女性議員非常に少ない 辰巳氏「小選挙区制変えよ」
2015年05月27日
日本共産党の辰巳孝太郎議員は5月27日の参院政府開発援助(ODA)特別委員会の参考人質疑で、貧困・格差の解消、女性の参加拡大について質問しました。
国際協力NGOネットワーク「動く↓動かす」事務局長の稲場雅紀氏が、9月の国連総会で決定される「持続可能な開発目標」(SDGs)について報告。同氏は、新たな政府開発協力大綱で軍への支援が明記された問題への懸念を表明し、「わが国として、これまで通り人間の安全保障を中心とした支援が重要」と述べました。
さらに、新大綱が民間資金の導入を強調していることについて「民間資金は本当に援助が必要な貧しい人たちのところには必ずしも行かない。ODAを増やすことや国際連帯税の導入をはじめ公共資金創出が重要だ」と指摘しました。
国連人口基金東京事務所長の佐崎淳子氏は、女性の地位向上・参加促進の課題について報告。日本国内で改善すべき点について、「女性国会議員の数が非常に少ないことは致命的」だと指摘。辰巳氏は日本共産党の女性議員比率が一番高いことを紹介し、女性が選ばれにくい小選挙区制を比例代表へ変えるべきだと主張しました。
2015年6月9日(火)赤旗より転載
議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
三人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中、貴重な御意見、それぞれ十分では足りないぐらい、もっとお話を聞きたいぐらいなんですが、本当にありがとうございました。
まず、稲場参考人にお伺いをしたいと思います。
いただいた資料の中で、稲場参考人はアフリカの問題についても様々論文なども書かれているわけでありますけれども、これからのアフリカの貧困をどう解決していく、解消していくのかということの中で、その歴史的な背景で奴隷貿易や植民地支配に日本が手を染めていないということで、日本独自の役割、アクトができるんじゃないかということなども書かれておられます。
これからSDGsを実行していくと決めて実行していく中で、日本がどうその役割を果たしていくのかということはますます大事になってくるというふうにも思うんですね。同時に、その歴史的な背景、また日本国内の様々な法整備との絡みで日本ができるような援助というのは何なのかということが問われているというふうに思います。
そこで、今回、開発協力大綱ということで、従来のODA大綱の変更ということがなされました。当委員会でも軍事協力に道を開くのではないかという懸念なども様々出されたわけでありますけれども、「動く→動かす」の中でも様々な意見もこの開発協力大綱に対しては出していただきましたけれども、この点で、今回新たな大綱ができたということで、これから日本が世界に関わる中で日本として果たすべき役割、これがまたちょっと違った方向に行ってしまうのではないかとか、また、日本はやはり従来のとおり非軍事で貢献していくべきだということであるとか、稲場参考人の御意見といいますか、もし懸念等もありましたら教えていただけたらと思います。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
ODA大綱に関しましては二つございまして、一つは、これも前のこの会議等でもいろいろNGOの代表が申し上げたことかと思いますけれども、二つございます。
一点目は、軍とODAの連携というものをより強くするというようなところが一つ出ておるんですけれども、我が国としましては、やはり人間の安全保障ということで基本的に援助の柱ということでやっているかと思います。この人間の安全保障というのは、基本的に人間の尊厳というものを一番大事にするという考え方かと思います。そういう意味で、いわゆる軍とODAの連携ということによって逆にこの人間の安全保障の面の援助が減ってしまうということになると、我々としてはこれは本末転倒なのかなというふうに思っております。
特に、中東等におきましては、やはり人間の尊厳というものが脅かされていると、そういう中でのテロや紛争ということがございますので、こういった点で、我が国としては、やはりこれまでどおり人間の安全保障を中心とした支援というものを力強くやるということが非常に重要なのかなと思っております。
あともう一つ、貧困、あと格差ということで、基本的に、例えばSDGsというのは格差をなくしていくというのが非常に重要なポイントなんですが、今の現状の議論では、やはり民間資金をどう導入していくのかということなんですね。民間資金の導入というのは、確かに開発を進める上では非常に重要なんですが、一方で、この民間資金というのは本当に援助が必要な貧しい人たちのところには必ずしも行かないと。というのは、民間資金というのは基本的にはもうかるということが前提でやるものですから、そういう意味では、本質的に一番援助が必要だという人たちのところにはなかなか行かないのが民間資金なんですね。ですので、民間資金の導入というのは非常に重要なポイントですけれども、一方で、どのように公共のお金というものをつくり出すか、そこが非常に重要なポイントだと思います。ですから、その点でODAを増やすということ。
あともう一つは、これは各議員の先生方もいろいろ努力されていることだと思いますが、国際連帯税を始めとするいわゆるイノベーティブな公共資金創出のメカニズムというものを、やはりこれは日本が主導してやっていくということが現状非常に重要なことではないかなというふうに思っております。その点で、やはり日本の指導力で国際連帯税を是非導入をするというようなところも含めて、公共のお金を重視するということは是非考えてほしいなと思っております。
以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
稲場参考人、その国際連帯税というものなんですけれども、もう少し具体的にどういうものが、もし検討されているようなことがあるのでしたら、教えていただけたらと思います。
○参考人(稲場雅紀君) 現状で既に実施されているいわゆるイノベーティブな、国際的なお金のつくり方ということで言いますと、これはフランスが中心になってやっている航空券連帯税というのがございます。この航空券連帯税というのは、飛行機のチケットに薄い割合で税を取りまして、それを現状では、いわゆる特にエイズ、結核、マラリアのある種難しい医薬品、こういったものを大量に、なおかつ定期的に発注するということで価格を下げていく、そして途上国の本当にお金のない人たちに対してこれを供給していくという、そういうメカニズムが既にフランスの主導でつくられているというのがあります。これが今動いているものです。
ただ、航空券連帯税だけではこれはなかなか難しいということがございまして、より大きくは、いわゆる金融取引に薄い課税をする。ただ、これ、金融取引というのは膨大にありますので、この膨大の中で薄い課税をしてもかなりのお金が入るわけですね。ですから、金融システムを安定させるという意味合いにおいても、またなおかつ国際的に開発及び気候変動対策のお金をジェネレートするという意味合いにおいても、いわゆる金融取引税というのが非常に重要だというふうにされております。
その二つが今言われているんですが、様々な方法もございますので、いろいろ国際的にも議論されているところだと思います。
以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。非常に参考になりました。
それでは、佐崎参考人にお聞きしたいと思います。
先ほどから、資料においても、日本国内の女性のエンパワーメントの促進というのが不可欠だというお話がありました。
先ほどお話の中でも、日本では総合職というのがないのでなかなか就職がという話もたしかされたと思うんですけれども、その日本におけるやはりこのジェンダーの問題ですね。なぜそもそも、先ほど過渡期だという話もされましたけれども、なぜこれだけの先進国であるにもかかわらず、特にヨーロッパと比べてなかなかこの問題が解決しないのかと考えるのかということと、もう一つ踏み込んで、この日本国内の法整備の中で、やはりまだ国際的にも遅れているのではないか、もっと改善するべきではないかということ、先ほどクオータ制の話もありましたけれども、その辺について厳しい御意見、この政治に対して、制度に対してありましたら是非お願いします。
○参考人(佐崎淳子君) どうもありがとうございます。
日本は過渡期と言いましたのは、日本がジェンダーでどうして遅れているということになっているかといいますと、私の目から見ると、やはりこれは戦後の経済成長のためにつくられてきたシステムがまだ今残っていると。でも、私が総合職がなくて日本を諦めてアメリカの大学院に行きましたのはもう三十年ぐらい前の話でありまして、今は帰ってきまして、三年半ぐらい前ですか、随分変わっているとは思いますけれども、まだまだ変わっていないなと思うところがあります。それはやはり国会議員の数が非常に少ない、これは致命的なことであると思っております。
法整備がどうしてされていないかというのは、やはり国会議員の中で女性の意見を発表する方たちがまだマイノリティーとして八%ぐらいしかいらっしゃらないとなると、選挙に勝つためにはやはり非常に力のある男性の政治家の方たちの傘の下にいなきゃいけないので、そんな女性のことなんというのを、国会でそんなことはマイノリティーの話なのに何を言っているんですかみたいな感じで、女性の国会議員とお話をすると非常に分かっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですけれども、その方たちが大きな会議で、男性の国会議員で非常に有名な方たちと一緒にいらっしゃると余り発表されないと。そういう現実を見てきましたので、やはりこれはゆがんでいると思います。
やはり女性の法整備をするためには女性の国会議員の数が必要ということを非常に私は思っておりますので、という意味では、クオータ制は私は賛成です。国連機関もクオータ制によって女性がどんどんどんどん上がってきまして、今、国連人口基金のエグゼクティブの方は女性の方が多くなって、今、男性を雇わなきゃいけないという状況も三十年ぐらい掛けてつくり上げたものでございます。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
私たち日本共産党は、女性の比率でいえば今政党間では一番高い政党にもなっておりまして、やはり根本的に解決するためにはもちろんクオータ制の検討も必要かもしれませんが、やはり今の選挙制度、小選挙区制度というものも見直して、スウェーデンなんかは今比例代表で名簿順が女性、男性、女性、男性になっていますから、そういう制度の変更も必要ではないかというふうに私も思っておりますので、この点でもジェンダーの問題、引き続き取り組んで頑張りたいと思います。
ありがとうございました。
三人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中、貴重な御意見、それぞれ十分では足りないぐらい、もっとお話を聞きたいぐらいなんですが、本当にありがとうございました。
まず、稲場参考人にお伺いをしたいと思います。
いただいた資料の中で、稲場参考人はアフリカの問題についても様々論文なども書かれているわけでありますけれども、これからのアフリカの貧困をどう解決していく、解消していくのかということの中で、その歴史的な背景で奴隷貿易や植民地支配に日本が手を染めていないということで、日本独自の役割、アクトができるんじゃないかということなども書かれておられます。
これからSDGsを実行していくと決めて実行していく中で、日本がどうその役割を果たしていくのかということはますます大事になってくるというふうにも思うんですね。同時に、その歴史的な背景、また日本国内の様々な法整備との絡みで日本ができるような援助というのは何なのかということが問われているというふうに思います。
そこで、今回、開発協力大綱ということで、従来のODA大綱の変更ということがなされました。当委員会でも軍事協力に道を開くのではないかという懸念なども様々出されたわけでありますけれども、「動く→動かす」の中でも様々な意見もこの開発協力大綱に対しては出していただきましたけれども、この点で、今回新たな大綱ができたということで、これから日本が世界に関わる中で日本として果たすべき役割、これがまたちょっと違った方向に行ってしまうのではないかとか、また、日本はやはり従来のとおり非軍事で貢献していくべきだということであるとか、稲場参考人の御意見といいますか、もし懸念等もありましたら教えていただけたらと思います。
○参考人(稲場雅紀君) ありがとうございます。
ODA大綱に関しましては二つございまして、一つは、これも前のこの会議等でもいろいろNGOの代表が申し上げたことかと思いますけれども、二つございます。
一点目は、軍とODAの連携というものをより強くするというようなところが一つ出ておるんですけれども、我が国としましては、やはり人間の安全保障ということで基本的に援助の柱ということでやっているかと思います。この人間の安全保障というのは、基本的に人間の尊厳というものを一番大事にするという考え方かと思います。そういう意味で、いわゆる軍とODAの連携ということによって逆にこの人間の安全保障の面の援助が減ってしまうということになると、我々としてはこれは本末転倒なのかなというふうに思っております。
特に、中東等におきましては、やはり人間の尊厳というものが脅かされていると、そういう中でのテロや紛争ということがございますので、こういった点で、我が国としては、やはりこれまでどおり人間の安全保障を中心とした支援というものを力強くやるということが非常に重要なのかなと思っております。
あともう一つ、貧困、あと格差ということで、基本的に、例えばSDGsというのは格差をなくしていくというのが非常に重要なポイントなんですが、今の現状の議論では、やはり民間資金をどう導入していくのかということなんですね。民間資金の導入というのは、確かに開発を進める上では非常に重要なんですが、一方で、この民間資金というのは本当に援助が必要な貧しい人たちのところには必ずしも行かないと。というのは、民間資金というのは基本的にはもうかるということが前提でやるものですから、そういう意味では、本質的に一番援助が必要だという人たちのところにはなかなか行かないのが民間資金なんですね。ですので、民間資金の導入というのは非常に重要なポイントですけれども、一方で、どのように公共のお金というものをつくり出すか、そこが非常に重要なポイントだと思います。ですから、その点でODAを増やすということ。
あともう一つは、これは各議員の先生方もいろいろ努力されていることだと思いますが、国際連帯税を始めとするいわゆるイノベーティブな公共資金創出のメカニズムというものを、やはりこれは日本が主導してやっていくということが現状非常に重要なことではないかなというふうに思っております。その点で、やはり日本の指導力で国際連帯税を是非導入をするというようなところも含めて、公共のお金を重視するということは是非考えてほしいなと思っております。
以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
稲場参考人、その国際連帯税というものなんですけれども、もう少し具体的にどういうものが、もし検討されているようなことがあるのでしたら、教えていただけたらと思います。
○参考人(稲場雅紀君) 現状で既に実施されているいわゆるイノベーティブな、国際的なお金のつくり方ということで言いますと、これはフランスが中心になってやっている航空券連帯税というのがございます。この航空券連帯税というのは、飛行機のチケットに薄い割合で税を取りまして、それを現状では、いわゆる特にエイズ、結核、マラリアのある種難しい医薬品、こういったものを大量に、なおかつ定期的に発注するということで価格を下げていく、そして途上国の本当にお金のない人たちに対してこれを供給していくという、そういうメカニズムが既にフランスの主導でつくられているというのがあります。これが今動いているものです。
ただ、航空券連帯税だけではこれはなかなか難しいということがございまして、より大きくは、いわゆる金融取引に薄い課税をする。ただ、これ、金融取引というのは膨大にありますので、この膨大の中で薄い課税をしてもかなりのお金が入るわけですね。ですから、金融システムを安定させるという意味合いにおいても、またなおかつ国際的に開発及び気候変動対策のお金をジェネレートするという意味合いにおいても、いわゆる金融取引税というのが非常に重要だというふうにされております。
その二つが今言われているんですが、様々な方法もございますので、いろいろ国際的にも議論されているところだと思います。
以上です。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございます。非常に参考になりました。
それでは、佐崎参考人にお聞きしたいと思います。
先ほどから、資料においても、日本国内の女性のエンパワーメントの促進というのが不可欠だというお話がありました。
先ほどお話の中でも、日本では総合職というのがないのでなかなか就職がという話もたしかされたと思うんですけれども、その日本におけるやはりこのジェンダーの問題ですね。なぜそもそも、先ほど過渡期だという話もされましたけれども、なぜこれだけの先進国であるにもかかわらず、特にヨーロッパと比べてなかなかこの問題が解決しないのかと考えるのかということと、もう一つ踏み込んで、この日本国内の法整備の中で、やはりまだ国際的にも遅れているのではないか、もっと改善するべきではないかということ、先ほどクオータ制の話もありましたけれども、その辺について厳しい御意見、この政治に対して、制度に対してありましたら是非お願いします。
○参考人(佐崎淳子君) どうもありがとうございます。
日本は過渡期と言いましたのは、日本がジェンダーでどうして遅れているということになっているかといいますと、私の目から見ると、やはりこれは戦後の経済成長のためにつくられてきたシステムがまだ今残っていると。でも、私が総合職がなくて日本を諦めてアメリカの大学院に行きましたのはもう三十年ぐらい前の話でありまして、今は帰ってきまして、三年半ぐらい前ですか、随分変わっているとは思いますけれども、まだまだ変わっていないなと思うところがあります。それはやはり国会議員の数が非常に少ない、これは致命的なことであると思っております。
法整備がどうしてされていないかというのは、やはり国会議員の中で女性の意見を発表する方たちがまだマイノリティーとして八%ぐらいしかいらっしゃらないとなると、選挙に勝つためにはやはり非常に力のある男性の政治家の方たちの傘の下にいなきゃいけないので、そんな女性のことなんというのを、国会でそんなことはマイノリティーの話なのに何を言っているんですかみたいな感じで、女性の国会議員とお話をすると非常に分かっていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるんですけれども、その方たちが大きな会議で、男性の国会議員で非常に有名な方たちと一緒にいらっしゃると余り発表されないと。そういう現実を見てきましたので、やはりこれはゆがんでいると思います。
やはり女性の法整備をするためには女性の国会議員の数が必要ということを非常に私は思っておりますので、という意味では、クオータ制は私は賛成です。国連機関もクオータ制によって女性がどんどんどんどん上がってきまして、今、国連人口基金のエグゼクティブの方は女性の方が多くなって、今、男性を雇わなきゃいけないという状況も三十年ぐらい掛けてつくり上げたものでございます。
○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。
私たち日本共産党は、女性の比率でいえば今政党間では一番高い政党にもなっておりまして、やはり根本的に解決するためにはもちろんクオータ制の検討も必要かもしれませんが、やはり今の選挙制度、小選挙区制度というものも見直して、スウェーデンなんかは今比例代表で名簿順が女性、男性、女性、男性になっていますから、そういう制度の変更も必要ではないかというふうに私も思っておりますので、この点でもジェンダーの問題、引き続き取り組んで頑張りたいと思います。
ありがとうございました。