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国会会議録

JISの信頼を損なう 改定案に反対討論

2018年05月22日

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参院経済産業委員会は22日、日本工業規格(JIS)を定めた工業標準化法や不正競争防止法等の改定案を賛成多数で可決しました。日本共産党は「JISの信頼を損なう」として反対しました。

改定案は、工業製品に限定していたJISの対象にサービス産業を追加することとし、そのうち道路運送法が禁止する「白タク」を容認するライドシェア事業などの「シェアリングエコノミー」を含むとしています。

反対討論で日本共産党の辰巳孝太郎議員は「JISへの信頼性を損なうのみならず、JISを事業に役立ててきた約8割の中小企業に悪影響を及ぼしかねない」と批判しました。

これに先立つ質疑で日本共産党の岩渕友議員は、シェアリングエコノミーは便利な一方、ウーバーなどプラットフォーム事業形態のものは業法や利用者・労働者保護のルールがなく、安全性・信頼性の担保がない自己責任のサービスだと指摘。フランスでは労働法を改正し同事業の社会的責任を規定したことを挙げ、「シェアリングエコノミーをJISの対象から外せ」と求めました。

世耕弘成経産相は「求められれば、シェアリングエコノミーについても(JIS)認証する」と述べ、除外しない考えを示しました。

2018年5月28日付赤旗より転載


議事録を読む
○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 代表して、不正競争防止法等改正案の反対討論を行いますが、その前に一言申し上げたいと思います。
国民の共有財産ともいうべきデータが公文書であります。この公文書が改ざん、捏造、隠蔽をされてまいりました。いとも簡単にこの公文書を変造する政府が、データを語る資格があるのか、法案審議できる前提条件があるのか、大きな疑問であります。
昨日、国会に提出された愛媛県の文書は、総理の友人が経営する学園に便宜が図られ、行政がゆがめられ、私物化をされたことを如実に示すものであります。反証は政府・与党の責任であります。
一権力者を守るために虚偽答弁が繰り返される、権力者に不都合な公文書は隠蔽され、改ざんされる、これは民主主義ではありません。これ以上、一権力者のために国会が愚弄され、軽視され、その権威を地におとしめられる、これは、この委員会としても、国会としても、与党、野党関係ありません、断固拒否すべきであります。
それでは、法案の反対理由を述べます。
第一の理由は、脆弱な個人情報保護制度の下、内外資本の新ビジネス最優先でデータ利活用を推し進めることがプライバシーなどの人権侵害をもたらしかねないからです。
本法案は、生産性向上特措法と一体的にデータ流通環境を整備するものです。この間、行政機関が保有する個人に関わるデータも含む官民データのオープン化とビッグデータの利活用が促進されてきました。その一方で、個人情報保護ルールは遅れたままです。個人の尊厳の観点から個人情報の自己コントロール権を保障したEUと比べても、極めて脆弱です。たとえ、匿名、非識別加工を施したとしても、データ量が増えれば個人の特定に至る、その危険を一層深刻にするものです。
第二は、迅速化ありきでJIS制定を民間任せにすることが国民生活や産業活動の基盤となる公的規格への信頼を後退させかねないからです。
これまでJISを審議してきた日本工業標準調査会では、制定過程の議事録や資料の公開により、専門性とともに客観性や透明性を確保してきました。ところが、民間認定機関の情報公開はパブリックコメントの募集にとどまります。これでは、JISへの信頼性を損なうのみならず、品質管理能力の向上や事業機会の確保にJISを役立ててきた八割近い中小企業にも悪影響を及ぼしかねません。
第三は、JISにサービス分野のいわゆるソフトロー的な役割を担わせることで、業法による安全性や信頼性が担保されないシェアリングエコノミーが促進されるからであります。
政府、経産省は、道路運送法が禁止する白タクを相乗りマッチングサービスとして容認するなど、業法規制もないプラットフォーム事業を野放しにして、無権利、不安定な労働者を生み出しかねないシェアリングエコノミーを拡大しようとしています。標準化による市場獲得の名の下に、JIS化で一見、国のお墨付きを得たように見えても、トラブルの際は利用者の自己責任が原則で、業法のような規制の役割は果たせません。
七十年掛けて培ってきたJISの信頼の土台を崩すことになりかねない、このことを厳しく指摘し、反対討論とします。