安全検証不足改善を 自動車リコール増
日本共産党の辰巳孝太郎議員は11日の参院国土交通委員会で、自動車リコール増加の背景にある事前検証不足の実態を指摘し改善を求めました。
辰巳氏は、ホンダの小型車フィットが発売後1年間で5回もリコールを実施した原因を追及。国土交通省の田端浩自動車局長は「制御プログラムの不備。検証が不十分だった」と答えました。
辰巳氏は、安全の検証より開発スピードを優先させる自動車メーカーの姿勢を批判し、事前検証の強化を求めました。太田昭宏国交相は「リコール時に内容を精査し、必要があれば事前検証を徹底させていく」と答弁しました。
辰巳氏は、自動車の型式指定の審査やリコールの技術検証、保安基準適合の審査など自動車の安全を守る業務を行っている交通安全環境研究所と自動車検査独立行政法人の統合や、自動車登録業務の一部移管について質問。業務が増えているにもかかわらず人員を削減し、不安定雇用の人材に国の基幹業務を担わせていると指摘し、体制強化と待遇改善を求めました。
2015年6月14日(日)赤旗より転載
議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、日本の装置メーカーなどが世界を揺るがすリコールを起こした問題について質問をいたします。
リコールとは、設計・製造過程に問題があり、安全環境基準に適合していない又は適合しないおそれがある自動車について、自動車メーカー自らの判断において無料で回収、修理を行うもので、事故、トラブルを未然に防止をする、そういう制度であります。
先ほど来ありますとおり、日本におけるリコール、昨年、平成二十六年度は、国交省の資料によりますと三百五十五件の届出があり、九百五十五万台がリコールの対象となったと、こういうことであります。リコールの件数というのは経年で見てみますとそれほど増えてはいないと、ところが、台数は飛躍的に伸びているということでもございます。この理由についても、装置、部品のモジュール化、共通化であったりとか、そのことによって大規模リコール、対象台数が十万台以上の届出件数が増えているということであると思います。それだけ一度に大量に、安全環境基準に適合していない又はおそれのある車が市場に出回ることになるということでもあると思うんですね。
今日は、そのリコールにおける不具合発生の原因はどのようなものなのかということを少し掘り下げて見ていきたいと思うんです。
今日は資料も用意をしました。
このリコールの原因は、大きく分けて設計と製造段階にあるというふうに分類をされております。設計が約六割、そして製造が四割となっているわけですね。その設計自体に問題があるという割合が五年平均で四七・二%となっております。その中でも設計基準の甘さという割合が非常に大きくなっておりまして、この五年間だけで見ても全体の三八・八%がこの設計基準の甘さというものに原因があるということになっております。あっ、評価基準ですね、評価基準の甘さというのが多いわけです。
国交省に聞きますが、評価基準の甘さというのは一体何なのかということと、そしてなぜこのリコール原因のトップに評価基準の甘さというのが来るのか、これどう分析されているんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
国土交通省におきましては、毎年、今後の自動車メーカーにおけるより的確な車両の設計、製造に役立てるため、リコール届出されました不具合の内容や原因の傾向を分析し、取りまとめております。その取りまとめにおいて、委員御指摘の不具合の発生別の割合について見ますと、評価基準の甘さという原因が平成二十五年でいきますと二三・五%という数字になります。この評価基準の甘さと分類しているのは、設計時に評価した部品等の性能が使用環境に対して十分でなかったために予期せぬ不具合が発生した場合などが該当いたします。
自動車メーカーにおいては、開発段階において様々な使用環境で評価をしているということでありますが、評価基準の甘さによるリコール割合が多いというのは、自動車メーカーが実際に生じた使用環境を完全には想定し切れなかったことが多いということを表しているものと認識をしております。
○辰巳孝太郎君 つまり、部品の強度や耐久性などを甘く見積もっていたりとか、それを想定していなかったということが原因になってくるということだと思うんですね。
このタカタのエアバッグ問題というのを改めて取り上げていきたいと思うんですが、先ほど来、世界で四千三百万台を超えるリコールの対象台数になっていると、こういうことでございます。
国交省に改めてお聞きしますが、このタカタのエアバッグのリコールの原因というのは一体何になるんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
タカタ製エアバッグの不具合の原因につきましては、一部はインフレーターの製造工程管理の不備やガス発生剤の吸湿防止措置の不徹底等が原因であることが確認されておりまして、これは既に自動車メーカーによりリコールが実施をされております。
一方、いまだ原因が特定されていない不具合も一部に存在し、これにつきましてはタカタ及び自動車メーカーが外部の調査機関も活用して調査を実施をしております。現在、その原因究明を加速化させるように厳しく指導しているところであります。
○辰巳孝太郎君 報道なんかを見てみますと、その原因は製造工程の、例えば工場での温度管理、湿度管理が十分じゃなかったのではないかということや、劣化による、又は高温多湿のところで死亡事故なども起きているということが報道されているわけですね。
改めて聞きますけれども、タカタは、劣化であるとか、あとは高温多湿による事前のテストというのは十分に行ったんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
現在、原因は究明中でありまして、これまでのところでは、経年での変化、水分の影響、温度等の環境の影響、製造問題など、複合的な要因として推定されているところですが、根本原因の特定には至っていないという状況にあるというところです。
タカタにおいては、製造に当たりまして、製品の安全性の確認につきまして徹底した事前の審査、手続を踏んで製造したものと、このように報告を受けております。
○辰巳孝太郎君 メーカーは、徹底してやりましたと、そう言うわけですけれども、しかし、やはり私は、問題はメーカーの事前検証が不十分だったのではないかということも見ておかなければならないと思うんですね。
それは、やはり開発スピードの向上というものが各メーカーにとっても至上命題に今なっていることがあるのではないかというふうに私は思うんですね。そのことで安全を犠牲にすることは当然許されないことであります。
この問題は、タカタだけではなくて、近年、ホンダでもリコールが続いております。小型車フィットなどで電源供給の制御装置やエンジン点火コイルに設計上の不具合があり、最悪の場合、エンジンストップにも至ってしまうというものであります。発売直後から一年間に五回のリコールがされております。この原因と背景についても報告をしていただきたいと思います。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
御指摘ありました本田技研工業株式会社のリコール、フィットの件でありますが、二〇一三年九月に発売されましたフィット・ハイブリッドのリコールで、これは複数の不具合につきまして実施をしたものでありますが、そのほとんどがエンジンやトランスミッションの制御プログラムの不備が原因となったものであります。
このエンジンやトランスミッションの制御プログラムに不備が残った背景につきましては、本田技研工業株式会社からは、開発過程において様々な使い方を想定をした検証が不十分であったという報告を受けているところであります。
○辰巳孝太郎君 ホンダ自身は、これは検証不足だというふうに認めたわけですね。やはりこれも、開発スピード向上のために起こったことではないかと言えると思うんですね。自動車の構造、装置又は性能が保安基準に適合しなくなる、又はおそれがある状態であるからリコールを行うわけであります。
しかし私は、メーカーに、とにかくまず発売をして実際に走らせて、不具合が発生したらリコールをすればいいという考えがあるのではないかと。これは、やはりドライバー並びに国民を危険にさらすものになっていくというふうに警鐘を鳴らしたいと思うんですね。
ホンダのこの合計五回のリコールのうち、一回から三回目はプログラムミスだというふうに確定をしていると。四回、五回は分析中ということでもあります。
今日の資料の統計でも、全体のリコールの原因がこのプログラムミスというのが七・六%ですね、一昨年。これ増える傾向にあるわけです。今、車一台に百台以上のコンピューターが内蔵、搭載されているということも言われているほど電子化をされているわけですね。車の造り方、また中身というのが変わってきているということも言われております。
そこで、大臣にお聞きをしたいんですけれども、やはりこの自動車メーカーに十分な事前検証をちゃんとせいという指導をするべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 自動車メーカーにおける開発期間については、むしろ延長をしているというメーカーもあるというふうに聞いておりまして、一概に短縮されているとは言えない状況だと思います。
開発期間の短縮ということについては、自動車メーカーから、部品、モジュールの共有化やデジタルシミュレーション技術の向上等による開発の効率化や技術革新、こうしたことによって可能になったと聞いています。この場合でも安全性の評価基準は変更されておらず、十分な検証が行われていると承知をしています。
日本の自動車メーカーにおきましては、自動車の開発段階から過酷な使用条件を想定した実験を重ねて、そして製品として高い品質を実現をして、メーカーとして十分な事前検証を実施して出荷していると。
例えばあるメーカーにおいては、開発段階において衝突試験もやり、これはまあ当然なんですが、マイナス三十度からプラス八十度、こうした環境耐久試験もやり、そして耐久走行試験は二十万キロ、ドアの開閉耐久テストが約五千回、何段階もの制御コンピューターのプログラム検証、こうした試験を実施しているというところでございます。
これによって日本の自動車は世界に高い評価をいただいているものだと思いますが、国交省においては、なお、リコールの届出があった際にその内容を精査して、その結果、必要があれば自動車メーカーに対して開発段階における評価試験方法の改善等、安全性に係る事前検証の徹底を指導していきたいと、このように思っています。引き続き、自動車の安全確保に万全を期したいと思います。
○辰巳孝太郎君 指導徹底ということでもあったと思うんですね。
やはりメーカー任せだけでは安全というのは私は守られないと思うんです。これが相次いだリコール隠しの反省だったと思うんですね。
二〇〇六年には、交通安全環境研究所にリコール検証部門が設置をされました。この検証部門の要員二十名のうち十九名が、私見ますと非常勤職員なんですね。プロパー職員というのは一人だけということでございます。元々メーカーで働いてきた人を雇い入れて、研究者として雇っているということで、現場でも貴重な人材だということで言われているわけですが、しかし不安定な雇用に変わりはないというふうに思うんですね。一般の作業員、現場の整備員ですけれども、国の基幹業務を行っているにもかかわらず、聞きますと、時給千二百円で働いているということであります。私は、全体のこの体制強化と待遇の改善というのが必要だと思います。
今法案では、交通安全環境研究所と自動車検査独立行政法人の統合、また自動車登録業務の一部移管というのも含まれております。ここでもやっぱり人員体制の問題が私はあると思うんですね。
この登録業務量というのは減っていないんですよ。実は増えているんですね。ところが、担当職員というのは、平成二十一年は七百五十二人、平成二十五年は六百五十八人で、減っているわけでございます。ですから、月末や年度末など、様々な部局から応援を受けて担当職員は乗り切っている状況になっております。自動車登録官も、かつては登録係などを経由して、経験を経てなってきたわけなんですが、今は必ずしもそうではなくて、浅い経験で自動車登録官になっていると、こういうことも聞いております。やはり、ここでも体制強化というのが必要だというふうに思います。
最後、大臣にお聞きをしたいんですが、やっぱり両法人は国民の安全を確保するためにもなくてはならない仕事であって、今、人員の削減はやめて、むしろ拡充すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○委員長(広田一君) 時間が参っておりますので、簡潔に願います。
○国務大臣(太田昭宏君) はい。
今回統合する二つの法人は、いずれも自動車の安全、安心を確保する業務を担っております。両法人は親和性があるため統合することにしておりますが、統合された後も、両法人が行ってきた自動車の審査や調査研究、リコールに関する技術的な検証などの確実な実施は、自動車の安全、安心を確保するために極めて重要であると、十分な体制、人員の確保を図っていきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 必要な体制と、そして予算を確保することを強く求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。
今日は、日本の装置メーカーなどが世界を揺るがすリコールを起こした問題について質問をいたします。
リコールとは、設計・製造過程に問題があり、安全環境基準に適合していない又は適合しないおそれがある自動車について、自動車メーカー自らの判断において無料で回収、修理を行うもので、事故、トラブルを未然に防止をする、そういう制度であります。
先ほど来ありますとおり、日本におけるリコール、昨年、平成二十六年度は、国交省の資料によりますと三百五十五件の届出があり、九百五十五万台がリコールの対象となったと、こういうことであります。リコールの件数というのは経年で見てみますとそれほど増えてはいないと、ところが、台数は飛躍的に伸びているということでもございます。この理由についても、装置、部品のモジュール化、共通化であったりとか、そのことによって大規模リコール、対象台数が十万台以上の届出件数が増えているということであると思います。それだけ一度に大量に、安全環境基準に適合していない又はおそれのある車が市場に出回ることになるということでもあると思うんですね。
今日は、そのリコールにおける不具合発生の原因はどのようなものなのかということを少し掘り下げて見ていきたいと思うんです。
今日は資料も用意をしました。
このリコールの原因は、大きく分けて設計と製造段階にあるというふうに分類をされております。設計が約六割、そして製造が四割となっているわけですね。その設計自体に問題があるという割合が五年平均で四七・二%となっております。その中でも設計基準の甘さという割合が非常に大きくなっておりまして、この五年間だけで見ても全体の三八・八%がこの設計基準の甘さというものに原因があるということになっております。あっ、評価基準ですね、評価基準の甘さというのが多いわけです。
国交省に聞きますが、評価基準の甘さというのは一体何なのかということと、そしてなぜこのリコール原因のトップに評価基準の甘さというのが来るのか、これどう分析されているんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
国土交通省におきましては、毎年、今後の自動車メーカーにおけるより的確な車両の設計、製造に役立てるため、リコール届出されました不具合の内容や原因の傾向を分析し、取りまとめております。その取りまとめにおいて、委員御指摘の不具合の発生別の割合について見ますと、評価基準の甘さという原因が平成二十五年でいきますと二三・五%という数字になります。この評価基準の甘さと分類しているのは、設計時に評価した部品等の性能が使用環境に対して十分でなかったために予期せぬ不具合が発生した場合などが該当いたします。
自動車メーカーにおいては、開発段階において様々な使用環境で評価をしているということでありますが、評価基準の甘さによるリコール割合が多いというのは、自動車メーカーが実際に生じた使用環境を完全には想定し切れなかったことが多いということを表しているものと認識をしております。
○辰巳孝太郎君 つまり、部品の強度や耐久性などを甘く見積もっていたりとか、それを想定していなかったということが原因になってくるということだと思うんですね。
このタカタのエアバッグ問題というのを改めて取り上げていきたいと思うんですが、先ほど来、世界で四千三百万台を超えるリコールの対象台数になっていると、こういうことでございます。
国交省に改めてお聞きしますが、このタカタのエアバッグのリコールの原因というのは一体何になるんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
タカタ製エアバッグの不具合の原因につきましては、一部はインフレーターの製造工程管理の不備やガス発生剤の吸湿防止措置の不徹底等が原因であることが確認されておりまして、これは既に自動車メーカーによりリコールが実施をされております。
一方、いまだ原因が特定されていない不具合も一部に存在し、これにつきましてはタカタ及び自動車メーカーが外部の調査機関も活用して調査を実施をしております。現在、その原因究明を加速化させるように厳しく指導しているところであります。
○辰巳孝太郎君 報道なんかを見てみますと、その原因は製造工程の、例えば工場での温度管理、湿度管理が十分じゃなかったのではないかということや、劣化による、又は高温多湿のところで死亡事故なども起きているということが報道されているわけですね。
改めて聞きますけれども、タカタは、劣化であるとか、あとは高温多湿による事前のテストというのは十分に行ったんでしょうか。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
現在、原因は究明中でありまして、これまでのところでは、経年での変化、水分の影響、温度等の環境の影響、製造問題など、複合的な要因として推定されているところですが、根本原因の特定には至っていないという状況にあるというところです。
タカタにおいては、製造に当たりまして、製品の安全性の確認につきまして徹底した事前の審査、手続を踏んで製造したものと、このように報告を受けております。
○辰巳孝太郎君 メーカーは、徹底してやりましたと、そう言うわけですけれども、しかし、やはり私は、問題はメーカーの事前検証が不十分だったのではないかということも見ておかなければならないと思うんですね。
それは、やはり開発スピードの向上というものが各メーカーにとっても至上命題に今なっていることがあるのではないかというふうに私は思うんですね。そのことで安全を犠牲にすることは当然許されないことであります。
この問題は、タカタだけではなくて、近年、ホンダでもリコールが続いております。小型車フィットなどで電源供給の制御装置やエンジン点火コイルに設計上の不具合があり、最悪の場合、エンジンストップにも至ってしまうというものであります。発売直後から一年間に五回のリコールがされております。この原因と背景についても報告をしていただきたいと思います。
○政府参考人(田端浩君) お答えいたします。
御指摘ありました本田技研工業株式会社のリコール、フィットの件でありますが、二〇一三年九月に発売されましたフィット・ハイブリッドのリコールで、これは複数の不具合につきまして実施をしたものでありますが、そのほとんどがエンジンやトランスミッションの制御プログラムの不備が原因となったものであります。
このエンジンやトランスミッションの制御プログラムに不備が残った背景につきましては、本田技研工業株式会社からは、開発過程において様々な使い方を想定をした検証が不十分であったという報告を受けているところであります。
○辰巳孝太郎君 ホンダ自身は、これは検証不足だというふうに認めたわけですね。やはりこれも、開発スピード向上のために起こったことではないかと言えると思うんですね。自動車の構造、装置又は性能が保安基準に適合しなくなる、又はおそれがある状態であるからリコールを行うわけであります。
しかし私は、メーカーに、とにかくまず発売をして実際に走らせて、不具合が発生したらリコールをすればいいという考えがあるのではないかと。これは、やはりドライバー並びに国民を危険にさらすものになっていくというふうに警鐘を鳴らしたいと思うんですね。
ホンダのこの合計五回のリコールのうち、一回から三回目はプログラムミスだというふうに確定をしていると。四回、五回は分析中ということでもあります。
今日の資料の統計でも、全体のリコールの原因がこのプログラムミスというのが七・六%ですね、一昨年。これ増える傾向にあるわけです。今、車一台に百台以上のコンピューターが内蔵、搭載されているということも言われているほど電子化をされているわけですね。車の造り方、また中身というのが変わってきているということも言われております。
そこで、大臣にお聞きをしたいんですけれども、やはりこの自動車メーカーに十分な事前検証をちゃんとせいという指導をするべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 自動車メーカーにおける開発期間については、むしろ延長をしているというメーカーもあるというふうに聞いておりまして、一概に短縮されているとは言えない状況だと思います。
開発期間の短縮ということについては、自動車メーカーから、部品、モジュールの共有化やデジタルシミュレーション技術の向上等による開発の効率化や技術革新、こうしたことによって可能になったと聞いています。この場合でも安全性の評価基準は変更されておらず、十分な検証が行われていると承知をしています。
日本の自動車メーカーにおきましては、自動車の開発段階から過酷な使用条件を想定した実験を重ねて、そして製品として高い品質を実現をして、メーカーとして十分な事前検証を実施して出荷していると。
例えばあるメーカーにおいては、開発段階において衝突試験もやり、これはまあ当然なんですが、マイナス三十度からプラス八十度、こうした環境耐久試験もやり、そして耐久走行試験は二十万キロ、ドアの開閉耐久テストが約五千回、何段階もの制御コンピューターのプログラム検証、こうした試験を実施しているというところでございます。
これによって日本の自動車は世界に高い評価をいただいているものだと思いますが、国交省においては、なお、リコールの届出があった際にその内容を精査して、その結果、必要があれば自動車メーカーに対して開発段階における評価試験方法の改善等、安全性に係る事前検証の徹底を指導していきたいと、このように思っています。引き続き、自動車の安全確保に万全を期したいと思います。
○辰巳孝太郎君 指導徹底ということでもあったと思うんですね。
やはりメーカー任せだけでは安全というのは私は守られないと思うんです。これが相次いだリコール隠しの反省だったと思うんですね。
二〇〇六年には、交通安全環境研究所にリコール検証部門が設置をされました。この検証部門の要員二十名のうち十九名が、私見ますと非常勤職員なんですね。プロパー職員というのは一人だけということでございます。元々メーカーで働いてきた人を雇い入れて、研究者として雇っているということで、現場でも貴重な人材だということで言われているわけですが、しかし不安定な雇用に変わりはないというふうに思うんですね。一般の作業員、現場の整備員ですけれども、国の基幹業務を行っているにもかかわらず、聞きますと、時給千二百円で働いているということであります。私は、全体のこの体制強化と待遇の改善というのが必要だと思います。
今法案では、交通安全環境研究所と自動車検査独立行政法人の統合、また自動車登録業務の一部移管というのも含まれております。ここでもやっぱり人員体制の問題が私はあると思うんですね。
この登録業務量というのは減っていないんですよ。実は増えているんですね。ところが、担当職員というのは、平成二十一年は七百五十二人、平成二十五年は六百五十八人で、減っているわけでございます。ですから、月末や年度末など、様々な部局から応援を受けて担当職員は乗り切っている状況になっております。自動車登録官も、かつては登録係などを経由して、経験を経てなってきたわけなんですが、今は必ずしもそうではなくて、浅い経験で自動車登録官になっていると、こういうことも聞いております。やはり、ここでも体制強化というのが必要だというふうに思います。
最後、大臣にお聞きをしたいんですが、やっぱり両法人は国民の安全を確保するためにもなくてはならない仕事であって、今、人員の削減はやめて、むしろ拡充すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。
○委員長(広田一君) 時間が参っておりますので、簡潔に願います。
○国務大臣(太田昭宏君) はい。
今回統合する二つの法人は、いずれも自動車の安全、安心を確保する業務を担っております。両法人は親和性があるため統合することにしておりますが、統合された後も、両法人が行ってきた自動車の審査や調査研究、リコールに関する技術的な検証などの確実な実施は、自動車の安全、安心を確保するために極めて重要であると、十分な体制、人員の確保を図っていきたいと思います。
○辰巳孝太郎君 必要な体制と、そして予算を確保することを強く求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。