日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

道路法参考人質疑

CIMG310920日、国交委員会の道路法改正案についての参考人質疑が行われ、私も質問に立ちました。

私は、笹子トンネルの事故以来、大規模更新、修繕が必要な時代になってきたことに触れつつ、社会資本整備審議会からも辛辣な言葉で、今こそかじ切らないといけないという「最後の警告」が出されていること、道路公団民営化の経過からしても、多くの国民はこれ以上不必要な道路は造ってほしくないという気持ちが強いことを指摘しました。

その上で、道路の計画を作り、建設の命令を出す政治の決定に際して、国民にオープンに議論されているのか、国の政策決定の過程として今の国の制度が十分なものなのかについて参考人に質問しました。

上岡直見参考人(環境経済研究所代表)は、橋の建設に際しての交通量調査の例を挙げつつ、数字の算定根拠など含め、政策決定過程の明確化はまだまだ十分ではないと答えられました。


議事録を読む(参考人部分)

○参考人(根本敏則君) 御紹介ありがとうございます。根本でございます。
私は、今回の法律のポイントは高速道路の更新費用の財源調達問題だというふうに考えました。
この問題を考えるに当たり、問いを三つ作ってその答えを考えてみました。まず、高速道路の費用は税で賄うべきか料金で賄うべきか、高速道路の費用にはどのようなものが含まれるか、それから、地方部の非混雑道路を無料化すべきなのか、その場合には更新費用はどういうふうに調達できるんだろうかということでございます。
さて、問い一でございますけれども、道路を高速道路、国道、県道、市道と仮に分けて考えてみたときに、車を通過させるトラフィック機能を主に担う高速道路、それから沿道からの出入りを保障するアクセス機能、こういうものがございます。そして、トラフィック機能を担う高速道路の受益者は道路利用者であり、アクセス機能を担う市道の受益者は沿道居住者あるいは土地の所有者と考えることができます。
さて、そのトラフィック機能を担う道路については自動車関係税を充てるのが適切というふうに思うわけですけれども、自動車関係税のうち燃料税は道路利用量と関係しますが、高速道路を利用しない道路利用者もいます。あるいは、燃料を消費しない次世代自動車などが出現してきております。また、自動車保有税も、これは自動車関連税でございますけれども、これは道路利用量とは直接連動していません。そういうわけで、料金がより適切というふうに考えるわけであります。消費税、所得税などの税は道路利用とは全く無関係で、不適切と思うわけであります。
また、料金がより好ましいと思う理由の一つに、最近の情報通信技術の発達がございます。日本で使われているETC、これは道路と車が短い距離で通信しますので、専用狭域通信といいますけれども、GPSを使えば走行距離が分かるようになってきました。また、ナンバープレートをカメラで認識してその車を同定するということもできるようになってまいりました。ということで、昔に比べて非常に安価に料金が徴収できるようになってきたというふうに思います。また、後ほど述べますけれども、混雑に応じて料金を変えるということも世界的にいろいろ導入されるようになってきまして、これはとても税ではなかなか対応できないことなので、ここでも料金のより優位性というものが認められるわけです。
ということで、結論的に、高速道路は道路利用者に走った距離に応じて徴収する料金の形で負担を求めるのが公平ではないのかというふうに思うわけです。また、効率的ということも言えます。それは、料金の取れるところだけしか道路が造れない、料金が取れる範囲で道路が造れるということで、効率的とも考えられます。
参考までに、欧州において高速道路大型車対距離課金を導入する国が増えているということを参考資料として付けております。三ページ目、四ページ目をちょっと参照いただきたいと思うんですけれども、ヨーロッパでは、欧州連合ができまして国境を越える長距離移動が活発になってきました。自国の道路を外国の大型車が通行するようになり、道路損傷などを起こすその外国の大型車にも負担をしてもらいたいということが強まってまいりました。
従来、ドイツとか北欧の国々は、ビニエットといいまして、ステッカーを貼ってあればその車は一年間、例えば十五万円ぐらい、大型車がそのステッカーを買わなければいけないんですけれども、買ってあればもう高速道路は使いたい放題ということだったんですけれども、これは非常に安いわけですね。走行量に応じてやっぱり料金を取るべきではないのかということで、ドイツでGPSを使った大型車対距離課金が導入されました。高速道路で取りましたら今度は国道の方が混みましたので、ドイツは国道も有料道路に組み入れることになりました。フランスは、日本のような高速有料道路はあったんですけれども、ドイツ、隣の国で有料が、ネットワークが広がるにつれて大型車がフランスを走るようになりまして、フランスでも国道で有料制をしこうと今計画しているところであります。
あるいは、アメリカについても、元の方に戻りますけれども、オバマ政権は新しい法律を今準備しているところですけれども、ガソリン税を道路特定財源にして、それで州際高速道路の費用として充当しようという、そういう六年間の法律を今審議しているところですけれども、その中で、州際高速道路、原則有料道路禁止というそういう条項があったんですけれども、その撤廃を提案中です。この十年くらい、州際高速道路の線増、レーンを増やすときに、そのレーンを増やすのに併せて有料制というのは次々と導入されてきてはいたんですけれども、それはあくまでも例外措置です。その例外を改めて、もう原則的に有料をまず禁止するというのをやめようというふうなことを提案中です。これはまだ議会で通っているわけではなくて、今議論をしているところですけれども、ガソリン税がもう当てにならない財源であると、ガソリン税に代わる新しい財源として有料制を導入しようとしています。
ということで、まさに世界の動きは税金から料金だというふうに思っています。
二番目の、高速道路の費用に含まれるものは何かということになりますけれども、インフラ費用、外部費用と二つに分かれます。インフラ費用は建設費用、維持管理費用ですけれども、今回、更新費用というものが重要だということが分かってまいりました。考えてみれば、高速道路は耐用年数の異なる様々な設備、施設から成り立っているわけであります。しかも、ほかの国道などに比べてトンネルや橋などの構造物の比率が高いわけで、その意味でも更新ということが非常に大事な道路であります。そのほかに、外部費用として環境費用、混雑費用などを考えることができます。これは、道路管理者に生じる費用ではなく第三者に生じる費用ですけれども、道路管理者にそれを負担させる、あるいは気付かせるということにより量を制約する、より最適な量に減らすことができるというようなこともあるわけです。
さて、有料道路が誕生したときには償還期間は三十年でした。三十年ということでは、余り更新のことを考える必要はなかったかもしれません。しかし、その後、プール制の導入により、現在ではもう五十年たってまだ料金を徴収している路線ももちろんありますし、公団民営化に際して、今後三十六年間、すなわち平成六十二年度まで料金を徴収するということになったわけで、この償還期間の間に更新ということをしないということはもう避けられない、更新は避けられないということになったと思います。
そして、笹子トンネル事故以降いろいろ精査していく中で、必要な更新の規模、それからその費用、そういうものが明らかになったわけで、それを償還計画に組み込むというのは当然のことではないかというふうに思うわけであります。
さて、参考までに、その混雑の問題についても一言だけちょっと触れさせていただきたいと思います。
首都圏三環状、中央環状、外環、圏央道などが概成する中で、代替ルートが確保できるようになりました。東名筋から常磐の方に抜けるに当たっても、いろいろなルートが使えるようになる。そのときに、もし料金に混雑状況が反映できれば、交通を非混雑路線にシフトすることができます。混雑料金収入は、当該道路の車線数を増加したり、あるいは非混雑時の割引に活用が可能であります。日本も諸外国に倣って、この混雑というものを料金に反映させる仕組みを是非導入していきたいものだというふうに思っております。
さて、三番目の地方部の非混雑道路を無料化すべきかどうか、更新費用はどうなるのだろうかという問題に入っていきたいと思いますけれども、経済学者の中でも、過去の投資は回収できない埋没費用である、過去のものである、ですから、現在の施設を有効活用するためには無料化が有効であるという考え方は、短期的には説得力のある論理であります。しかし、私はこの意見には反対です。
当該高速道路の更新が必要になったときには、別途財源を調達する必要が出てきます。地方部にあっても、税による更新というのは受益者負担の観点からは正当化は難しいと思います。また、地方の財政事情から見て、現実的に税で更新をしていくというのもまたこれは困難であります。したがって、結論的には、利用者が更新費用を含めて、節度を持ったプール制の下、一定程度料金として負担すべきではないかというふうに考えるわけであります。
ただ、人口が急激に減少している地域で、地域の高速道路ネットワーク全体の容量を縮減するということが必要になっている地域、その場合はひょっとしたら更新が必要ないかもしれません。その場合には、またちょっとこれは別途議論が必要になるかもしれません。しかし、基本的に更新は必要なわけです。それは利用者に払ってもらわなければいけないのではないかというのが私の意見であります。
さらに、今回の法律には直接関係しませんけれども、私が懸念することとしては、新直轄などの無料の高規格専用道路が次々とネットワークを広げて、NEXCOの高速道路ネットワークとつながろうとしています。もしこの新直轄の専用道路が長距離でつながっていくということになれば、これは公平性の点でも問題でありますし、NEXCOの経営上の問題としても少し重要な問題を提起してくると思います。
アメリカでも、有料道路会社が経営している道路に並行して州道ができたときに、有料道路の交通量が大きく減りました。結局、州はその有料道路を買い取らざるを得ませんでした。やはり、無料の道路と有料の道路のネットワークをどういうふうにつくっていくかというのは、これは有料道路を考える上、無料道路を考える上でやはり非常に重要です。相互に関係します。
あと、道路損傷の主たる原因者である大型車にだけ負担を求める路線の導入というのも是非将来の検討課題としていただきたいと思っております。
フランスでは、有料道路は大型車も普通車も払います。しかし、今検討されている新しいエコタックスという税金では、国道は、乗用車はただですけれども、大型車に負担してもらうということで、大型車にだけ負担してもらう道路というのも考えているんですね。もちろんそういうのも技術的に容易にできるようになっていますので、そういうふうな、特に道路損傷の原因者である大型車に負担を求めるというので路線を決めるということも非常に有効ではないかと思っております。
以上でございます。
○委員長(藤本祐司君) 根本参考人、ありがとうございました。
次に、石田参考人にお願いいたします。石田参考人。
○参考人(石田東生君) 筑波大学の石田でございます。お招きいただきまして、どうもありがとうございます。
私のメモを御覧いただきますとお分かりになりますように、大きく三つから構成されております。まず、法律案、今回の道路法の一部を改正する法律案への総括的意見というものをまず述べさせていただきます。それで次に、若干技術的な細部に入ってしまうかも分かりませんけれども、改正の各点に関する意見を述べさせていただき、最後に、今般の改正、大規模更新及び料金政策と空間の活用ということに関して、更にこういうことを御検討いただければ有り難いという要望を述べさせていただければと思います。
まず、総括的意見でございます。
道路だけではなくて、多くの社会資本が、建設整備する段階から健全に維持管理し活用を図っていくと、そういう時代に入っているんだというふうなことが言われております。今回の道路法の改正は、道路ネットワークの活用を更に加速、充実させるという意味で非常に高く評価をすべきであろうかと思います。
高速道路の計画的な更新というのは、これまで築き上げてきた貴重な資産を次世代に継承するために是非とも必要なことでもございますし、道路空間の活用とかスマートインターチェンジの整備環境を良くするということも、資産を更によく活用するという、そういう観点から、三つの大きなポイントには共通性があろうかと思います。
しかし、活用に入ったからといって、これは整備とか建設を全くやらないということを意味するものではないというふうにも思います。やっぱり道路の資産をネットワークとして見た場合には、道路ネットワークの利用価値を更に上げるためのミッシングリンクというのをどう整備していくかとか、安全、安心のための代替的経路、リダンダンシーの確保とかと申し上げますけれども、そういうことをどうするかとか、あるいは自動車だけではなくて、今回は高速道路でございますけれども、道路ネットワークということを考えた場合には、高速道路も全体のネットワークの一部でございます。自動車だけでなく、人、乳母車、車椅子、自転車、最近話題の超小型モビリティーをどううまく導入していくんだという、そういうふうな質的な整備の必要性もまだまだ高うございます。そういう場面がまだ多数残されているということを忘れてはいけないと思います。
また、活用の段階に入ったと申し上げましたけれども、具体的な実践はまだまだ緒に就いたばかりだろうと思います。このことを今後更に加速していくということも重要で、本法律案はこの最初のスタートの一部を切ったものであるという観点からも評価できるんじゃないかなというふうに思います。
二番目が、改正の各点に関する意見でございます。
まず、高速道路の計画的な更新の実施のための改正でございます。
冒頭申し上げましたように、高速道路資産、非常に貴重なものでございます。これを健全な形に保ち、次世代へ継承するということから見て、是非とも必要なことだろうと思います。
今回、各社における検討は、私自身も首都高の委員会に参画させていただきましたけれども、非常に豊富なデータと現在最高の知見に基づいて、かつ現場等も十二分に視察し、評価を踏まえた上でのものでございますので、結構信頼性は高いんではないかなというふうに考えております。償却期間中に次々と更新の必要性が出てくるというのは考えにくいんではないかなというふうに思っております。しかし、未来永劫大丈夫かというと、それはそんなはずがあるわけではなくて、いずれ維持更新のための有料制、永久有料ということも考えなくちゃならないのかなというふうに思います。
ただ、費用の見積りも出ておりますけれども、やっぱり国民負担を軽減するという観点からは、特に大都市域におきましては都市再生事業との連動性を高めて、都市のためにも良くなり、かつ費用も安くするという、そういう検討が今後必要になろうと思います。
二番目が、道路上部空間の活用でございます。
立体道路制度というのができましてもう三十年以上経過してございますけれども、適用件数というのはなかなか多くなっておりません。一年当たりに直しますと一件強という、そういうものでございます。いろいろ理由はあるんでしょうけれども、一つには、立体道路制度が適用されるのが道路の新設あるいは大規模な改築のときのみに限定されていたということがあろうかと思います。今回の改正によって、この新設、改築時の限定が解除されるということは、立体道路制度、これ都市のためにとっても非常に重要なものでございますので、高く評価できると思います。
ただ、今回の改正は、首都高速道路の築地川区間を非常に色濃く想定したものというふうに理解しておりますけれども、民間のディベロッパーの方なんかと話をしておりますと、あそこは地形、区画の形が余り良くないとか、アクセス道路も余り整備されていないとかということで、あの道路空間だけで考えると余り魅力的じゃないんだけどなというふうなことをよく伺います。ですから、先ほども申しましたように、区画の大街区化とか、あるいは今、東京の八重洲口というのは、八重洲口も新しくなりましたし、あるいは再開発事業なんかも進捗しておりますので、そのこととの連動性なんかも含めて広い視野で考えるべきだろうというふうに考えております。
次が高架下空間の活用でございまして、これも非常に貴重な空間でありまして、これを促進するということで、かつ入札制によって、いい利用の仕方を応募するということで、評価したいと思います。
ただ、今の道路局長通達というのを拝見いたしますと、高架下の利用については、都市計画や土地利用計画との整合性、公共的、公益的利益の優先という非常に大事なことが述べられておりまして、お金さえ払えば何に使ってもいいんだということにはしてはならないと思います。この精神は承継されるべきであると考えております。
次が、スマートインターチェンジへの財政支援でございます。
欧米に比べると、日本の高速道路のインターチェンジの間隔は二倍から三倍程度長いというふうに言われております。これは有料の高速道路でございますので、料金収受のためのコストとの見合いで決まっていることでございますけれども、ETCの広範な普及によって料金収受が非常に安くなってございます。そうすると、スマートインターを更に設けることによって、これも高速道路の使い勝手が良くなる。これは活用につながるということで非常にいいものでございます。従来、利便増進事業で財政的支援が行われておりましたけれども、これがなくなるということで、これも必要な支援だと思います。
ただ、ここでちょっと細かくなってしまいますけれども、スマートインターの整備の形というのを少し考えてみなくちゃならないんだろうというふうに思います。
大きく言うと、サービスエリア、パーキングエリアから出るものと、本線の直結型というものがございます。SA・PA接続型は、整備費用はそれほど掛からないんですけれども、アクセス道路の整備が負担となっているというふうに伺っております。本線直結型は、従来、スマートインターを整備をしておりましたときには、ダイヤモンド型と申しまして、立体交差をする幹線道路に高速道路からすっと降りていってすっと延びていくと。そうすると、トランプのダイヤの形に、ひし形になりますのでダイヤモンド型というんですけれども、実際、現在この形は非常に少のうございます。それはどうしてかというと、ETCを装着していない車とか誤進入があった場合にまた復帰しないとならないだろうということで、普通の高速道路のインターチェンジの形に非常に近いものがございまして、当初は大体従来のインターチェンジの三分の一ぐらいでできるんじゃないかなみたいなことを言っておったんですけれども、ダイヤモンド型は実は少なくて、安いことは安いんですけれども、思ったほど安くないというふうなことでございますので、この辺の技術的な工夫も含めて更に政策の展開が要請されるところでございます。
三番目になります。
今回の改正に関連して、今後の道路政策に望みたいことでございます。
高速道路料金を含む負担の在り方についての検討の加速を是非お願いをしたいと思います。
今回、必要な料金徴収期間、更新分については償還が終わった後利用者の皆さんにお願いするということでございます。このことの意味を考えますと、四十五年間を固定化して考えなくてもいいという、そういう意思決定だと思います。そういう観点からすると、高速道路の料金制度を検討を更に加速するいい機会としても捉えられるんじゃないのかなというふうに思います。
これをもうちょっと前に進めて申し上げますと、建設する時代はその借金を返し終えればいいという償還主義だったわけでございますけれども、これからは、高速道路という資産、一般道とのネットワークということを考えた場合にも非常に貴重な資産です。それをどううまく活用するかという、そういう政策主義とでもいうべきものを、料金を考えるということから更に進めてはどうだろうというふうに思っております。
いろんな料金の実験が行われておりますし、環境ロードプライシング等についてはもう実践でございます。こういうことを更に進めて、いろんな負担も含めた形で検討を進めるべきであると。先ほど根本先生もおっしゃいましたけれども、技術的な進歩によって全国でロードプライシングということが技術的には可能になってきております。そのための検討を進めるべきであろうかと思います。
燃料税から一部思い切って転換してはどうだろうかというふうにも思います。燃料税は、利用に応じて負担する公平、あるいは徴収費用が安価であるとか、あるいは道路特定財源時代には利用が増えるとそれが道路財源になるという、いろんな意味で良かったんでありますけれども、低燃費車が増加をしてきたりとか、あるいは自動車の社会的費用がこれまでこのように大きな問題となってきた中で、全国一律の燃料税というのは何かどうもそぐわないような気がいたします。地域の実情に応じたプライシングということを考えるべきであろうと思います。
最後になりました。高架下の活用あるいはスマートインターの支援ということでございますけれども、それに関連して、道路のオープン化に向けての議論を更に加速すべきであろうというふうに思います。
私が思いますのに、道路のオープン化というのは、占用のオープン化、空間のオープン化、事業のオープン化ということでございまして、特に事業のオープン化に関しましてはメンテナンスの問題がありまして、これにつきましては特に市町村道でいろいろな問題もあろうかと思います。このことについて、メンテナンスを包括的に一括的に地域の建設会社等にお願いするというふうな、こういうことも考えてみてはいかがだろうというふうに思います。ただ、このときに、勝手気ままにやるんではなくて、議論もオープン化をして、地域のためにそこでの公益性ということをきちんと考えた上で進めていくべきだろうというふうに考えてございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(藤本祐司君) 石田参考人、どうもありがとうございました。
次に、上岡参考人にお願いいたします。上岡参考人。
○参考人(上岡直見君) 上岡でございます。
本日は五点ほど申し上げたいと思います。
まず一点目でございますけど、横の方の資料ですけれども、二ページ目を御覧いただきますと、これはもう何遍も出てくる資料ですのでこれ自体は説明いたしませんけれども、今後メンテナンスの負担が非常に大きくなってくるということを示したものでございます。
それで、ちょうど先月の四月十四日ですが、社整審道路分科会で、大変強い表現で、最後の警告ということで、今すぐ本格的なメンテナンスにかじを切れという提言が出ております。これは確かにそのとおりなんですけれども、じゃ、メンテナンスにかじを切れというのはいいんですけれども、財源とかいろんなリソースが幾らでもあればいいんですけど、そうではないわけですから、やはりその優先度というものを考える必要があると。極端なことを言えば、今後は、第一点目ですけれども、維持、防災をまず第一とする、その後余ったら新設するというくらいの方向転換をしてもいいのではないかというふうに思うわけであります。
二点目でありますけれども、三ページ目を御覧いただきますと、上のグラフですけれども、これは一般道と有料道路事業との予算概要の最近の変化です。これを見ますと、有料道路事業の方が非常にその額が、事業費が大きいということが分かりますが、交通量との比較で見ると、これはかなり、いささか有料道路事業偏重ではないかというふうに思うわけでありまして、道路というのはやはり、有料道路といいますか、一般的に言われる高速道路ですが、これだけでは道路ネットワークというのは成り立たないわけで、一般道のことを考えなければいけないわけであります。
そうしますと、地方道等の特に実情を見てみますと、もう本当にがたがたのところがたくさんあります。また、後に出てきますけど、防災面を考えましても、幾ら高速道路だけ立派にあっても、一般道とのアクセスのネットワークで成り立っているわけであります。そういうことから考えましても、今後は、繰り返しになりますが、維持、防災を先とする、新設は従とするというくらいの方向転換がはっきりなされるべきではないかと思います。
三ページ目の下ですけれども、これはたまたま東日本のデータですけれども、当然のことですけれども、管理費用はそれほど変わっておりません、経年で。ただ、料金収入ですね、これが減っております。これは、無料化の補填とか東日本の被災者の方の無料化補填とか、そういうものを含めても減っているということです。
一方、首都高、阪神、それからNEXCO、合計、今後十年から十五年で概算で四十兆円ぐらいの維持費用が必要ではないかというふうに試算されているという、ちょっと数字載せておりませんけれども、そういうふうに聞いております。そうしますと、これは当然賄えない、賄うのは非常に難しいということになります。先ほど根本先生のお話にもありましたように、それをどこから出すかということになりますけれども、そうしますと、考えてみますと、これは当然もう新設というような余裕は乏しいのではないかというふうに思うわけであります。
四ページ目ですが、これは二点目ですけれども、道路はストック効果とともに経済的に見てフロー効果もあるというふうに考えられるわけであります、GDPとか雇用に関するフロー効果ですね。これはいろんな評価があると思いますけれども、産業連関分析というところから見ると、新設事業であっても、あるいは補修事業であっても、それほどそのフロー効果というのは変わらないということが考えられます。そういうことから、これまではとかく新設偏重という方向性があったと思いますけれども、これを仮に補修の方に転換したとしても、別に経済にマイナスの影響があるということではないということであります。
それからもう一点は、五ページ目ですけれども、これは将来交通需要という観点から見ますと、これは局所的にはいろいろばらつきがあるかもしれませんけれども、全国的に見ますと、この将来の生成交通量というのを推定する手法はいろいろあるんですけれども、単純に言いますと、一人当たり発生トリップ数掛ける将来人口ということで、大まかに言えばですね。その上の表は、一人当たり発生トリップ数ですが、これはもうそれほど大きく動かないと思われます。その掛ける将来人口の方ですね、これが、いいことかどうかは分かりませんけれども、人口は今後大きく減る傾向であろうということになると、将来交通量は減ってくるということはもう当然であろうと思われます。
それから、六ページ目ですけれども、これは経年で走行台キロで見た、上のグラフですが、走行台キロで見たグラフで、二〇〇〇年あるいは二〇〇一、二辺りからもう減少傾向が始まっておりまして、これがまたV字回復をするというようなことはまず考えられないであろうと思うわけであります。一方、下のグラフですが、これは、ある意味では整備効果を示す一つの指標で、整備効果はいろんな評価法があると思いますけれども、全国平均で見た自動車の平均走行速度という面で見ると余り大きな変化がないということから考えると、全国的な整備レベルを上げるということにもうそれほど大きな社会的価値は見出せないのではないかと思うわけであります。
七ページ目、上の写真でありますけれども、これは国道の三桁号線ですけれども、広島県の例なんですけど、この上の高架道路は、これは高速道路ではありません、下の平面道路のバイパス道路ですけれども、これに三キロ百十億円という事業費が掛かっているというような例であります。それに見合った社会的便益があるのかという点で考えますと、計算上は出ていると思うんですが、ただ、平成二十二年センサスで一日六千三百台というのが費用便益評価上の計画交通量八千八百台というようなことで、言い方は悪いかもしれませんが、ちょっと水増しの評価をされていると。
一方では、そんなに将来交通量が増えるとは思われないというようなことで、乱暴に言わせていただければ、全国でこういう無駄な道路事業があるという一方でその整備費が足りないというのは、これはちょっと政策的なバランスを欠いているのではないかというふうに思うわけであります。
四番目、防災との関連でありますけれども、七ページ下の写真を見ていただきたいと思いますが、これは落橋防止装置というんですが、ほかの道路あるいは河川、それから鉄道なんかをまたいでいるところの橋が落ちてしまうのを防ぐ装置ですね。単純な話ですけれども、こういう鎖でやっていたり、ワイヤーでやっていたり、いろんな緩衝装置でやっていたりというのがあります。
これは、実は阪神大震災のときに落橋が多くて非常に苦労したという点からこの整備が進められてきたものでありますが、ただ、まだまだこれ道路の新設等に比べたらはるかに少ない費用でできるものにもかかわらず、まだまだ整備率は完全ではないというところがあります。しかも、阪神から造って相当、二十年ほどたっているので、これ、落橋防止自体が大分傷んで、ボルトの引き抜き力が不足しているところが見付かったりとか、そういうような状況でもあるわけであります。防災との関連で考えましても、これはやはり新設よりも維持、防災を主とするというような根本的な方向転換が必要ではないかと思うわけであります。
道路も、例えば防災の観点から考えますと、東日本大震災でも見られたとおり、道路のひび割れ等、こういうものはなかなか構造的に防ぐことができないものであります。それから、高架構造ですね。これは当然耐震設計がしてありますので、一挙に崩壊するとか倒壊するということはないと思いますけれども、ただ、強い震動を受けた場合はよほど点検しないと再開ができません。一方、平面道路の場合は、ひび割れ等生じても、鉄板敷きあるいは砂利充填とかそういう比較的簡単な対策によりすぐ啓開することができるということで、これは東日本のときにもくしの歯作戦ということで一般道路の簡易的な迅速な再開ということがかなり有効であったということが示されております。
こういう総合的な防災の観点からも考えて、どういうことを優先すべきかという点について再考が必要ではないかというふうに思うわけであります。
それから八ページ目ですが、これは、先ほど根本先生、それから石田先生からも言及がありましたとおり、自動車の外部費用という問題についてです。これ引用が抜けてしまいましたが、これ、神戸商科大学の兒山先生という方の著書をコピーさせていただいております。
以前、高速道路の無料化という名称で議論がされましたけれども、そもそも無料の道路などというものは世の中にないわけでありまして、ただ料金所でお金を集めているか集めていないかということの違いだけであるわけであります。道路は必ず費用が掛かっております。
一方で、先ほど御指摘ありましたとおり、自動車の外部費用というものが現在はまだ負担されていないということであります。これの適切な反映ということ、これは高速道路でも一般道路でもあるわけでありますけれども、そういう適切な反映ということも、今後、道路政策の、環境面も非常に深刻なことが指摘されている中で、これをどうやって反映させていくかということになると思います。もちろん、集めただけではなくて、それをどう配分するかという問題になるわけですけれども、現在は、自動車ユーザーはまだ道路の費用を完全に負担していないという現状があろうかと思います。
まとめでありますけれども、本改正法案のもちろんメンテナンスという点についてはこれは当然異論のないところであろうかと思いますけれども、ただ、道路法できたのが昭和二十七年ということですから、もう相当ですね。当時はもう本当に確かに、国道といえども砂利、水たまりというような状態であったわけで、確かにそういう道路整備は重要であったわけですけれども、ただ、現在に至って、五十年たって、その性格といいますか道路法の継ぎ足し継ぎ足しということではちょっともう間に合わない、基本的な道路政策の転換ということがやはり考えなければいけないのではないかというふうに思うわけであります。
それから、細かい話ですが、道路の立体構造の高架下空間の活用等、これはできるところはしてもいいかもしれませんが、ただこれ金額的にどのくらい大きなものになるのか、そんなに大きなものにならないのではないかということ。それからもう一つは、例えばコンビニ等というような例示がされておりますけれども、こういう民間事業に貸し出しますと、状況が悪くなれば当然撤退してしまうわけでありまして、その財源の永続性という点から、その辺はどう考えられているのかということに疑問があるわけであります。
時間の関係でもう終わりますが、もう一回まとめますと、今後の道路政策は維持、防災を第一として、その後、もし余ったら新設というくらいの基本的な方向転換が必要ではないかというふうに思うわけであります。
以上でございます。

議事録を読む(辰巳質問部分)

○辰已孝太郎君 日本共産党の辰已孝太郎でございます。
笹子トンネルの事故以来、大規模更新、修繕が必要だということになってきましたが、今回の、最後の警告ということで、社会資本整備審議会でも非常に辛辣な言葉で、今こそかじ切らないと、もう最後の警告だということを真摯に受け止めなければならないと思うんですね。
お三方全てが、維持更新、大規模修繕、更新については重要だということはここは違いはないと思うんですけれども、それを今回、十五年償還延ばしてということなんですが、私はやはり、それは国民ももちろん理解をすると。同時に、やはり民営化されたときの経過からしても、多くの国民はこれ以上不必要な道路は造ってほしくないという流れがあって、それもう今も続いているということは確かだと思うんですね。民営化の過程で不必要な道路は造らないということは看板には掲げられていたと思うんですが、しかし一方で、例えば新直轄の方式であるとか合併方式であるとか、税金で道路を造っていくという方向にもかじを切ったということがあったと思うんですね。
私がお三人全ての参考人にお聞きしたいのは、やはり道路を計画を作る、建設の命令を出していく、これは政治の仕事、最終的には政治の決定になるわけなんですが、やはりそこのところが国民はなかなか、本当にこれが必要なのか不必要なのか、オープンに議論されているのか、国の政策決定の過程として今の国のこの制度が本当にこれで完璧なのか、いいのかというところを三人の参考人に評価をお聞きしたいと思います。
○委員長(藤本祐司君) それでは、順番を、上岡参考人から、そして根本参考人、石田参考人の順番でお答えいただきたいと思います。
○参考人(上岡直見君) 何回か出ておりますけど、あの笹子トンネル事故で注目されたのは確かなんですが、私もいろんなところちょっと見学してみますと、県道の三桁クラスのものになりますと、橋梁の上に大きな穴が空いていたり、これどうなるんだというようなところが随分あるんですね。
一方で、高速道路を造っていたり、あるいはいろんな改築事業、こんなことをするんだったら、ちょっとやはりその地域の方にも、こんな心配なところを少し直してくれというような、言いたいところが随分あったわけであります。
あと、先ほどの私の資料の七ページの上の写真、橋の写真を御覧いただきたいと思うんですが、これは現況交通量が六千三百台に対して将来交通量は八千八百台というような評価をしていると。例えばこういうようなところに限っても、確かに費用便益分析をもう少し重視しようという方向で方向転換があったことはいいんですけれども、例えばそういう場合にも、こういう数字の算定根拠とか、誰がどうやってそれを決めているんだというような政策決定の、その意思決定の過程の明確化というようなこと、これはまだまだ十分ではないというふうに思います。
その辺の道路政策の在り方というもの、先ほど新直轄のお話ありましたが、ちょっと調べましたら、二千二百億ですか、一二年度で使っていると。結局、高速道路のいろんな過大推計であったり経営の非効率ということが指摘された中で、新直轄というようなまた枠外のものができてしまったりというようなことで、この辺の抜本的な見直しというのは、これまだまだ課題が済んでいないのではないかというふうに思うわけであります。
○参考人(根本敏則君) 私は発表の中でも申し上げたんですけれども、新直轄道路はやはり見直す必要が出てくるんではないのかというふうに思っているところであります。
各国道事務所がそれを維持管理していく、その費用、人員、あるいは更新の時期に来たときに更新の費用が出せるのか、国費で、そういうようなことを考えてみたときに、あとNEXCOの方の経営の問題、これはこれから延びていくに従って、やっぱり真剣にこれをどういうふうにこの費用を賄う仕組みをつくっていくのかということを考えなきゃいけないと思っています。その意味で、大型車だけでも料金を取るとか、何かの工夫をしていくというようなことが大事じゃないかと思っています。
○参考人(石田東生君) 不必要な道路というふうにおっしゃいましたけれども、なかなか、何が不必要でこれが必要だというのは難しい議論になろうかと思います。
高速道路で申し上げますと、現在もう既にインターチェンジの一時間圏域内にお住まいの方は九五%に達しておりまして、残り五%の方が必要だというふうにおっしゃっておられます。九五%の方にとっては、もうあるから要らないよということで不必要だというふうにおっしゃり、残された方は、命の道なんだから切実な問題なんだということをおっしゃいます。
社会資本というのは効果の波及範囲が非常に限定されておりますので、こういう国民の間で意見が分かれるような場面が多々出てくる問題でございます。そのときに、客観性、科学的に必要、不必要の判断をするのが費用対効果分析等でございますけれども、この方法が、私が思いますには、非常に限定的に計算をされるがゆえに過度に絞り過ぎているような嫌いがあろうかと思います。
例えば、今申し上げました命を救うという効果は現在の費用対効果分析の効果には入ってございませんし、企業の立地、地域の活性化ということも入ってございません。この辺についてどういう方式で判断すればいいのかということについても、我々大学にいる人間としても研究を進めていかなくちゃならないというふうに思っておりますし、先生方も更に活発に議論していただければなというふうに思います。
○辰已孝太郎君 ありがとうございました。以上です。