検査官候補から聴取 参議運委 辰巳議員が質問
衆参両院の議院運営委員会は14日、会計検査院の岡村肇検査官候補の所信聴取を行いました。岡村候補は会計検査院の事務総長で、学校法人「森友学園」の国有地売却をめぐる会計検査にもかかわってきました。
日本共産党の辰巳孝太郎議員は、森友問題で会計検査院の検査チームの責任者だった前川猛氏が、財務省や国交省と報告書への「金額」の記載をめぐる激しいやりとりがあったことを認めている点などを示し、「なぜ(報告書に)『金額』を記載しなかったのか」とただしました。
岡村候補は「担当者は、適正な価格を示したいと検査に取り組んでいると思うが、結果的に(『金額』を)示すことができなかった」との主張を繰り返しました。
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
岡村肇検査官候補にお聞きします。
会計検査院の事務総長として経験が長いと思うんですけれども、最終的には、事務方のトップとして、去年十一月に出された森友の報告、森友学園に対する会計検査などを行ったということであります。
検査官候補に聞きたいんですけど、長い職歴の中で、改ざん、隠蔽、これに直面をした経験はございますでしょうか。
○参考人(岡村肇君) 私も、先ほど申しましたように、官房の業務が長いということで、検査の経験がそれほど長いわけではございません。そうしたことのせいかもしれませんが、改ざんとか隠蔽ということに自らがその検査担当者だったときに経験したかということであれば、そういう経験はないということでございます。
○辰巳孝太郎君 まさに前代未聞の事件ですよね。
昭和二十二年以降、国会の議事録が残っているものを全部調べても、政府が改ざんと隠蔽を認めた事例というのは今回が初めてということですから、当然そういう経験はされていないと思うんです。
なぜこのようなことが起きたのかという所見を是非お聞かせいただければと思います。
○参考人(岡村肇君) これは、なかなか私どもからこうというふうに申し上げるのは難しいのかなというふうに思っております。私どもは、やはり会計経理の適正性ということについてしっかりと目を光らせてまいりたいという立場でございます。
○辰巳孝太郎君 会計検査院は憲法九十条に立脚する独立性が極めて問われる機関、求められる機関であります。
我が党が独自に入手をした財務省と国交省が会計検査報告へ介入しようとした去年の九月七日のメモでは、財務省と国交省が、この金額を落とせと、落とさせなければならないと、こういうふうにやり取りをしているんですが、まあ折衝は様々やられているということだと思うんですが、そういう要求があった、金額を落としてくれという要求があったということはお認めになりますでしょうか。
○参考人(岡村肇君) 個別の検査の過程に関することでございますので、そこは差し控えさせていただきたいというふうに存じますが、一般論で申し上げますと、検査対象機関との間では非常に時には激しい議論のやり取りもしているところでございます。その過程ではいろいろなことが出てくるということはあるのではないかなというふうに思っております。
○辰巳孝太郎君 森友、チームの責任者である前川さんですね、当時の責任者、前川さんが共同通信のインタビューにお答えになっている記事があるんですが、それは御覧になりましたか。
○参考人(岡村肇君) はい、見ております。
○辰巳孝太郎君 そこで前川さんは、財務省、国交省から金額を落としてほしいという、そういう要求があったことを前提にインタビューに答えておられるんですけれども、それは御存じですね。
○参考人(岡村肇君) 内容をちょっと詳細に記憶しておらないところがございますが、この点、本人に確認したところ、報道されている内容の一部を話したということを認めているということでございます。
○辰巳孝太郎君 話していないことを共同通信が書いたんですか。
○参考人(岡村肇君) 本人にすれば、内容の一部を話したという認識のようでございます。
○辰巳孝太郎君 つまり、記事が誤ったことを書いたということではなく、話したことの一部が掲載されたということですね。
○参考人(岡村肇君) 記事が誤っているというようなことを申したということではないというふうに思います。
○辰巳孝太郎君 結果的に金額の記載というのは落ちました。衆議院の今日の質疑、やり取りの中で、その理由について、根拠資料が必ずしも十分でなかったんだと、処分単価費が二万二千五百円で森友の場合は計算しているんですが、それがなかなか信頼性があるかどうか分からないということで、処分価格は分からないということで金額は最終的には出なかったということだと思うんですが、だとすれば、会計検査院として、その適正な金額、処分単価の金額は、例えば相場はこれぐらいであるとか公共事業ではこれぐらいであるとか、そういう金額も示した上で、トン数に掛けてすれば金額が出たのではないかと思うんですけれども、なぜそういう検査をしなかったんでしょうか。
○参考人(岡村肇君) おっしゃるとおり、検査の担当者とすれば、そういう処分費の単価を算出したいということで努力していたのではないかというふうに、これは、申し訳ございません、推測でございますが、やはり検査、適正な価格というものを示したいということで検査に取り組んでいるのが担当者だと思いますので、それはそういうことで努力をしたというふうに思いますが、結果的に示すことができなかったというふうに私は理解しているところでございます。
○辰巳孝太郎君 大事なのは、この検査がまだ続いているということだと思うんですね。既に六月の十九日に中間報告を出していただいたんですが、これは、三月に改ざんが発覚をして、それを踏まえて行われる検査ということになります。で、六月十九日に中間報告が出されまして、改ざんがされた決裁文書が提出をされ、法律相談文書の提出が遅延された。これは十一月の公表される前日に、数百ページにも及ぶ法律相談文書が急に出されたと。国会に提出されたのは今年に入ってからでした。これらに対し、あとは交渉記録ですね、廃棄をしたと言ってきた交渉記録が提出されなかったことに対する、会計検査院法第三十一条第二項にのっとっての懲戒処分の要求の必要性について検討すると、こういうことになっております。
これについてちょっとお聞きしたいんですけれども、これは、直接皆さんが実地検査をされたのは近畿財務局の職員だと思います。彼らに書類を出してほしい、決裁文書を出してほしい、あるいは交渉記録出してほしいと。これが出なかった、あるいは改ざんされて出てきたということだと思うんですが、この処分なんですけれども、つまり誰に一体責任があるのかということでいえば、私は、その近畿財務局の職員というよりも、改ざんを指示した、あるいは隠蔽を指示した、そこに遡って、そこまで検査をして処分すべきだという要請をするべきだと思うんですけど、そういう認識でよろしいでしょうか。
○参考人(岡村肇君) 懲戒処分の要求の検討に当たりましては、国の会計事務を処理する職員ごとに事実関係を確認して、故意又は重大な過失があるかなど、法律に定められた要件に該当するかを確認するということでやっているわけでございます。関与したと認められる職員について検討するということでございます。
○辰巳孝太郎君 その会計事務を処理する職員に対して隠蔽しろ、改ざんしろ、出すなということがされたとするならば、それは指示をした人の処分を要請するということになりますよね。
○参考人(岡村肇君) 指示をしたという職員が会計事務職員に該当するということが前提になろうかと思いますが、おっしゃるとおりかと思います。
○辰巳孝太郎君 大臣は会計事務職員に当たり得るという認識でよろしいでしょうか。
○参考人(岡村肇君) 大臣につきましては、会計法等におきまして各省各庁の長としての事務が規定されておりますが、その事務につきましては、政令の定めるところにより所属の職員等に委任することができるとされております。
また、大臣につきましては、国家公務員法第二条の三項第二号の規定に特別職とされておりまして、職員の懲戒処分について定めた国家公務員法の対象とはなっていないというふうに理解しているところでございます。
○委員長(末松信介君) 質疑終了の時間です。おまとめください。
○辰巳孝太郎君 はい。
臆せずに検査をすることが必要だということを述べて、終わります。