与させた、見積りを業者にさせたということはないということでよろしいですね。
○副大臣(あきもと司君) ないという解釈でよろしいだろうと思います。
○辰巳孝太郎君 お聞きしますが、当時業者が、ごみが出て以降ですけれども、独自に見積もったその見積書などを確認をされたことなどはありますでしょうか。
○政府参考人(和田浩一君) お答えいたします。
そのような事実は承知しておりません。
○辰巳孝太郎君 今日の東京新聞で、国交省自身が積算をしたのではなくて、いわゆる国が業者に見積りをお願いをしていたというような報道があるんですけれども、これは誤報だと、あり得ないと、こういう話でしょうか。
○政府参考人(和田浩一君) お答えをいたします。
八・二億円の見積りにつきましては大阪航空局が自ら行ったというふうに職員から聞いておりまして、その過程で関係の工事業者から資料の提出を受けたりとかそういうことはしてございますけれども、見積り自体は国の方で行ったというふうに伺っております。
○辰巳孝太郎君 処分費の単価なんかは業者から聞き取りなんかをしていたんじゃなかったでしたっけ。
○政府参考人(和田浩一君) 御指摘のとおり、処分費の単価については、ほかの事業者の情報も聞いた上で設定をさせていただいております。
○辰巳孝太郎君 ということは、今日の新聞、報道されているのは、これは虚偽報道というか、誤報だということですね。
○政府参考人(和田浩一君) お答えいたします。
私どもが聞いているのは、八・二億の見積りは国自らが行ったものであるというふうに聞いてございます。
○辰巳孝太郎君 しつこいようですが、処分費以外で業者から参考にしたものというのはないという認識でいいですね。
○政府参考人(和田浩一君) お答えいたします。
見積りに当たりまして、校舎の設計の概略図、それから森友学園側が行った試掘の報告書など、見積りに必要となるような資料は工事関係者から入手をしてございます。
○辰巳孝太郎君 概算というのはどういう概算ですか。
○政府参考人(和田浩一君) 設計の概略図でございます。
○辰巳孝太郎君 ということは、業者が例えばここは九億だとか十億ぐらいのごみの積算になるというようなことは一切聞いていないということで、確認します。
○政府参考人(和田浩一君) そのようなお話を伺ったことはございません。
○辰巳孝太郎君 分かりました。
この特例で始まった貸付契約なんですけれども、私は、このごみが噴出した後の対応というのもまさに特例となっているということを今日はやり取りしたいと思うんですね。
この間のやり取りで明らかになってきたのは、売却契約の前年の有益費の工事では全てのごみというのが取り除かれていなかった、大量のごみというのはおよそ三メートルまでは残されていた、そしてくい打ち工事が翌年二月から始まり、三月十一日に籠池氏がその噴出しているごみを発見し、これはえらいことだということでごみの処理を国側に求めた、そして八億二千万円の値引きがされたと、こういうことだと思うんですね。これが一つの事実としてあると。
一方で、我々この間、様々な委員会で示させていただいてきたんですが、三月の十五日に籠池さんが本省に来て田村嘉啓室長と直談判をされ、三月の十六日にも大阪に戻って近畿財務局、航空局と折衝し、三月の三十日にまた集まってというのが持たれるわけですよね。この三月三十日の様子を録音したテープというのが、我々入手して、財務省にもそれはもう手渡していると。その中での三月三十日のやり取りというのが、いわゆる工事業者の方から、三メートルより下からはそんなに多くごみは出てきていないよと言っているにもかかわらず、国側の職員の皆さんが、いやいやいやと、九メートルまでごみが出てきているというストーリーでいきましょうよという口裏合わせのやり取りがされているじゃないかということを我々は指摘をしてきたわけなんですね。
で、今日は、なぜ出てきたごみを、三メートル程度までの残したごみ、これは残っているごみが元々あるわけですから、ではなくて、その下からの新たなごみとしなければならなかったか、ここが大事なんですよ。ここがこの値引き交渉の全ての始まりになるんです。残したごみじゃ駄目なんです。三メートルより下の、国が知り得ていなかった新たなごみにしなければ全ての補償は始まらないというのが、実は今年出てきたあの法律相談文書、私は前年から言っていましたけれども、ここではっきりしたんですね。
聞きますが、出てきたごみが森友の残したごみの場合、そして新たなごみの場合、三メートルより下の、補償はそれぞれどういうふうに違いが出てくるんでしょうか。
○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
委員の御指摘は、法律相談文書に付いているフローチャートを説明せよというような趣旨だというふうに理解をします。
基本的には、貸付けの合意書で五条というのが基本的にあって、元々地下に埋設物がありますと、そのものの範囲内だということか、あるいはその範囲を超えるものかという議論だと思います。範囲内であれば、基本的にはそれを処分すれば有益費として扱うと。その中であれば有益費として扱うし、その範囲内だということであり、それを超えれば有益費として扱えないということ。
だから、その五条の関係だけを捉え、ほかにもいろんな要素はあると思いますが、損害賠償請求という話につながるので、損害賠償請求そのものはいろんな要素はあると思いますが、その五条との関係だけで捉えれば、あらかじめ承知をしておいた範囲内であれば、基本的にはその分の処理であれば損害賠償請求は生じないというのが基本的な法律相談の議論であり、昨年秋に委員が御指摘されておられたこともそういうことだというふうに私は認識をしております。
○辰巳孝太郎君 今日、資料に付けました。これ非常に分かりやすいんですよ。廃棄物混合土壌が、本件報告書、これ右側の丸になりますが、契約書五条、つまり様々な資料で既に契約前から三メートルまではごみがいっぱいありますよとこれ示しているんですね。で、籠池さんはそれは知って契約をしているわけなんですよ。出てきたごみが、つまり三メートルまでの、あえて森友学園が有益費で撤去しなかった、これ撤去しなかった責任は森友学園ですから、国に責任はありません。そのごみが出てきた場合は六条の処理に従う、つまり、これは有益費でやりますよと。
もちろん、だから、籠池さんが処理したお金というのは、これは予算措置で、有益費で、ただしそれはすぐには払えなくて、翌年度、あるいはそれよりまた後になってしまう、そういう有益費のやり取りで処理しますよ、これ契約に書いていますから、これが残したごみのやり方なんです。ただし、ただしですよ、ただし、森友学園にとっては翌年に開校が控えている。国であろうが森友学園自身であろうが、ごみの撤去をした場合は翌年の開校には間に合わないんです。間に合わないんだけれども、残したごみ、三メートルまでのごみであれば、それは森友の責任なんです。これは昨年やりました。森友の責任なんです。国は知ったこっちゃないんです。それ、森友の責任、残したんだから、あんたらの責任だと、遅れようが関係ない、こういう対応ができたんです。
今回取ったのはそうじゃありません。そうではなくて、三メートルより下の新たなごみというのを皆さんは見付けたんだということから、左のチャートフローに行くわけですよ。新たなごみの場合は、契約書五条に記載をされていないということですから、これは国の瑕疵になります。国自身がこれは撤去をしなければならないことになります。しかし、撤去をすると翌年の開校は遅れます。だから、損害賠償をされる可能性がある。だったら、だったら、更地価格からごみ費用、これは保守的に見積もってという言い方を皆さんされていますけれども、値引き八億二千万円をやりましょうね、こういう契約になったわけですね。ですから、残したごみか新たなごみか、これが一番大事なんです。これが一番大事なんですね。
ところが、先ほど私が申し上げました三月十六日のテープがあるわけですね。今日、二枚目の資料を御覧ください。三月十六日というのは、先ほども申し上げました、三月十一日にごみが発見されて交渉をいろいろやっていくわけです。本省の田村室長とやり取りをした、翌日、国がどう言っているか。こう言っているんです。
今回出てきた産業廃棄物は国の方に瑕疵があることが、多分、多分というか判断されますので、その撤去については国の方からやりたいと思っていまして。土壌改良やった部分とは違うものだ、今回、土壌汚染改良と埋設物の撤去はやっていますよね。これ前年の話でしょう。それとは違うものが出てきたと。籠池さんは、えっ、違うの、どういうことと。籠池さん、実はごみが残されているということを知らなかったんです。知らなかったんです。だから、籠池さんが新たなごみと言うのは、それは真っ更にきれいになっているところからごみがいきなり出てきたものですから、彼は新たなごみ、新たなごみと言うんですよ。余り理解していないんですね。そう言うと、そうですと、そうなんですと。最後に、今出てきている部分がありますよね、ごみが。そこについては恐らく、瑕疵、国が知り得なかったもの、要するに我々は土壌汚染改良をやった残りだと認識していないというやり取りを三月十六日の段階でやっているんですよ。
財務省、新たなごみだと。これ、二つあるんですね。残したごみなのか、森友があえて。国に責任ない。それとも、新たなごみなのか。これ、判断が二つ迫られていたわけですよ、この時点で。
確認しますが、新たなごみであると皆さんが認定されたのは何月何日なんでしょうか。
○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
新たな地下埋設物だというのを明確に何月何日だという答えはできないと思います。要すれば、連絡があって最初にたしか現地確認をしたのが三月の十……(発言する者あり)四ですよね。委員お詳しくていらっしゃるので、ありがとうございます。三月の十四だったと私も記憶していますが、それ以降、話合いもし現地確認をしている中で、いろんな意味での認識をより深めてということだと思います。
ですから、何日でと、今委員は三月十六日でというところの議論をされておられると思いますが、その日でという話ではないと思います。
○辰巳孝太郎君 それは全く通用しない議論です。
法律相談で、今、チャートありますね。これリーガル文書で、補償の仕方は大きく分けて二つあると。この二つが大事なんだと。森友学園があえて残したごみなのか、それとも国が、契約書五条で、国が調べなかった、知り得なかった、国の瑕疵になるごみなのか、これによって補償の仕方が違うよと。これ、はっきりリーガル文書でやっているわけですから、皆さんの責任は、これが五条のごみなのか、それ以外の、それより、三メートルより下から出てきたごみなのか、それをまず判定しなきゃならないんですよ。それをやっていないということは絶対にあり得ないんです、あり得ないんです。
じゃ、聞きますが、これは残したごみではない、つまり新たなごみだと、残したごみではないんだと、こう言える資料というのはあったんですか。
○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
法律、法曹部門からすれば、今委員がおっしゃったように、これをどういうふうに捉えるかということが法律的にはどう当てはまるかということだと思います。一方で、現場の職員、現地でやっていた職員は、もちろんその法律相談でいう法的なことを頭に入れた上でではありますが、やはり現地を見て、現状が、実際がどうかということだと思います。
今の委員の御質問は、恐らくお答えは重々承知の上でということだと思いますけれども、それは様々なもの、要するに現地を確認していろんな、三・八メートルなり九・九メートルなりのくい打ち、あるいは後での掘削の確認、あるいは元々有益費の工事のときに見ていたものと違うものを見ていること、御案内だと思いますけれども、それから、その上で、かつての、平成二十二年の地下の構造物調査のときの結果の確認、さらにはその前の地歴、土地の歴史の確認といったことを全て含めて総合的に勘案してそういう判断をしているということでございます。
○辰巳孝太郎君 ですから、三月三十日に口裏合わせいろいろやるわけですけれども、その後も、ボーリング調査の結果出してくださいと。つまり、新たなごみであることを確証できる、証明できる様々な資料を四月に入ってからも皆さん要求しているんですよ。つまり、まだその段階では、三月三十日あるいはそれ以降の段階でも皆さんはその証明する資料を要求しているわけですよ。
三月十六日の段階で新たなごみかどうかもよく分からない、資料もないんですから。まだ試掘だって見ていないんですよ。試掘やったのは三月二十四日。皆さんが、穴掘って、ごみが、ああ、確かにあるねと、三・八メートルに関してはですけれども、これ見たのは三月三十日ですから。ごみが出てきているのは、そのものは見ているんですけれども。
これ、三月十六日の段階で、局長、聞きますが、このやり取り、やっぱりこれ断定、多分、多分というのは恐らくこれ良心があるからなんですよ。断定できないというふうにこの職員が思っているからだと思うんですが、しかし、国に責任がある、つまり新たなごみだということをこのやり取りでも、三月十六日の段階で言ってしまっている。これは私はあり得ないと思いますよ。なぜこんなことをしたのかなんですよ。なぜこんなことをしたかなんです。これは森友に対する便宜なんです、便宜なんです。
例えば五条に示されている、あえて森友が残したごみである場合は、先ほども申し上げたように、森友がやらなきゃならない。有益費で、例えば三億円ごみの費用掛かりました、後から戻してくれるでしょう、有益費で。だけど、これはプラス・マイナス・ゼロなんです、森友にとったら、その部分では。しかし、買取りになったときはごみがきれいになっていますから、これは有益費ですから、価値が増加するんです。
つまり、今回の鑑定結果でいうと、三億円払った、戻した、プラス・マイナス・ゼロ。しかし、売却のときは九億五千六百万円を払わぬと駄目なんです、森友学園は。そうなるんですよ。そして、翌年の学校の開校も遅れる。こういう話なんです。
一方で、新たなごみにした場合は、新たなごみ、つまり国があえて責任をかぶるということにした場合の補償というのは、これ損害賠償責任ですね、翌年の開校が遅れることの損害賠償責任。それらも含めて、今あるごみ、出てきているごみも含めて保守的に見積もって八億二千万円値引きした。ですから、森友学園にとっては出ていくお金は幾らでしたか。一億三千四百万円でした。もちろん、ごみについては自分であとはやりなさいよということですけれども、実際、森友学園がごみの処理で掛かった費用というのは、報道されているところでは元々の八億二千万円の大体百分の一ですから、もうほとんど丸もうけなんですよ、森友学園にとったら。こういう便宜を図るために新たなごみを捏造したんですよ。
大臣、大臣、これ、ここの部分、非常に大事なんです。なぜ新たなごみと認定したのか。あやふやな答弁でした。これもう一度調査していただけませんか。これ必要だと思います。お願いします。
○政府参考人(太田充君) お答えを申し上げます。
委員が大変明晰に論理を展開していらっしゃると思いますが、その委員でさえ森友に対する便宜だというところに思いっ切り論理の飛躍があると思います。
その上で、その上でということでございますが、調査をするということは、基本的にはこの話は、本当にするためには、全て土地を掘り返すということをしない限り不可能だと思います。ですが、現状、土地なり建物なりの状況は委員御案内のとおりであります。しかもさらに、仮に本当に掘り返すことができてそれが分かったとしても、それは今回の契約なり、ものをやるときには、それができるのであればこんな苦労は我々も森友学園側も全然しなくてよかった話なので、それができない中でどういうふうに考えるかということであり、その中で瑕疵担保を免除するという特約を付けてまでどうするかというのが今回の議論だったというふうに思っております。
○辰巳孝太郎君 最後、最後。
○委員長(長谷川岳君) もう既に時間を過ぎております。
○辰巳孝太郎君 最後です。
○委員長(長谷川岳君) 終えてください。
○辰巳孝太郎君 はい。
話をすり替えないでいただきたいと思います。この議論、またやると思います。
ありがとうございました。