摂津市・鳥飼新幹線車両基地の地下水くみ上げ問題を取り上げる JR東海は約束を果たせ
2015年06月02日
以下、しんぶん「赤旗」より転載します。
2015年6月8日(月)
リニア推進 JR東海が協定無視の井戸掘削
辰巳議員 利益最優先の姿勢批判
リニア新幹線計画をおしすすめているJR東海が、大阪府摂津市の車両基地で市と交わした環境保全協定を無視して車両清掃用水などのための井戸の掘削を開始し、市から訴訟を起こされています。日本共産党の辰巳孝太郎参院議員が2日の国土交通委員会でこの問題を取り上げ、「自治体との約束を反故(ほご)にして、利益最優先で強引に事業をすすめるJRの経営姿勢は許されない」と追及しました。
冒頭、辰巳氏は「JR東海は、公共交通を担う会社として、リニアに限らずどのような事業をすすめるにあたっても自治体や住民の理解、丁寧な説明は不可欠だ」と指摘。これに対し、太田昭宏国交相も「丁寧な説明が必要だ」と認めました。
JR東海は、旧国鉄時代から大阪府摂津市に37万平方メートル(甲子園球場9個分)の東海道新幹線鳥飼(とりかい)車両基地を保有しています。新幹線が開業した1964年から30センチメートル以上の深刻な地盤沈下が発生したため、摂津市は72年に地下水くみ上げの中止を要請。77年9月に市は地下水の保全と地盤沈下防止のため、くみ上げ禁止の「環境保全協定」を国鉄と締結しました。
辰巳氏は、地下水くみ上げを停止したところ、地盤沈下が明らかに止まったことを示しました。同様の協定は88年と99年にも締結、「公害の恐れがある施設を設置、変更するときには事前に市と協議する」との取り決めも交わされました。
ところが、昨年9月、JR東海は事前協議もなく、「コスト削減」などを理由として、市の制止を無視し、車両基地面積全体の3%にあたる茨木市側の敷地に井戸の掘削を開始。市は11月、大阪地方裁判所に提訴しました。摂津市議会も、JR東海に対し「環境保全協定」順守を求める決議を全会一致で採択。住民署名も人口8万5千人中、3万5411人分集まりました。
「たとえ隣接する市でも地下水脈はつながっている。そもそも、国鉄時代の地盤沈下の原因は地下水くみ上げではないか」との辰巳氏の追及に、国交省の藤田耕三鉄道局長は、「承知していない」とまともに答えませんでした。
辰巳氏は、摂津市長が面会を求めたのに対し、「そんなシステムがない」とJR東海が拒絶するなど自治体の意見を無視する姿勢をただしました。太田国交相は、係争中だとして答弁しませんでした。
辰巳氏は「あらゆるところでコストカットしていくというのがJR東海の方針だ。井戸水くみ上げで年間1億円の経費削減ができると試算されている」と、利益最優先で環境保全協定を守らない姿勢を批判。「このようなJR東海がリニア建設をすすめることなど絶対に許されない」とリニア計画の中止もあわせて強く求めました。
以下、会議録を掲載。
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
本日はJR九州の社長にも来ていただきました。早速ですが、事業計画についてお聞きしたいと思います。
二〇一五年度のJR九州の事業計画では、その一番に経営基盤の整備とあります。その基本方針の二として輸送の安全確保というのが出てくるわけですね。つまり、第一にもうけること、その次に安全というのが出てまいります。
青柳社長に聞きますが、JR九州は、完全民営化するために稼がなければならないということで、これ安全が軽視されているんじゃないですか、どうでしょうか。
○参考人(青柳俊彦君) JR九州は、発足以来、安全とサービスを全ての事業の基盤としており、安全を最優先にした経営を行ってまいりました。安全に関しては、社員一人一人が安全の意識を高め、様々なことに気付き、考え、行動するということを全社員で行っています。具体的には、安全に関する社員のヒヤリ・ハットの収集や、社員の提案に沿った必要な改善を進めるとともに、安全創造館による社員全員への安全研修の実施など、安全確保のための施策を計画的に実行してまいりました。
また、九州の鉄道ネットワークの維持は、鉄道事業を中核事業とする当社にとって重要な役割であると認識しており、上場によりその役割が変わるものではありません。上場の有無にかかわらず、今後とも安全を最優先にした経営を努めてまいります。
○辰巳孝太郎君 社長、全てに最優先という話なんですが、それは当然なんですね。しかし、この経営方針の第一に何を持ってくるのか。これはやはり会社の姿勢なり、また意識なりが反映されると思います。そして、完全民営化を目指すほかの会社と比較をしてみましても、この本文の第一に安全を掲げていないのはJR九州だけなんですね。
例えば、この間、事故が続いたJR北海道を見てみますと、やっぱり二〇一一年度にはこれ安全・安定輸送の確保というのは二番目に来ているんですよ。その直後に石勝線などの事故が起こって、JR北海道というのは、それ以降、常に安全が第一に来ているわけでございます。
今日はJR北海道の島田社長にも来ていただきました。聞きたいと思いますが、それまで事業計画で第二番目に来ていた安全が第一番目に掲げられたのはなぜなのか。これは安全を二の次にしてきたことへの反省があったのではないでしょうか。
○参考人(島田修君) お答えいたします。
当社は、平成二十三年五月二十七日、石勝線において列車脱線火災事故を起こし、多くのお客様におけがを負わせるという重大な事故を発生させ、事業改善命令を受けることとなりました。こうした事態を二度と引き起こさないという決意の下、お客様の安全を最優先とする企業として再生すべく、事業計画においてもその趣旨を記載したものであります。
○辰巳孝太郎君 事故があった後にはやはり安全が第一にと、やっぱりこの姿勢が問われると思うんですね。
今年はJR西日本が起こした福知山大脱線事故からちょうど十年になります。利益至上主義があの悲惨な事故を起こしたわけでございます。JR西日本の大阪支社の二〇〇五年度の支社長方針では、これ事故の前のものですが、やっぱり第一に稼ぐと書いてあるわけですよ。二番目に目指す中で安全・安定輸送というのが出てくるわけですね。JR西日本では、こういう方針の下で、安全投資を出し渋って自動列車停止装置も設置せずに福知山の大脱線事故につながったというわけでございます。
この事業計画なんですが、JR会社法の第七条により、JR九州のほかJR北海道、JR四国でも作って、大臣からの認可を年度内に受けているわけでございます。太田大臣に聞きますけれども、やはり安全より先に経営を掲げる事業計画、これ本当に認めてしまってよかったんでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 鉄道事業において、安全の確保というのは何よりも重要なことです。JR九州の平成二十七年度事業計画では、事業運営の基本方針の冒頭におきまして、全ての事業において安全を基本に取り組むことが明記されています。また、鉄道事業においては、安全風土の形成に向けた各種の取組を進めていくことを真っ先に明記されています。
青柳社長が答弁したように、JR九州は安全を最優先にした経営に努めているというところであり、そのことが事業計画の記述にも反映されていると認識をしておりますが、JR九州には、この完全民営化というときに、徹底した安全の確保に努めるということでスタートを切っていただきたいと、このように思っているところです。
○辰巳孝太郎君 JR九州では、先月の二十二日に、先ほどからありますとおり、長崎線で危うく正面衝突というインシデントも発生をいたしました。一歩間違えれば大惨事になっていたわけであります。公共交通機関を担う会社として安全を最優先に私は転換すべきだと思いますし、来年度の事業計画ですね、方針、これがどうなるのかということは注視しておきたいというふうに思っております。
安全を置き去りにしてもうけを最優先にする経営姿勢が許されないのは、既に完全民営化した本州三社についても同様でございます。まず大臣に確認したいんですが、JRは、公共交通機関を担う会社として、私、リニアのことずっとやってきましたけれども、リニアに限らず、どのような事業を進めるに当たっても、自治体、そして住民の理解、そして丁寧な説明というのが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 鉄道は、地域住民の生活やまちづくりに大きな影響を及ぼす、公共性という点では極めて高い公共交通です。したがって、鉄道事業の運営に当たりましては、自治体や住民への丁寧な説明を行いながら進めていくことが重要であると、このように考えています。
○辰巳孝太郎君 運用に当たっては丁寧な説明が必要だということでございました。
ところが、JR東海のことについて今日は取り上げたいと思うんですが、国鉄時代から大阪府の摂津市にある、三十七万平米に及ぶ、これは東海道新幹線の鳥飼車両基地というのを保有をしております。これ、甲子園球場が九つ分の面積なんですが、ところが、ここから地下水のくみ上げというのをやっておりまして、一九六四年辺りからこの周辺において深刻な地盤沈下というのが発生をいたしました。例えば、新在家一丁目などは五十七・四センチの地盤沈下が起こりました。今日は資料にも付けております。鳥飼八町一丁目では三十六・七、八センチと、軒並み三十センチ以上の地盤沈下が観測をされているわけであります。
そこで、摂津市は、一九七三年に国鉄に地下水のくみ上げ中止を要望いたしまして、七七年九月二十日には、国鉄との間に地下水のくみ上げを禁止する環境保全協定を締結をいたしました。すると、今日の資料にもお配りをしているように、(資料提示)この環境保全協定を結んだ直後から、地下水のくみ上げのときはずっと地盤沈下が続いてきたわけでありますけれども、停止をした後、地盤沈下がぴたりとやんだということになりました。摂津市とJR東海側は、その後も協定書を八八年、九九年にも結んでおります。
この環境保全協定書には、その第二条に、公害の発生のおそれがある施設を設置し又は変更しようとするときには事前に市と協議するものとあります。また、第八条には、事業者は地下水の保全及び地盤環境の変化を防止するため地下水のくみ上げを行わないものとするというふうに書いてあるわけですね。
ところが、昨年の九月の三十日に、JR東海は、何の事前説明も協議もなしに、摂津市側からの制止を無視して環境保全協定で禁止をされている井戸の掘削を突然始めたわけでございます。この暴挙に対して摂津市は、十一月の十四日、この協定を遵守して井戸を掘削することを中止することを求めて大阪地方裁判所に提訴いたしました。摂津市議会においても、昨年の十二月十九日、東海旅客鉄道株式会社に環境保全協定遵守を求める決議が全会一致で採択がされました。
過去の地盤沈下を経験している周辺住民からもJR東海のやり方に対して怒りの声が高まっておりまして、摂津市の人口というのは八万五千人なんですけれども、五月の二十二日現在で三万五千四百十一人分の反対署名が集まっているということでございます。
国交省に確認をしますけれども、そもそも当時の地盤沈下の原因というのは、私はこれはもう明らかに地下水のくみ取りからだと思いますけれども、これ、国鉄になりますから国交省にお答えいただきますけれども、地下水のくみ上げであると、地盤沈下の原因はですね、これはそれでよろしいんでしょうか。
○政府参考人(藤田耕三君) 当時の地盤沈下の原因につきましては、承知をいたしておりません。
○辰巳孝太郎君 国鉄の事業でこれは環境保全協定が、地盤沈下が起こっているということで結ばれたわけですね。これ、なぜ国鉄、今はもうJR東海になっていると言うのかもしれませんが、これ、国鉄がやってきたことですよ。なぜ答えられないんですか。これ、地下水のくみ上げであると認めていたんじゃないですか。もう一回お答えください。
○政府参考人(藤田耕三君) 昭和三十九年以降地盤沈下が生じたことは承知しておりますけれども、その原因については承知をしておりません。
○辰巳孝太郎君 それでは、一九七三年七月の十九日付け及び一九七五年二月二十八日付けの国鉄から摂津市に提出された地下水くみ上げの抑制についてという文書は御存じですね。国鉄が出しているんです。
○政府参考人(藤田耕三君) 昭和四十八年、昭和五十年、それぞれ文書があることは承知をしております。
○辰巳孝太郎君 それには何と書いてあるんですか。
○政府参考人(藤田耕三君) 昭和四十八年の文書におきましては、読み上げてよろしいでしょうか、昭和四十八年四月二十三日付け、四八摂市生第三一六〇号におけるお申出の事柄につきましては、当総局としましても、早速関係業務機関に対し、水の使用節約について極力努力するよう指導いたしておりますというふうな趣旨のことを書いているものと承知をしております。
それから、昭和五十年の文書につきましては、地盤沈下対策として、貴市の協力を得て鋭意工事を進めてまいりました、一方、これに関連します工業用水関係工事も、本年三月末日に切替えできる見通しとなりました、この切替えによって一日約千二百立方メートルの井戸の水のくみ上げは中止しますと、このような趣旨のことを書いたものと承知しております。
○辰巳孝太郎君 今の文書は、地下水のくみ上げが地盤沈下を引き起こしているということを前提に書いたものじゃないんですか。
○政府参考人(藤田耕三君) この文書の存在、内容は今承知しておりますけれども、当時、どういう背景でこういう文書がやり取りされたのかということは承知しておりません。
○辰巳孝太郎君 これ、国鉄が書いた文書ですよ。JR東海が書いた文書じゃないんですよ、国鉄が書いた文書ですよ。これ、地盤沈下を引き起こしていることを前提にそういう文書が作られたんじゃないんですか。
○政府参考人(藤田耕三君) 当時の国鉄の判断については、私ども承知をしておりません。
○辰巳孝太郎君 民間企業になっているからということなのかもしれませんけれども、これ明らかに、地下水のくみ上げが地盤沈下を引き起こしていることを前提に国鉄が摂津市側に出した文書でございます。
これ、もうむちゃくちゃな話なんですね。今日は資料にも付けておりますけれども、今、JR東海は何と言っているのかということなんですが、この鳥飼の車両基地で地下水のくみ上げをしたとしても、地盤沈下の具体的危険性はないと主張をしているわけでございます。JR東海の言い分はこうなんですね。井戸の掘削場所は摂津市ではなくて隣の茨木市であるから、問題はないということなんですよ。この地図にもあるとおり、この赤い線で囲われたところが鳥飼の車両基地でございます。摂津市があるわけですね、これ緑の部分ですよ。ここと環境保全協定を結んだと。ところが、茨木市、これちょっとだけ重なっていますね、車両基地の部分に。これ、全体の面積の茨木市の面積というのはたった三%しかないんですよ。この三%のところから井戸を掘削すれば環境保全協定には違反しないだろう、茨木市から掘っているんだから大丈夫だと、こう言っているのが今のJR東海であります。しかし、地下水というのは当然地下で水脈というのはつながっているわけですから、その影響は、たとえ茨木市のこのちっちゃいところから掘削をしたとしても、摂津市に及ぶことは間違いないということでございます。
それと、私が驚いたのは、今、JR東海が、上水道と地下水の二重系化が必要だと、上水で今までやっていたけれども、地下水くみ上げることによって二重系化ができるんだということを言って主張しているわけでございます。これはリニア新幹線の建設を正当化していくときにも使われた言葉でございます。しかし、二重系化のためには地域が地盤沈下をしてもいいのかということになるわけであります。
また、JR東海は完全に開き直って、井戸の掘削も災害対策であるから官民挙げて取り組むべきだとも言っております。これも詭弁でして、この地下水というのは災害のときだけに使用するわけじゃないんですよ。むしろ常時、毎日七百五十トンもの水を地下から吸い上げて使うということを前提にしているわけでございます。
昨年、この国会で成立した水循環基本法というのがあります。皆さんも覚えていらっしゃると思うんですが、その基本理念を見てみますと、こう書いてあります。「水は、水循環の過程において生じた事象がその後の過程においても影響を及ぼすものであることに鑑み、流域に係る水循環について、流域として総合的かつ一体的に管理されなければならない。」としているわけでございます。太田国土交通大臣は、この水循環政策担当大臣でもあります。
国交省に聞きますけれども、この法律の中で地方公共団体や事業者の責務はどう規定されているんでしょうか。
○政府参考人(北村匡君) 御説明いたします。
水循環基本法の第八条にその記述がございますが、「国、地方公共団体、事業者、民間の団体その他の関係者は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。」とされているところでございます。
○辰巳孝太郎君 地下水も当然この水循環の中に入るわけでありますけれども、JR東海は、摂津市長からの面会の求めに対しても、当初は、そんなシステムがない、面会をするシステムがないと言って一向に会おうとしてこなかったわけでございます。
最後に、大臣にお聞きをしたいと思うんですが、このJR東海の一連の姿勢についてどう思われるか、お聞かせください。
○国務大臣(太田昭宏君) 現在、これは訴訟中だというふうに聞いております。詳細を私が十分承知をしていない段階、また訴訟中であるということから、答弁は差し控えさせていただきます。
○辰巳孝太郎君 JR東海が、必要なまさに丁寧な説明というのをしていないのは明らかだと思うんですね。これ結局、やはりコストの削減のためではないかということなんですよ。今まで上水を使ってきた、それに掛かってきたコストを、地下水ただですから、それを使ったらいいということなんですね。年間で約一億円のコストカットができるというふうに試算をされております。
このリニアの建設は、JR東海の自己資金で、約九兆円ですけれども、賄うとされております。あらゆるところでコストカットをしていくというのがJR東海の方針ですよ。しかし、JR東海は、市の求めに応じず、話も聞かない、丁寧な説明もしない、環境保全協定を結んでも脱法的にそれを守らないと。環境や身体、地域コミュニティーに多大な影響を与えるリニア建設をこういうJR東海という会社が進めることは絶対に許されないということを訴えて、私の質問を終わります。
○辰巳孝太郎君 日本共産党を代表して、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
本法案は、JR九州を完全民営化するためのものです。JR九州は、本業の鉄道事業が赤字のまま株式上場するため、コスト削減を始め、利益獲得に向けた合理化、効率化を行っています。
反対する第一の理由は、完全民営化すれば、更に営利中心主義の経営姿勢が強まり、なお一層合理化が進み、利用者と労働者、国民の生命と安全、利便性が今以上に脅かされることになるからです。
JR九州は、一九八七年の分割・民営化後、本業の鉄道事業は毎年赤字を続けています。二〇一六年度中の株式上場に向け、安全を二の次にした事業計画を立て、不採算部門の切捨てや外注化、非正規職化に加え、この春のダイヤ改正では在来九路線で三十二駅を無人化し、合理化を推し進めています。九州新幹線の並行在来線、肥薩おれんじ鉄道の切離しといったローカル線切捨ても既に行ってきました。その一方で、駅ビル事業や医療品販売、農業、教育などを強化し、鉄道事業はもうかるところのみを強化する巨大サービス企業となっています。このような状況で完全民営化すれば、公共交通機関が担うべき安全性と公共性は一層軽視されることは目に見えています。
第二の理由は、株式上場を目的に経営安定基金の取崩しを解禁するからです。経営安定基金は、その運用益で経営の厳しいJR九州などの赤字を補填するために設置され、取崩しは現在禁止されています。鉄道事業は赤字が続き、基金の運用益による経営支援はこれからも必要です。株式上場を進めるためとして、国民の財産である公金を一民間企業に譲り渡すことは賛成できません。
以上、反対討論を終わります。
以下、委員会で示したパネルと配付資料を掲載。