中小企業経営強化法の前回の改正の際に、提案理由として、中小企業・小規模事業者等は、地域に根差した特色ある事業活動を行い、多くの就業機会を提供するなど、地域経済の活性化や雇用の確保に重要な役割を果たしています、しかしながら厳しい事業環境にさらされていますと、こういうふうに説明があります。
まず最初に確認をしたいんですけれども、大企業と中小企業の生産性、これが今どれぐらい開きがあるのか、これをまずお答えください。
○政府参考人(吾郷進平君) お答えします。
法人企業統計年報によりますと、従業員一人当たり付加価値額で見た労働生産性は、二〇一六年度におきまして、資本金十億円以上の大企業では千三百二十四万円、一方、資本金一億円未満の中小企業では五百五十六万円となっておりまして、二倍程度の差があるというふうに認識しております。
○辰巳孝太郎君 二倍以上の差があるわけですよね。この先ほどの提案理由の中にも、近年更に格差が拡大する傾向があるということも指摘をされております。
今ありましたとおり、規模別で生産性を比べるときに使われるのは、この付加価値というものに就業者数、人数を割ったものということになるわけですね。つまり、生産性を向上させるためには、付加価値を伸ばすのか、それとも人を減らすのかと、こういうことになるわけなんですが、しかし人手不足に悩む中小企業はこれ以上人員を減らすことはできないと。それは、今提案されている政策の狙いとも違うと私は思うんですね。
未来投資戦略二〇一七のⅢ、1の中堅企業・中小企業・小規模事業者についての項にも、この付加価値を高めて生産性を向上することが重要だと、こうされております。そのためにどうするかということで、IT化とかロボットとかデータ利活用などがまず最初に一項目めに出てくるわけなんですけれども、私はその前段階でもっと重要なことをしなきゃならないのではないかというふうに思うんですね。
大臣は、いわゆる世耕プランというものを作り、取り組まれておられます。この大企業と中小企業との間の取引、下請関係での取引が最も顕著に現れていると私は思うんですね。つまり、中小企業の生産性向上の阻害要因として、不公正な取引、大企業と中小零細企業、この間の不公正な取引があるんだという問題意識は大臣お持ちかどうか、伺います。
○国務大臣(世耕弘成君) 当然、中小企業の生産性を上げるためには中小企業の手取りを増やしていかなければいけないわけでありますから、そういう意味では、不公正な下請取引があるとしたら、それは当然中小企業の生産性向上の阻害要因になっていると考えておりまして、そういう意味でも、下請取引の改善、世耕プランに今熱心に取り組んでいるところであります。
○辰巳孝太郎君 あるとすればという話がありましたけれども、私は非常に顕著ではないかなというふうに思うんですね。
中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係府省等連絡会議というものも立ち上がりまして、三つのワーキンググループで下請問題、最賃引上げ、働き方や生産性向上を取り扱っています。そのうちの下請問題のワーキンググループの資料に、昨年、下請Gメンが行った下請企業ヒアリングの概要があります。そのうちの、業況等についてを紹介してもらえますでしょうか。
○政府参考人(吾郷進平君) 昨年四月から全国に下請Gメン八十名規模で配置をいたしまして、今年の三月末まで累計で三千件の下請中小企業ヒアリングを実施しております。その中で、売上量、売上単価や原材料価格、エネルギー価格、人件費などのコストの上昇の状況についても取引状況と併せて調査をしたところでございます。
具体的な回答があった企業のうち、売上量につきましては増加しているという回答が多うございます、四八・二%でございますが、売上単価につきましては横ばいであると回答した企業が六二・七%と多くなっております。また、コスト面につきましては増加していると回答した企業が原材料価格につきましては六六・〇%、エネルギー価格につきましては四四・八%、また、人件費では八二・二%と、いずれについても増加していると回答した企業が多くなっております。
○辰巳孝太郎君 売上量は増えているんだと、だけれども、エネルギーコストとか材料価格とか、あるいは人件費というのは上昇をしている、しかし売上単価というのは横ばいだと、こういう話なんですね。
大臣、つまり、これ、製品を作るためにはお金が掛かるようにはなっていると、ところが売値が上がっていないわけなんですね。つまり、これ利益幅が圧縮をされているわけなんです。ですから、材料の価格とかエネルギーコストの上昇分がきちんと転嫁をされていれば、これ下請企業の生産性は計算上向上することになるんじゃないんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 全くおっしゃるとおりだと思います。
ですから、価格転嫁が非常に重要だということで下請取引の改善に取り組ませていて、特に、今おっしゃったように、電気代上がっています、東日本大震災以降ですね。あと、アベノミクスで円安に振れていますから、輸入している材料代も上がっています。あるいは、今、賃上げを我々一生懸命取り組んでいて、最低賃金ですらかなり大幅な過去最高の上げ幅をやっているわけでありますから、そういう意味では賃金も上がっている。こういったことをしっかりと下請取引の価格に転嫁をしていくということが中小企業の生産性高める上でも極めて重要だというふうに認識をしています。
○辰巳孝太郎君 ということになりますと、コストが上がっているんだと、これは中小企業の皆さんの努力ではどうすることにもできないわけですよね。中小企業の生産性がそこで下げられていると。下請関係だけではなくて、大規模小売業者との、納入業者との取引でも返品の押し付けとか協賛金の負担とか様々な方法で取引先に利益を削られ、取られてしまう、そういう実態があるということがここでも報告をされているわけなんです。
働き方や生産性向上のワーキンググループ、これ二〇一七年の十一月の二十二日のものですけれども、ここで示された働き方改革関係ヒアリング等概要というものもあるんですが、ここでは中小企業支援をしている有識者や中小企業経営者にヒアリングをして、まとめられています。大きく分けて、事業者内の問題、発注者側、調達側の問題、その他の関係となっているんですが、このうち、発注者側、調達側の問題、特に民間の取引で出た意見というのを紹介していただけませんか。
○政府参考人(吾郷進平君) この一月十一日に関係省庁連絡会議で御報告いたしました中小企業・小規模事業者の働き方改革をめぐる取引に関する不安や問題点といたしましては、一つは、大企業の働き方改革の影響によって短納期発注などのしわ寄せが来るのではないか、あるいは、人手不足の中、せっかく自分たちが生産性向上、コストダウンの努力をしてもその果実を大企業や親事業者に吸い上げられてしまうのではないか、そういった点が挙げられております。
○辰巳孝太郎君 だから、深刻ですよね。これ、結局、発注者側のしわ寄せを食らうんだということですよね。生産性せっかく向上させても全て吸い上げられてしまう、コストの上昇分を転嫁できない。大企業がやりたがらない仕事を回されるとか、そういうこともあるんですよね。まさにここに端的に示されていると思うんです。
今日は、資料にも付けましたけれども、私の地元の大阪の現状、これが本当に深刻なんですね。これ、大阪シティ信用金庫さんが御自身の取引先の中小企業に聞き取り調査をしたものなんですが、それを紹介したいというふうに思います。
コストの状況はということについては、七割が上昇しているんだと。それを売上げに転嫁できているかということを聞きますと、余り転嫁できていないが六八・三%、全く転嫁できていない一九・七%で、これ九割の近くの企業ができていないんだと。近々できそうになるか、見通しはどうかと聞きますと、転嫁できそうだと答えた人はこれ五・一%にすぎないわけなんですね。値下げ圧力を感じている企業、これは七七%というふうになっています。これ、毎年聞いているようなんですね。これ通年で見ましても、どんどんどんどん値下げ圧力感じている人が増えているんですよね。むしろここ二年間増えていると。この圧力の中で何とか価格を据置きで耐えているというのがこのアンケート調査からも分かります。デフレの実感ということもありまして、デフレが続いていると答えた人はこれ九七%と、デフレ感じなくなった企業が三%ということですから、大阪ではこんな状況になっているんですね。
先ほどのワーキンググループのヒアリング結果とやっぱり同じなんですよ。上昇したコスト分も、販売価格を上げられない、これ利益が圧縮をされている、その状況を改善できないんですね。これ解決できない状況で中小企業は大企業よりも生産性が低いんだということは、私は、これ決して論じられない、論じるべきじゃないんじゃないかというふうに思うんですね。
大体、経産省にもちょっと言っておかなきゃならないんですが、未来投資会議構造改革徹底推進会合「地域経済・インフラ」会合の第一回の議事要旨の中で、中小企業庁の次長はこう言っているんですよ。私どもも、中小企業について、廃業される方々について、廃業された方が中小企業全体の生産性向上に資するケースがあると、こういう発言があるんですね。これ、僕、とんでもないと思うんですね。これは、小規模企業振興基本法に反するわけですよ、こういう発言は。つまり、この基本法は、中小零細企業に対して、これ、事業の持続的な発展を原則として初めて位置付けたわけなんですね。つまり、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持をこれ政府が、国が支援することが基本原則なんだと。多国籍化とか空洞化などで厳しい中小零細企業でも、事業を維持していることそのものに意義があるんだ、それを応援するんだというのがこの基本法の基本原則なんですよ。ですから、中小企業白書でも、この基本原則の追加をパラダイムシフトと記していたわけなんですね。
経産省、確認しますけれども、こういう今の中小零細企業の状態を改善するためには、あるいは生産性向上というのであれば、こういう現状を正確に把握をして、本当にそれが現場で実行されているのかということを確認する、あるいは取引環境がこれだけ劣悪になっているわけですから、それを正していく必要があると思うんですよ。今、いろいろ取組もしていると思うんですけれども、この立入検査の権限のある下請検査官というのは何人おられるんですか、あるいは増えているんですか。
○政府参考人(吾郷進平君) 下請代金検査官の数についてでございます。経済産業省、中小企業庁は平成三十年五月一日現在で五十七名、公正取引委員会は平成三十年四月一日現在で百七名となっております。当省においては、大体、近年ほぼ同数で推移しておるところでございます。
下請代金検査官に加えまして下請Gメンあるいは転嫁Gメン、こういったものも含めて、全体として必要な体制を確保するよう努めてきているところでございます。
○辰巳孝太郎君 いや、ですから、変わっていないんですよ。
大臣、お聞きしたいんですけれども、中小企業の数は二〇一四年で三百八十万社程度ということになっているんですけれども、もちろん全部が下請関係で仕事をしているわけじゃないんですけれども、今紹介していただいた数ではちょっと桁が違い過ぎると、余りにも不十分だというふうに言わざるを得ないんですね。
大臣、検査官、思い切って増員していただきたい、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 増員しますと答えたいところなんですが、非常に国家公務員全体の定員が厳しい中で、なかなかその下請代金検査官の専任者の数というのはなかなか増やせない。何とか昨年度と同数の職員を配置するというところで頑張っているところであります。
その代わりと言ったら何なんですが、先ほどもお話ありましたように、下請Gメン、取引調査員ですね、これの体制を八十名から今百二十名規模に増強をいたしました。
何よりも大切なのはやはり中小企業の生の声を聞くことですから、これも年間ヒアリング件数を今四千件という目標を指示をして、四千件の声をしっかりと聞いてこさせる。今おっしゃるように、中小企業全体の数からしたら四千件少ないじゃないかと言われますが、この四千件をある程度業界別とかそういうのをきちっとそれなりに分けてありますので、そこで把握した業界の実態を、それぞれ業界別にしっかりとこういう声が現場から出ていますよというのをぶつけていくと。ですから、人員の予算の限られている中ではありますけれども、フル活用しながら下請取引改善に現場の声をしっかりと反映して取り組んでいきたいというふうに考えています。
○辰巳孝太郎君 その検査官による指導件数を見ましても、実は人員はほとんど変わっていないんですけれども、この三年間で見ても、平成二十八年度が六千三百二件、指導件数なんですね。これは三年前と比べて大体千近く増えているんですよ。ですから、一人一人の方が頑張っていただいているんだと思うんです。同時に、下請関係、この単価が、エネルギーに転嫁できない、そういうやっぱり関係がまだまだ改善されていない。増やしていただければこれもっと指導件数も増えていく、下請関係の改善がこれできていくということのこれ証明ですから、これ是非増やしていただかないことには、これ生産性という数字だけでは本当の企業のポテンシャルというのは見えないと思います。技術や人材などその企業の努力で売上げを伸ばせる可能性があっても、取引条件によってその利益が奪い取られているということですから、中小企業の創意工夫した努力がきちんと中小企業自身の実になるような取引環境を整備するということを申し上げたいというふうに思います。
次に、コンビニフランチャイズ問題を取り上げたいと思います。
経済産業省の小売業生産性向上マニュアルには、日本の小売業の生産性が低い原因として、市場における従業者数が多く、競争環境が激しいこと、及び収入が見込めない時間帯(主に深夜)に至るまで長時間営業を行っていることなどが挙げられますと、こう記されております。全国に六万近い、六万以上ですかね、今ではもう、店舗があります、コンビニですね。近くに店舗をどんどん出していくというドミナント戦略というのがあるんですね。あえて近くに固めていくわけですね、同じコンビニさんがですね。あるいは二十四時間三百六十五日開いている、これがコンビニですね。
コンビニの加盟店は、強い立場にある本部から様々な圧力を受けている実態があります。通常十年とか十五年とかいう長いスパンの契約の中で、本部に対して契約変更の交渉すらなかなかできないというのが現状であります。本部が契約更新を認めなければ店も職も失ってしまうと、それを恐れて加盟店のオーナーたちは声を上げられない。ですから、フランチャイズというのは、それぞれが独立した経営者との対等の関係あるいはウイン・ウインの関係と言われたりするんですけれども、実態としては、一方がもう契約更新しないよと、こう言えば契約更新できないわけですから、オーナー側は非常に弱い立場に置かれているということです。
日本生産性本部の報告でも、日本のサービス業の労働生産性がアメリカの半分であり、二十四時間営業のような長時間労働が行われていることや高品質なサービスが安い価格で提供されていることなどが理由と、こういうふうにも書かれております。
大臣、昨年も聞いたんですけれども、やっぱり今日、今回は生産性の議論ですから、働き方改革とも言われていますけれども、やっぱり実態としてはオーナーは二十四時間営業しなきゃならないんですよ。だけど、深夜、これはもうオーナーとしては赤字なんですね。今、防犯の問題もありますから、売上げほとんどないのに一人じゃなくて二人も、あるいはそれ以上レジに置かなきゃならない、これが実態です。ですから、コンビニ、二十四時間営業、これ、せざるを得ないという状況を、やっぱり管轄する経済産業省としても正していくべきではないかという考えはございませんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 済みません、フランチャイズ契約については、本部と加盟店の間で締結される事業者間契約ではあるわけですが、中小小売商業振興法によって、本部に対して、店舗の営業時間を含む契約事項などを加盟希望者に対して契約締結前に開示することを義務付けています。このため、コンビニの加盟店は、営業時間などの契約内容を理解した上で本部との加盟店契約を締結をしていると承知をしております。営業時間を二十四時間とするか否かは、あくまでも経営判断に基づく両当事者間の契約に委ねられているものと承知をしています。
フランチャイズによっては、もう二十四時間を前提にしない契約をやっているところもありますし、あるいは二十四時間に対して補助金のようなものを本部から出しているようなフランチャイズもあるというふうに聞いております。また、今も、一部のコンビニエンスストアチェーンにおいてはもう二十四時間を前提としないチェーンも出てきましたし、あるいは、二十四時間を前提としているチェーンにおいても、いろいろな観点から、人手不足、生産性といった観点から営業時間を見直す検討が行われているというふうに承知をしていますし、例えば夜間無人で運営をするというような実験も行われてきているというふうに考えています。営業時間の在り方については、コンビニエンスストア各社が地域社会のニーズや社会環境などを踏まえて総合的に判断すべきものではないかと考えております。
○辰巳孝太郎君 実態としては、もちろん開示もしているし、契約のときには双方が合意という話なんですけれども、だけど、基本的には二十四時間というのは、じゃないと契約をしてくれないですし、契約更新もしてくれません。
これは私、昨年も、コンビニ会計というのは独特の会計システムなんだという話をおにぎりの例を使ってさせていただいたわけなんですけれども、コンビニ本部は、基本的に各店舗の売上げさえ上がれば、これロイヤリティー、ロイヤリティーの商売ですから、増えるんですよ、そういう仕組みなんですね。ですから、深夜営業を続けていて、その深夜の時間帯がオーナーにとっては赤字であろうが、これは各店舗のオーナー、これ人件費は増えるわけですけれども、それは負担するのはオーナーなんですよね。少しでも、ある意味売上げが上がっていれば本部自身はもうかりますから、これはやっぱりコンビニ会計の問題とも深くつながっているんですね。だから、実態としては、本部としては二十四時間開けてもらいたい、深夜の時間帯が赤字であってもと、これはもうかるわけですから。そういうコンビニ会計がやっぱり根底にあるということも指摘をしなければならないと思います。
今日は、資料の二枚目に付けさせていただきましたけれども、実は驚くべきことも起こっておりまして、これ、今年の二月に福井で大雪がありました。御記憶の方も多いかと思いますけれども、この記事であります。これは現在、中央労働委員会で、オーナーの労働者性について、加盟店のオーナーがつくる加盟店ユニオンと本部が実は争っているんですけれども、そこで、オーナーの労働者性を示す実態としてこの福井のセブンイレブンのケースが報告をされて、この新聞などでも報道されています。
この二月に福井県が豪雪に見舞われた際に、県内にあるコンビニ大手の加盟店、五十代の男性オーナーが、複数回にわたって営業停止を申し入れたんですが本部側が認めなかったと、三日間にわたる断続的な勤務のために、約五十時間、一睡もできなかったというふうに訴えておられます。オーナーは、客が通常の三分の一程度で、店員が疲弊している上、店の屋根から雪が落ちて客に当たるのも危険があるんだということで、本部に一時閉店などを要請をし続けたわけでありますが、本部側が同意をせずに、担当者は、けがをしても仕方ないから店を開けておくようにと、けがをしたら保険対応すればいいんだと答えたとされています。一緒に除雪に当たっていたパートナーが過労によって救急車で運ばれても、店を離れられないから付き添いができなかったと。まさに二十四時間営業が加盟店をきつく縛っていることを示したケースです。
私は、経産省にもこの報道が出て事実確認を求めたわけですが、このコンビニ本部はこのことについてどのように言っているんでしょうか。
○政府参考人(藤木俊光君) お答え申し上げます。
本年二月の日本海側の豪雪の際に、御指摘のように、福井県内の大手コンビニエンスストアの加盟店オーナーから閉店したいという相談を本部側、本部の店舗指導員という立場の方ですけれども、この方に申し出たところ、その閉店の了解が得られなかったということであります。
記事の中にもございますけれども、このコンビニエンスストアのチェーンにおきましては、災害時の加盟店向けのマニュアルにおいて、災害時や人命に影響のある場合はオーナーの判断で営業継続の可否を判断するということが定められているところでございまして、このマニュアルの内容について現場において不徹底であったということでありまして、この事案を踏まえまして、当該コンビニエンスチェーン本部の職員が現地を訪問して、当該オーナーの方に直接面談して事情を御説明申し上げ、そういった事情についてオーナーの方にも御理解をいただいたという状況であるというふうに聞いております。
○辰巳孝太郎君 ですから、オーナーの判断でという話になりますけれども、つまり、これセブンイレブン本部としても、今後同様のことが起きればオーナーの判断で閉店すると、できるということでいいんですね。
○政府参考人(藤木俊光君) 繰り返しになりますが、セブンイレブンにおきましては、災害時のマニュアルにおいては、災害時、人命に影響のある場合はオーナーの判断で営業継続の可否を判断するとなっております。今回、それが不徹底であったということでございますので、今後、社内、これは本部側も、それからオーナー側にもしっかり周知徹底していくと、こういう方針であるというふうに伺っております。
○辰巳孝太郎君 今回の一例は、やはりオーナーさんの労働者性というものが顕著に現れているのではないかというふうに思うんですね。マニュアルはそもそもあるわけですよ。災害時のときには、元々オーナーさんの判断で店を閉めることができるとなっているわけですね。もちろん念のためにオーナーさんは店を閉めていいのかと本部に聞くわけですけれども、先ほど言ったように、元々本部とオーナーとの立場というのは、これはもう対等じゃないわけですよ、対等じゃないんですよ。この新聞記事でも、許可を得ずに閉めてしまったら、これ継続できないんじゃないか、契約解除されるんじゃないかと、そういうおそれがあるから店を閉めることができなかったと言っているわけでありまして、そもそもやっぱり対等ではないんだということが大本にあると言わざるを得ないと思います。
と同時に、本部としては、一分でも一時間でも長く開けておけば、とにかくけがをしてでも何でも売上げさえ上がればいいんだと、こういう状況ですから、これは非常に大きな問題、構造的な問題を体現しているんじゃないかなというふうに思います。ましてや、客数や人手不足を理由に閉店するということは、これは契約上も基本的にはできないわけですよね。だから、ここもやっぱり改善していく必要があると思うんですね。
今オーナーさんが、コンビニの中には、開業するときにもう夫婦じゃないと開業できない、夫婦じゃないと開業、契約してくれないという条件がそもそもあるように、長時間労働が大前提に今コンビニというのはなっているんですよ。二十四時間開けないと駄目ですから、アルバイトの人が急に来れなくなったという際には、これ、誰がレジを打つのかといえば、これはコンビニのオーナーさんですよ。夫婦で結局打たなきゃならない。そんなときに店、閉めれないんですよ。だから、三年間一度も、一度もですよ、休むことができない、そういうオーナーさんは全国にこれもう普通にいますよ。
ですから、労働生産性とか、あるいは経産省の中でも、コンビニの社会的役割とかよう言われますやんか。最近では、民泊の鍵をコンビニで受渡ししようとか、あるいは防犯の役割をコンビニに、二十四時間開けてもらっているわけだから、地域で連携してやろうじゃないかと、こんな話ありますけど、コンビニのオーナーさん、別に警察じゃないですからね。売上げ上げるために必死に頑張ってやっていますからね。そういう、やっぱりいろんな役割担わせられながら、しかし、人手不足でも、あるいはこれだけの災害があるときでも店を閉められない、オーナーさん自身が疲弊をしていく、こういうことになっているわけであります。
大臣、やっぱり独立した事業者同士の契約というんですけど、立場が強い弱い、これ、あるのは明白だと思うんです。本当に共存共栄というものを目指すならば、やっぱり法律できちんと取引環境を整備することこそが今後のコンビニ業界にとっても私は必要じゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) コンビニエンスストアの本部が加盟希望者との間でフランチャイズ契約を締結しようとする際には、中小小売商業振興法によって、本部は加盟希望者に対して、商品の販売条件、加盟店料、店舗の営業時間や休業日などの契約内容に関する書面交付や事前説明を行うことが義務付けられているわけであります。
現行のこの中小小売商業振興法に基づくフランチャイズ契約の下、結果として、本部と加盟店の関係は総じて良好であると認識をしています。経産省は、平成二十六年に一度アンケート調査を行っていますが、約七割の加盟者がコンビニエンスストアのフランチャイズに加盟していることに満足というふうに回答をしております。
経産省としても、今後とも、本部が関連法令やガイドラインをしっかり遵守をして加盟店を支援していくことによって、本部、加盟店双方にとって生産性の高い持続的な発展が可能な関係を構築していくことが望ましいと考えております。
○辰巳孝太郎君 大臣、今、加盟店の声を二〇一四年に聞いていただいたということだったんですけれども、これ、非常にいいことだと思うんです。今、二〇一八年ですからね、四年たっているんですよ。人手不足もやっぱり急速に悪化をしておりますし、コンビニがもう六万店ということになれば、ある意味飽和状況になっているという報道なんかもあります。
やっぱり、コンビニ業界のこれからの発展のためにも、もう一度、もう四年たちましたから、コンビニ加盟店、もちろん本部に聞いていただいてもいいんですが、ここに声を聞いていただきたいんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(世耕弘成君) ちょっと御提案を受けて検討させていただきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 是非検討していただきたい。
もう一つ検討していただきたいことがあるんです。もちろん、ウイン・ウインの関係、対等な関係の契約ということをおっしゃられるんですけれども、今日私が述べさせていただいたように、やはり本部とオーナーさんの力の関係というのは歴然としていると思います。フランチャイズというのは別に日本だけの制度ではなくて、アメリカにもありますし、他国にもたくさんあります。他国は、やはりフランチャイズ法というのを制定をして、もちろん双方の独立した経営者の経営ではあるんだけれども、やっぱりオーナーさんの立場が弱いということを前提として規制をしていこうじゃないかという方向に流れていっていると思うんですね。
是非フランチャイズ法の制定も考えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今のところは、まあいろいろ一部問題はありますけれども、先ほどもお話ししたとおり、基本的には本部とそれぞれ加盟店の関係はおおむね良好だというふうに思っていますので、現時点で新たな法律を制定する必要はないというふうに考えております。
○辰巳孝太郎君 検討していただく、いわゆるアンケート調査で結果が出た際にはこの法律の制定も是非考えていただくよう求めて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。