増税・武器“爆買い”予算 自公がごり押し・成立
参院本会議 辰巳議員反対討論
2019年度予算が27日、参院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党などは反対しました。10月の消費税10%増税を前提とし、米国製兵器の“爆買い”によって、暮らしと平和を壊す亡国予算です。消費税増税を中止させ、暮らし第一の希望の持てる日本へと踏み出すためには、連続する統一地方選・参院選で国民の厳しい審判を下す必要があります。
19年度予算は一般会計総額が101兆4571億円と過去最大。社会保障費の自然増分など、国民の命と暮らしに関わる予算を削減しながら、軍事費は5年連続で過去最高を更新しています。
参院本会議で反対討論に立った日本共産党の辰巳孝太郎議員は、経済の土台である消費が落ち込み、世論調査では8割を超える国民が「景気回復の実感なし」と答えていると指摘。「今必要なのは、国民の家計、懐を温める政策だ」として、消費税10%増税は中止・撤回し、全国一律の最低賃金1000円を実現し、中小企業支援とセットで1500円へ引き上げをめざすよう訴えました。
また、辰巳氏は「安倍政権は、国民にはウソ一辺倒だが、米国には忠実だ」と述べ、F35戦闘機、イージス・アショアなど“浪費的爆買い”を批判。そのうえ、米国は米軍駐留経費総額の1・5倍の負担を日本に要求しているとして、「いつまで思いやる相手を取り違えるのか。『交渉』ではなく断じて認められないとはっきりいうべきだ」と強調しました。
さらに、辰巳氏は、「本予算が原発再稼働を推進し、核燃料サイクルを温存する予算を計上していることも問題だ」と指摘。「原発輸出も国内での再稼働も安全性に疑問符がつき、コストの面でも成り立たない」として、「『原発ゼロ』の政治決断こそ行うべきだ」と強調しました。
2019年3月28日(木)赤旗より転載
安倍政権の下、日本の民主主義が危機にさらされています。
最大の民主主義破壊は、辺野古新基地建設の強行です。県民投票で圧倒的民意を一顧だにせずに、政府は辺野古の海に土砂投入を続けています。政府は、深度七十メートルから九十メートルの軟弱地盤について、地盤の強度を示すN値を調査していないことを認めました。地盤改良を含めた総工費が一体幾らになるのかも示されておりません。大体、設計変更には玉城デニー知事の承認が必要であり、知事は承認しません。
安倍政権が辺野古に固執すればするほど普天間基地は返還されません。地元がこれだけ反対するものを押し付けるような国は民主主義国家とは言えません。普天間基地の閉鎖、無条件撤去を米国に求める本腰を入れた外交交渉を行うことこそ主権国家の当たり前の姿であるということを申し上げたいと思います。
総理の妻が肩入れし関与した学園には国有地が八億円も値引きされ、ただ同然で売却され、総理の腹心の友には獣医学部の新設が五十二年ぶりに特例的に認められるという重大な国家の私物化が露呈をしました。
森友事件においては、工事事業者が政府に提出した報告書が全くのでたらめであることが判明し、八億の値引きの根拠は崩壊いたしました。
なぜこのような不適切な国有地売買が行われたのか。それは安倍昭恵氏が開校の予定されていた小学校の名誉校長に就任するなどの関与があったからにほかなりません。改ざんされる前の決裁文書には五か所にわたって昭恵氏の名前が記され、籠池夫妻とのスリーショットの写真が職員に渡され、昭恵氏が、いい土地ですから前に進めてくださいと語り、神風を吹かせたからではありませんか。
森友事件は終わっておりません。とりわけ深刻なのは、決裁文書の改ざんの経緯が記された可能性のある本省理財局と近畿財務局とのやり取りの文書の国会提出を、今後の業務の支障が出るとしていまだに財務省はその提出を拒んでいることです。我々が入手した文書には、最高裁まで争う覚悟で非公表とあり、全く反省していないではありませんか。
これほどまでの事件、不祥事を起こし、部下が公文書の改ざんを強要され自ら命を絶っても、政治家は誰一人責任取らない。一体、この国は本当に民主主義国家なのか。安倍政権から民主主義を取り戻すことは、一刻の猶予も許されません。
立法府の軽視も極限に達しました。例えば度重なる資料の隠蔽です。南スーダン自衛隊派兵をめぐる日報隠蔽、怪文書と切り捨てながら存在していた加計文書めぐる文書、廃棄したとうそをつき隠蔽した森友事件における応接録、ついには、会計検査院にまで求められた資料を出さず、金額を消すようにと報告書の記述への介入を試みました。統計不正に関わったキーマンとされる人物の国会招致も最後まで拒みました。共通しているのは、政権に不都合な公文書も参考人も国会には出さないという究極の国会軽視であり、国会の行政監視機能を奪うものであり、到底容認できるものではありません。
その安倍政権による本予算は重大な問題を抱えています。最大の問題は、国民に対して五・七兆円もの負担を押し付ける消費税一〇%への大増税です。
内閣府の景気動向指数は三か月連続で悪化し、景気判断が下方修正されました。続く政府の月例経済報告でも、政府自身が景気悪化の可能性を認めました。二〇一四年十一月の消費税を八%に増税した直後以来のことです。今回は増税前から下方修正の景気判断をしたことになります。
総理は、就業者が三百八十万人増えたことを景気回復の表れと自慢していますが、増加した七割は高齢者であり、年金だけでは暮らしていけないからです。二割は学生アルバイトの増加で、奨学金という名の借金に頼らざるを得ない若者たちが債務を少しでも減らそうとしているからであり、そもそも自慢するような話ではありません。
世論調査では八割を超える国民が景気回復の実感なしと答えていますが、実感がないのは実態がないからです。消費支出は増税前と比べても二十五万円も減少しています。
そんな中、昨年一月からの毎月勤労統計のデータがこっそり補正され、ベンチマーク更新に伴う遡及改定を統計委員会委員長も知らないうちにやめ、賃金の伸びを上振れさせていたことが分かりました。野党の試算では、共通事業所における前年同月比実質賃金はマイナスであり、アベノミクスの破綻は明白であります。
そして、景気回復の温かい風は大企業と大資産家と総理の頭の中だけに吹いていたのではありませんか。国民生活に壊滅的な打撃を与える消費税一〇%増税は、中止、撤回を強く求めるものであります。
今必要なのは、国民の家計、懐を温める政策です。我が党が指摘したように、最低賃金額が標準生活費を満たしていません。深刻な貧困と格差を克服して日本経済を立て直すために、今こそ、年金削減やめ、全国一律の最低賃金千円を実現し、中小企業支援とセットで千五百円への引上げを目指すべきではないでしょうか。
安倍政権は、国民にはうそ一辺倒ですが、米国には忠実です。
本予算案の軍事費は五兆二千五百七十億円で、五年連続で過去最高を更新いたしました。米国の有償軍事援助、FMSに基づく購入額も七千十三億円と過去最高額です。護衛艦「いずも」の改修は、F35Bやオスプレイなどの運用を想定したもので、憲法上持てないとしてきた事実上の空母化そのものです。海外で戦争できる国になるための危険な改憲策動を支えるものであり、断じて認められません。
とりわけ、安倍首相がトランプ・アメリカ大統領に約束したF35戦闘機の爆買いは問題です。
米国防総省は、二〇一八年度の年次報告書で、F35A、B、Cの三タイプ全体で九百四十一件の欠陥があることを指摘し、初期に製造されたF35Bステルス戦闘機の寿命は僅か十年程度であるとしました。短期間で機体の買換えや大規模な改修を余儀なくされることになります。取得費や維持費などで六千億円を超えるとも指摘されているイージス・アショアも論外であり、文字どおり浪費的爆買いです。
その上、米国は、米軍駐留経費総額の一・五倍の負担を日本に要求をしています。思いやり予算は高止まりし、中小企業予算を超えています。一体、いつまで思いやる相手を取り間違えるのか。政府は、負担増についてアメリカと交渉すると言いますが、交渉ではなく、断じて認められないとはっきり言うべきです。
最後に、本予算が、原発再稼働を推進し、核燃料サイクルを温存する予算も計上していることも問題です。
経済産業省は、国内で原発を動かす電力会社に対する補助制度を創設し、その費用を電力料金に上乗せすることを検討すると言います。まさに、原発ほど高く付くものはないということを認めたということではないですか。
経団連の中西宏明会長も、原発の輸出はもう限界と語っています。原発輸出も国内での再稼働も安全性に疑問符が付き、コストの面でも成り立ちません。東電や国に東京電力福島第一原発事故の責任を果たさせるとともに、原発ゼロの政治決断こそ行うべきです。
民主主義をわきまえず、国民の暮らしを顧みず、憲法の原則をも踏み外す本予算案は、我が国の前途に禍根をもたらすものになることを厳しく指摘し、私の反対討論といたします。(拍手)