セブンイレブン問題 賃金切り捨てに指導を
日本共産党の辰巳孝太郎議員は、6日の参院デフレ脱却・財政再建調査会で、セブンイレブン本部の賃金切り捨てシステムの問題を改めて取り上げ、実態調査と指導、産業界への周知徹底を求めました。
辰巳氏は、25~44歳の非正規雇用労働者は1995年の355万人から2015年の683万人へと約2倍になり、政府統計でも34歳以下の若年層の1月の消費支出が前年同月比11・7%減と、全世帯の平均3・1%減と比較して深刻になっていると指摘。低賃金・非正規雇用の広がりが若者の消費活動に影響を与えているとの認識があるかとだたしました。
竹内譲厚労副大臣は「今この場でお答えできない」と若者の実態に背を向ける姿勢を示しました。
辰巳氏は、セブンイレブンの賃金切り捨てについて、3月28日の参院予算委員会で安倍晋三首相や塩崎恭久厚労相が「違法行為等が発生していることは極めて重大」「指導しなければならない」と答弁したことをあげ、早急に指導すべきだと追及しました。
竹内副大臣は「指揮命令下にある労働時間の切り捨ては労働基準法違反」とする一方、「個別企業に対して指導するかどうかは言えない」などと逃げの答弁に終始。辰巳氏は、「セブンイレブンの給料支払いは15日締めになっている。もう時間がない」と述べ、実態調査と指導を重ねて要求しました。
2016年4月9日付「しんぶん赤旗」より引用
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
一月の家計調査で、三十四歳以下の若年層の消費支出が前年同月比一一・七%減の大幅なマイナスとなりました。全世帯の平均は三・一%減ですから、若者の消費の冷え込みが特に深刻であります。
今や、働く者の四割が非正規雇用であります。労働力調査によりますと、二十五歳から四十四歳までの非正規雇用の労働者は、一九九五年は三百五十五万人でありましたが、昨年、二〇一五年には六百八十三万人、つまり二十年でほぼ二倍になりました。
厚労副大臣に聞きますが、今個人消費が低迷しております。低賃金、そして若者の非正規雇用の広がりが消費活動に影響を与えているという認識はありますか。
○副大臣(竹内譲君) 御指摘の点でございますが、この点につきましては、そうですね、確かに景気全体の問題がございますし、様々な要因があろうかと思います。それぞれの若者の方々の雇用形態も様々な要因がございますし、それが全体に、このマクロの消費にどのような影響を及ぼしているかということにつきましては、ちょっと今この場で的確にお答えすることはできかねます。
○辰巳孝太郎君 ちょっと信じられない答弁なんですが。若者の非正規雇用が倍になっているんですね。賃金だって、国民全体の賃金は引き下がっていますから、それが消費活動に影響を与えるのは明らかだと思います。
三月の二十八日に私は予算委員会で、コンビニ業界最大手のセブンイレブン本部が作成した賃金管理システムについて取り上げました。法令では一分単位の労働時間の管理と賃金計算が求められておりますけれども、このセブンイレブン本部が作成したシステムは、十五分未満の労働に対する賃金は切り下げることを初期設定として組み込んでしまっております。私の質問に対して総理は、違法行為等が発生していることは極めて重大な問題であると答弁をいたしました。厚労大臣も、しかるべき対応をしなければならない、指導しなければならないとの答弁がありました。
厚労副大臣、一般的な政府の学生のアルバイトに対する取組の紹介は結構ですから、セブンイレブンに対する調査、指導は行ったか、お答えください。
○副大臣(竹内譲君) 個別の事案についてお答えをすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、一般的に、労働時間は使用者の指揮命令下に置かれている時間であると。その中で、実態がどのようになっているかということが大事だというふうに思っておりますし、実際に指揮命令下に置かれた時間が切り捨てられたり賃金や割増し賃金の不払が生じている場合には、労働基準法違反となるというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 指導したのか、調査をしたのか、お答えいただきたい。
○副大臣(竹内譲君) 繰り返しになって恐縮でございますが、個別の事案につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
労働基準監督署における指導監督におきまして、様々な調査をして、これが違法行為があればこれは是正を指導してまいりたいということでございます。
○辰巳孝太郎君 副大臣、三月の二十八日の大臣の答弁で、しっかりと対応していかなければならない、指導していかなければならない、総理は違法行為等が発生していることは極めて重大な問題であるという答弁を、そこまでしているんですね。これはもう個別企業の問題で逃げられる話ではないと思います。
セブンイレブンは毎月二十五日の給料支払なんです。それは十五日締めで行っているんです。これ、十五日締めまでほとんど時間がありません。これ指導するんですか、はっきりお答えください。
○副大臣(竹内譲君) その個別の事案につきまして、今ここでお答えするわけにはまいりません。
また、そういう今御指摘の点につきまして、ちょっと確認するすべもございませんので、個別の事案につきましては、繰り返しになって大変恐縮ですが、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 すぐに、すぐに確認をしていただきたいというふうに思うんですね。
この労働時間の管理というのは各店舗のオーナーだけがやっているわけではありません。それぞれの労働時間、アルバイトが働いた労働時間というのは全て本部も把握をしております。そして、その賃金は、オーナーがアルバイトに払うのではなくて本部が直接アルバイトに払うことになっているんです。だから、全部労働時間の管理は本部がする仕組みになっているんです。
そのことを、副大臣、御存じでしたか。
○副大臣(竹内譲君) 個別の企業がどうなっているかは私は存じ上げません。
繰り返しになりますけれども、実際に指揮命令下に置かれた時間がどうなったかということが大事であるというふうに考えておりますし、これが労働基準法違反の事実が確認されればその是正は厳しく指導しておりますし、アルバイトを含む全ての労働者の労働条件の確保に取り組んでいくということに変わりはございません。
○辰巳孝太郎君 副大臣、これ本部が違法行為を誘発するシステムを構築しているという重大な問題なんですね。
衆議院、参議院、各会館の下にセブンイレブンありますけれども、セブンイレブンはコンビニ業界でまさに最大手で独り勝ちの状況であります。一日三回の発注システムを構築するなど、それぐらい緻密なシステムをつくっている企業が、そこで働く労働者、アルバイトの賃金は丼勘定なんですよ。十五分未満は切捨てでやっているんですよ。
副大臣、これやっぱりおかしいと思いませんか。おかしいかどうかだけ答えてください。
○副大臣(竹内譲君) 一般論としてお答えするしかないわけでございまして、個別の企業が、今突然言われましてもどうなっているかはちょっとお答えのしようがないということでございます。
あくまでも、先ほどから申し上げておりますように、実際に指揮命令下に置かれた時間がどうなのかと、それが切り捨てられているのかどうか、不払が生じているのかどうか、そこを基準として、そこに反していれば労働基準法違反として取り締まるということでございます。
○辰巳孝太郎君 副大臣、やっぱりおかしいと言えないのはちょっとね……
○会長(鴻池祥肇君) 辰巳委員に申し上げたいのですが、会長の指名を待って御発言ください。
○辰巳孝太郎君 済みません。はい、失礼いたしました。
やはり、おかしいと言えないのはちょっと不可解なんですが。これ十五分未満を切捨てでやりますと、例えば一か月二十日間働く労働者が年間二百四十日働いた場合、これ始めの時間と終わりの時間それぞれ十四分最大切り捨てられますから、一日二十八分切り捨てられるんですよ。これ二百四十日やりますと、時給が九百円の場合ですと年間十万八百円の賃金が支払われていないということになるんですよ。
これだけ若者の低賃金が問題になっている、そして、その若者が搾取をされているということは、これ日本のやっぱりデフレ、これを長引かせているということにもつながってくる問題だと思うんですね。政府は、きちっとこの問題に対して調査をして、そして指導することを求めて、私の質問を終わります。
○辰巳孝太郎君 安倍政権はアベノミクスと称して異次元の金融緩和を進めて、日銀は新規に発行される国債のほとんどを買い占めて、日銀が保有する国債残高はこの三年間で三倍近い三百五十三兆円に達し、全体の三割を占めるに至りました。ところが、市場に大量の資金を供給すれば企業や家庭が投資や消費をするだろうという当初のもくろみは完全に外れて、企業の投資も個人消費も増えておりません。
経済の好循環が生まれていないわけですが、その一番の要因は賃金が増えていないからではないでしょうか。実質賃金は四年連続で下落をして、国民には景気回復の実感あるどころか、生活は苦しくなるばかりであります。
とりわけ、二〇一四年四月に消費税の税率を五%から八%へ引き上げ、消費を冷え込ませました。安倍首相も、消費税の影響は一時的と当初は言っていましたが、三月に入りまして、予想以上に落ち込んだのは事実であり、予想以上に長引いているのも事実と認めざるを得なくなりました。
来年四月に再増税に踏み切れば、僅か三年間で五%から一〇%への大増税となります。国民一人当たり年間八万一千円、平均的な世帯で十八万四千円ものすさまじい負担増になってしまいます。国民生活も経済も財政も破綻をさせてしまう消費税の増税は中止すべきだと考えます。
一方で、大企業は史上空前のもうけを上げて、二〇一四年には過去最高の経常利益を上げました。政府は、本年度から法人実効税率を二割台に引き下げ、更なる優遇を続けようとしておりますけれども、既に三百兆円を超える内部留保を積み上げている大企業をこれ以上優遇する合理的な理由はありません。結局トリクルダウンは起きずに、賃金には回らないからであります。
アベノミクスの破綻ははっきりしたと思います。GDPは、二〇一四年度には年間でマイナス一・〇%、二〇一五年度も直近の十月から十二月期には年率換算で前期比マイナス一・一%に落ち込んでおります。安倍首相は二〇一三年に、バイ・マイ・アベノミクスとニューヨークで呼びかけましたけれども、私は今必要なのはアベノミクスからの決別、つまりバイバイ・アベノミクスだと思っております。
格差と貧困も広がりました。例えば預貯金や株式など金融資産を持つ人と持たない人の格差であります。この三年間、株式では五三%の増加で百六十九兆円となりました。一方で、金融資産を保有していないと答えた人は、二人以上の世帯で三割を超えて過去最高であります。中でも、二十代では六二・六%でありまして深刻です。アベノミクスの恩恵は富裕層に限られる一方で、低所得層は円安、物価高などで自らの金融資産を取り崩しているということは明らかだと思います。
アベノミクス、異次元金融緩和の狙いは、物価が上昇するから早いうちに投資をしよう、消費をしようという消費者マインドに働きかけるものであります。しかし、私は、その想定自体が正しいのか、間違いではないかと思っております。つまり、物価が上昇するなら買い控えよう、これが今の庶民のマインドではないでしょうか。
その背景の一つには、国民の間で広がる将来不安があります。安倍政権が小泉改革を超える社会保障費の自然増削減を強行する中で、将来、年金は受給できるのか、将来、普通の暮らしはできるのかという不安であります。
また、保育所の待機児童の問題でも、あるいは教育ローンともいうべき奨学金の返済に苦しめられている学生、若者の怒りに代表されるように、福祉、教育、医療、介護など、自らが納めた税金が自らのために使われていないのではないかというこの当然の怒りがあります。
政府がこの声に耳を傾けて、税金の使い道を、一部の大企業の減税でも不要不急の大型開発でも軍事費でもなくて、国民の暮らしのために使うという政策に変えない限り、国民はお金を使わないし、使えないと私は思います。
最後に、財政ファイナンスともいうべき金融政策は、将来の国債暴落リスクを高めて、財政再建にも逆行をします。破綻した金融政策頼み、株価頼み、トリクルダウン政策頼み、これを改めて真っ当な経済政策に切り替えるべきです。すなわち、正社員が当たり前の社会をつくって雇用の安定を図って実質の賃金を上げていく、社会保障を充実して将来の不安をなくしていく、中小企業を応援する政治に転換するなど、国民の懐を暖める経済政策に切り替えることを求めて、私の意見といたします。
以上です。