○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎です。
私は、日本共産党を代表して、二〇一八年度一般会計予算外二案に断固反対の討論を行います。
本委員会において、森友学園に異例の条件で国有地を貸し付け、ただ同然で売り払うことを決めた決裁文書の改ざん事件が明らかとなりました。
公文書は国民の知的共有財産であり、その改ざんは主権者である国民を欺くものです。改ざんされた決裁文書は、本委員会が一年以上にわたって要求し続けてきたものです。金子委員長が十四日の本委員会で発言されたとおり、本委員会に対する冒涜であるだけでなく、行政全般に対する国民の信頼性を失わせる言語道断の行為であり、憲法に明記された国民主権と議会制民主主義を踏みにじる歴史的犯罪行為であります。
改ざん前の特例承認の決裁文書には、安倍昭恵氏の名前が実に五回も出てきます。公文書である国有地取引に係る決裁文書に、なぜ政治家でもない昭恵氏の名前が出てくるのか。政府は、総理夫人だからと答弁しました。いい土地ですから前に進めてくださいという発言の引用を始め、昭恵氏に関わる記述は特例承認を決裁するための権威として書き込まれていました。政府も認めたように、決裁文書は重要部分が集約されるものであり、昭恵氏の存在が重要であり、行政の意思決定に影響したことは明らかです。
決裁文書には、日本会議と安倍総理、籠池氏との関係を示した説明文があります。この部分が削除されたのは、本件国有地処分が政治案件、安倍総理夫妻案件として特別扱いされた痕跡を消し去るためだったと言わざるを得ません。
さらに、安倍総理は本委員会で、昭恵氏が学園の名誉校長を務めていたことについて、学園の信頼性を高める、これはそのとおりだろうと思うし、妻もそのように理解していたと答弁し、昭恵氏の影響力を認めました。
昨日の証人喚問における佐川証人の証言は、改ざん事件の核心部分について、刑事訴追のおそれを乱発してことごとく答弁を拒否するという不誠実極まるものでした。幕引きどころか、疑惑はいよいよ深まったと言うべきです。
安倍昭恵氏の関与の疑いは濃厚であり、同氏の証人喚問は不可欠です。昭恵氏付きの谷査恵子氏や取引当時の理財局長である迫田英典氏の証人喚問も必要です。徹底的な真相解明のため、国政調査権を発動し、本委員会で更なる調査審議を行うべきであります。
本予算案に反対する第一の理由は、本予算案が格差と貧困を更に広げ、暮らしと経済を痛め付けるものになっている点です。
生活保護費の五%の削減始め、社会保障関係費を削減し、文教予算は四年連続削減、中小企業、農業予算も連続削減です。他方、法人税や研究開発減税等の大企業優遇減税は温存するなど、格差の是正に背を向けています。
反対理由の第二は、安保法制の下で大軍拡路線に踏み出している点です。
第二次安倍政権発足以降、軍事費は増額を続け、四年連続で過去最高を更新し、有償軍事援助、いわゆるFMSによる米国からの兵器調達は四千百二億円に上ります。イージス・アショア関連経費、オスプレイやF35Aステルス戦闘機の増強、敵基地攻撃能力の保有に踏み出す長距離巡航ミサイルの導入、「いずも」の空母改修など、憲法違反の軍拡は認められません。
反対理由の第三は、三大都市圏環状道路、国際コンテナ戦略港湾、リニア中央新幹線など新規大型開発事業を優先し、原発再稼働や破綻した核燃料サイクルを推進し、原発の海外輸出を進めようとしている点です。
文科省による教育不当介入問題、税金の過剰徴収による年金過少支給の問題など、安倍政権下の不祥事が次々に起こっています。沖縄への核貯蔵庫建設など、非核三原則に反する発言を駐米公使が行っていたことを示す新たなメモも明らかになりました。
安倍内閣は働き方改革、虚偽データ問題で追及を受け、裁量労働制拡大を削除しましたけれども、高度プロフェッショナル制度の導入に固執をしております。このような政権は総辞職しかないということを最後に申し述べ、反対討論といたします。(拍手)