165名を職場に戻せ!JAL不当解雇と空の安全の問題で質問
以下、「しんぶん赤旗」より転載。
2015年3月20日(金)
JAL 人員不足深刻
辰巳議員 不当解雇 復職求める
参院予算委
日本共産党の辰巳孝太郎議員は19日の参院予算委員会で、日本航空が会社更生中の2010年末にパイロットと客室乗務員165人を解雇した後、深刻な人員不足で空の安全が脅かされる事態に陥っている問題を示し、解雇者の職場復帰のため政府の対応を求めました。
解雇強行後、日航による客室乗務員の新規採用は15年の予定数を含め2280人(表)。辰巳氏は「現場では、退職があとを絶たず、新規で雇っても辞めていく」と実態を告発。客室乗務員が安全に重要なドアモードの変更を忘れてドアを開けた事例等をあげ、入社3年未満の契約社員の比率が高まって現場に余裕がないことに警鐘を鳴らしました。
パイロットの退職者は144人、グループ全体で250人で、辰巳氏は、パイロットのフライト時間が制限いっぱいに迫り、訓練教官を務めるパイロットも路線運航に投入せざるを得ない状況を指摘しました。
太田昭宏国土交通相は「運航の安全が確保されていることを確認している」と述べ、実態に背を向けました。
辰巳氏は、「(毎年1600億円~2000億円という)空前の利益をあげ、人員も不足しているのに、なぜ解雇者を戻さないのか」と追及。太田氏や塩崎恭久厚生労働相は「個別企業の問題だ」として無責任な態度をとりました。
辰巳氏は、解雇者の復職へ向けて労使協議を求めた国際労働機関(ILO)の勧告について日航が「(政府の)当局の要請に応じる」と労働組合に答えていることを指摘。「協議の場の設定のため、政府が動くべきだ」と強調しました。
以下、会議録を掲載。
○委員長(岸宏一君) 次に、辰巳孝太郎君の質疑を行います。辰巳孝太郎君。
○辰巳孝太郎君 乗客乗員五百二十名が犠牲になった御巣鷹山の事故から今年で三十年。日本航空の経営破綻、そしてJALの再建過程で行われた整理解雇、空の安全についてお聞きいたします。 まず、政府はJALにどのような支援をしたのか、説明してください。
○政府参考人(田村明比古君) 日本航空の再生に当たりましては、二〇一〇年一月に企業再生支援機構が支援決定を行いまして、同時に、東京地方裁判所において会社更生手続の開始決定が行われたものと承知しております。企業再生支援機構による支援といたしましては、三千五百億円の出資が行われたほか、同機構と政策投資銀行による三千六百億円のつなぎ融資等が行われたものと承知しております。
○辰巳孝太郎君 なぜJALに支援をしたんですか。
○政府参考人(田村明比古君) 日本航空の経営破綻に際しましては、当時の政権下におきまして、同社が我が国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っており、我が国の国民生活、経済社会活動にとって必要不可欠であることから、企業再生支援機構による全面的な支援の下、その再建を図ることとしたものと認識をしております。
○辰巳孝太郎君 JALの更生計画では、一万六千人もの大量の人員削減を伴うものでもありました。労働行政に責任を負う厚生労働大臣ですが、企業再生機構の支援、買取り、出資の決定に当たり、どのように対応したんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 企業再生支援機構が日本航空に対する支援決定を行う際に、厚生労働省にも事前に機構より意見照会がございました。その際、厚生労働省からは、日本航空、日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルに対する支援決定については、念のため申し上げると、これは民主党政権下のことでありますが、この支援決定については異存がない、それから支援決定後速やかに労働者との協議を行うよう指導するとともに、事業再生計画の実施につき助言、指導するに当たっては、関係法令の遵守及び労働者との協議の状況への配慮をお願いする旨の意見を提出をいたしております。また、機構の買取り決定、それから出資の決定の際にも事前に意見照会があり、同様の趣旨の意見を提出してございます。
○辰巳孝太郎君 雇用の安定等に配慮した労働者との十分な協議の状況への配慮ということになっているんですが、労働大臣、それは尽くされたんでしょうか、配慮を尽くされたんでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今の機構が日本航空に対する支援、買取り、出資を行うか否かを決定するに際して、厚生労働省から提出した意見も踏まえて行われたものと認識をしております。
○辰巳孝太郎君 大臣、これ実際には十分な協議、労使協議ですね、尽くされていなかったわけなんです。人員削減目標も、希望退職、自主退職などで、既にパイロットで百十名、客室乗務員で七十八名も超過達成をしていたわけなんですね。にもかかわらず、その年の二〇一〇年十二月三十一日の大みそかに、パイロット八十一名、そして客室乗務員八十四名の合計百六十五名が整理解雇されたわけであります。この整理解雇の無効を求めて裁判が行われ、昨年六月の東京高裁で原告敗訴の判決、今年二月には最高裁は上告棄却、そして不受理の決定をしたわけであります。 ところが、機構がこの整理解雇直前に行った不当労働行為が東京都労働委員会で認定され、昨年八月、地裁でも認められました。それがどのようなものだったのか。平成二十三年(行ウ)第五一〇号五十七ページの「本件発言は、」以降の一文を読み上げてください。
○最高裁判所長官代理者(菅野雅之君) お答えいたします。 ただいま委員御指摘の部分には、本件発言は、使用者(更生三社の更生管財人)である機構の労務担当のディレクター及び管財人代理が、参加人らの各執行部に対し、労働組合の内部意思形成過程である争議権確立のための一般投票が行われている最中に、参加人らが争議権を確立したときは、これが撤回されるまで、機構は、更生三社に対する三千五百億円の出資を行わない旨意思決定したことを伝えるもので、争議権を確立したことによって原告の二次破綻、ひいては参加人らの組合員らの解雇にもつながるという参加人らにとって不利益なことが生じる旨伝えるものであるから、労働組合の運営である争議権の確立に対して抑制を加える行為にほかならず、労働組合法七条三号に言う労働者の労働組合の運営に介入する行為であると認めるのが相当であるとの記載がなされております。
○辰巳孝太郎君 機構、管財人が行った行為がはっきりと断罪されているわけであります。機構は虚偽の説明までして不当労働行為を働いたということも、この同判決では指摘をされております。 厚生労働大臣、この判決をどのように受け止めておられますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 本件につきましては、今お話がありましたように、二〇一四年の九月九日にJALが控訴をして、現在、東京高等裁判所に係争中でございまして、コメントは差し控えたいというふうに思います。
○辰巳孝太郎君 これ、政府が出資する支援機構の管財人による不当労働行為ですから、私は全く無責任な答弁だと思います。 この整理解雇の必要性については、元会長の稲盛氏が必要なかったと裁判でも言っております。さらに、手続の妥当性についても、この不当労働行為で欠いていると言わなければなりませんし、そのことを全く考慮せずにこの解雇を追認した高裁判決、最高裁の上告棄却は不当判決だと言わなければなりません。 では、このJALで、この現場で、今一体何が起こっているのかということを質問していきたいと思います。 今、JALでは客室乗務員の退職が後を絶ちません。確認しますけれども、JALは整理解雇後、客室乗務員を何名採用していますか。
○政府参考人(田村明比古君) 日本航空における客室乗務員の採用は二〇一二年度から再開しておりまして、二〇一二年度は約六百五十名、二〇一三年度は約六百六十名、二〇一四年度は約五百八十名を採用していると聞いております。
○辰巳孝太郎君 これは皆さんの手元の資料二に付けております。 つまり、二〇一二年、二〇一三年合わせて千三百十名を採用しながら、二〇一四年現在で四百九十四名しか増えていない。つまり、六割以上は辞めているわけですね。JALはベテランを切りましたから、これ、定年退職で辞めている人は基本的にはいません。四千九百十五人のうち契約社員が七百七十三人、つまり入社三年未満の新人ばかりなんですね。二〇〇六年と比較しても、比率が三倍になっている。この後、更に採用していますから、この比率は更に高くなっております。 二〇一五年の採用まで含めると、二千二百八十名を新規に採用することになっております。しかし、新規で雇っても辞める、そしてまた雇う、採用する。辞めたらまた採用すればいいというのは、私はブラック企業の典型やというふうに思うんですね。 JALの平均勤続年数も見ておきたい。 二〇〇八年は十三・八年だったわけですが、二〇一四年は九・五年。つまり、七割に落ち込んでいる。これで現場の労働者が新人の非正規に置き換わっているということが私言えると思うんです。 ですから、経験者が減って、現場では余裕がなくなっている。JALでは、カートの転倒や飛び出しなど基本的なミスが相次いで、今年に入っても、ドアモードの変更を忘れてドアを開けてしまい、緊急脱出用のスライドが危うく出る直前までなりました。 国交大臣にお聞きします。新人が多くベテランが少ない職場では、運航の安全に影響を与えると思いませんか。
○国務大臣(太田昭宏君) 日本航空を含めまして、航空会社で採用された客室乗務員は、認可された運航規程に従い適切な教育訓練を実施し、必要な能力を有していることを確認した上で客室業務に従事させることとしています。また、航空会社において客室乗務員として任用された後も会社において定期訓練を行っており、国土交通省といたしましても、定期及び随時の安全監査を通じまして、運航の安全が確保されていることを確認しているところでございます。
○辰巳孝太郎君 事故がないことイコール安全であるとは私は限らないと思うんですね。 私自身の聞き取り、組合が行ったアンケート調査を紹介したいと思います。かつては複数で一人の新人を見ていたけれども、今は一人で複数の新人を見なければならない。新人ばかりで自分がミスを犯すのではないかとの焦燥感に駆られる。深刻なのは、現場全体に余裕がなくなり、新人がベテランに気軽に分からないことを尋ねにくくなっている。私は、こういう声だと思うんですよ。ですから、現場からも、解雇されたベテランに帰ってきてほしいという、そういう切実な声が出ているわけであります。 これ、客室乗務員だけじゃないんです。パイロットもこれ深刻です。パイロット不足はどのように政府は認識していますか、その対策も含めてお答えください。
○政府参考人(田村明比古君) 現在、我が国におきまして、LCCの急速な事業拡大等を背景に、LCCや中小の航空会社におきまして短期的なパイロット不足が課題となっております。さらに、大手航空会社を含めた我が国航空業界全体では、今後の航空需要の増大やパイロットの大量退職に起因して、二〇三〇年頃にかけて中長期的なパイロット不足の発生が懸念されております。 現在、我が国航空会社への新規のパイロット供給数は年間百五十から二百名程度でございますけれども、こうした中長期的なパイロット不足に伴いまして、二〇三〇年には年間三百から四百人規模で新規パイロットの供給が必要になると見込まれております。そのため、こうした短期的、中長期的なパイロット不足に対応していくために総合的な対策を講じていくことが必要とされております。 このような状況を踏まえまして、国土交通省におきましては、パイロット等の不足に対応するため、交通政策審議会の下に設置された小委員会において、昨年七月にパイロット等の養成確保策を取りまとめました。 これを受けて、短期的には、即戦力となるパイロットの確保のために、自衛隊パイロットの割愛、それから外国人パイロットの活用促進のための制度の見直し、それから健康管理体制の充実等による現役パイロットの有効活用の三本の柱を中心といたしまして、必要な対策に既に着手しております。中長期的には、若手パイロットの供給拡大を図るために、航空会社による自社養成の促進、それから奨学金制度の充実等による民間養成機関の供給能力の拡充、そして航空大学校の更なる活用、この三つの柱を中心に必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○辰巳孝太郎君 先ほど、二〇三〇年問題というのがありました。JALはベテランを軒並み解雇しておりますから、それよりも六年早く、二〇二四年問題となるわけですね。あと九年です。問題は、整理解雇以降にこのJALでは百四十四名のパイロットの退職があり、グループも合わせますと二百五十人にも上るということであります。 じゃ、なぜ辞めていくのか。組合のアンケートを紹介しますが、ここでは会社の信頼関係を理由に挙げて転職を考えるとの回答が多いわけです。整理解雇を挙げて、乗員は大切にされていると思えるような職場環境をつくるべきだという声が上がっており、整理解雇が乗員のモチベーションをも低下をさせているということがうかがえると思います。 大臣にもう一度聞きますが、モチベーションも下がる、乗員が流出するようなこういう事態にJALはなっている、これでは運航の安全に支障が出るんじゃないでしょうか。
○国務大臣(太田昭宏君) 航空需要の増大に対しましてパイロットが不足している、若い人をどう参入していただくかということについて、航空局長から今お話があったとおりです。 日本航空におきまして、整理解雇の問題によってパイロットのモチベーションが下がっているとは聞いておりません。 日本航空も含めて、航空会社のパイロットは、航空会社において操縦業務に従事させるに当たりまして、認可された運航規程に従い適切な教育訓練を実施し、必要な能力を有していることを確認をしているところでございます。また、その後も航空会社において定期訓練、審査を行い、必要な能力が維持されていることを確認しておりまして、国土交通省も定期及び随時の安全監査をやっておりまして、安全運航に必要な航空会社の体制が確保されていることを確認しているということでございます。
○辰巳孝太郎君 大臣、モチベーションの低下ということは聞いていないということをおっしゃいましたけど、会社がそんなの言うはずはないわけですね。実際にはぎりぎりなんですよ。訓練という話がありましたが、稼働が上がって、乗務時間制限に迫るパイロットが続出して、シミュレーション訓練に当たっていた教官などを路線運航に投入せざるを得なくなっていると。ですから、訓練が進まないという弊害が出ているわけでありますね。 繰り返しますが、事故がないということイコール安全ではないということであります。JALの現場で起こっている事態を私は重く見るべきだと思います。 それから、割愛制度がありましたけど、もう一度ちょっと、政府、割愛制度の概要を教えてもらえますか。
○政府参考人(田村明比古君) 一時停止をしておったわけでございますけれども、自衛隊におきまして操縦士をやっておられた方、一定の年齢を超えるとなかなか戦闘機などの操縦に適さない、そういう方でもまだ民間の航空機の操縦というものは十分にしていただけると、こういう方について希望を取って、支援協会が民間航空会社とのマッチングをしていただくと、こういうことで割愛をする制度でございます。
○辰巳孝太郎君 整理解雇されたパイロット八十一名中、実は二十四名が割愛制度を利用してJALに行かれた自衛隊出身者であります。 防衛大臣、あなたは元自衛官。かつての同僚がまたあの空に帰りたいと闘っているわけであります。割愛制度で送り出す側として整理解雇問題の解決は必要不可欠だと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(中谷元君) 平成二十二年十二月に日本航空が行った操縦士の整理解雇に元自衛官が含まれている事実については承知しておりますけれども、本件は個別企業における雇用関係に係る事案でありまして、当省としてはコメントする立場にはありません。 いずれにせよ、割愛制度というのは、自衛隊操縦士の無秩序な流出を防止し、適切な年齢構成を確保することに加え、民間航空業界の発展という観点からも意義があると考えておりまして、今後もこの制度を本人と民間航空会社双方の希望を踏まえた形で活用してまいりたいと思っております。
○辰巳孝太郎君 非常に冷たい対応、答弁だと思いますね。 これだけ人員が足りない、しかも新規採用しているのに戻さない。私は、常識的に考えて理解できません。JALには、では全くお金がないのかと。 改めて聞きますが、JALの二〇一一年度以降の営業損益はどうなっていますか。
○政府参考人(田村明比古君) 二〇一一年度以降というお尋ねでございますけれども、日本航空における連結営業利益、二〇一一年度が約二千四十九億円、二〇一二年度は約千九百五十二億円、二〇一三年度は約千六百六十七億円、そして二〇一四年度の見通しは千六百七十億円となっております。
○辰巳孝太郎君 莫大な利益ですね。 続けて聞きますが、じゃ、そもそもJAL破綻の原因は何だったんですか。
○政府参考人(田村明比古君) 日本航空の破綻の原因につきましては、経営破綻前の同社というのは、不採算路線の存在に加えまして、燃費効率の悪い大型機の大量保有等の構造的な高コスト体質となっていたものと考えております。それから、当時、同社におきましては、硬直的な組織体制や意思決定の遅れが指摘されておりまして、これらが抜本的な改革の遅れにつながったものと考えられます。 これらに加えまして、二〇〇八年以降の世界同時不況、それから新型インフルエンザによる影響、こういったものを受けて航空需要が著しく減少し、特に国際旅客収入が減少したと承知しております。 以上の結果、厳しい経営状況に至ったものと判断しております。
○辰巳孝太郎君 つまり、いずれも労働者の責任ではないということですね。 では、続けて聞きますが、この整理解雇された人たちはなぜ解雇されなければいけなかったんですか、その基準を聞きます。
○政府参考人(田村明比古君) 日本航空によりますと、整理解雇対象者の人選基準につきましては、病気欠勤日数や休職期間等による基準を設定しまして、それでも目標人数に達しない場合は年齢の高い者から順に対象とする、そういう基準を設けたというふうに聞いております。
○辰巳孝太郎君 つまり、ベテランから切ったと。病気を自己申告した、体調が悪いことを自己申告して休職した人も対象になったということであります。つまり、解雇された方々は技術や勤務態度で劣っていたからではないわけです。能力もあった人たちであります。会社側の論理でいっても、解雇になることで再建に貢献をした人たちであります。 さらに、今JALが空前の大もうけを上げている中で、解雇以降、客室乗務員であれば二千名以上を採用し、パイロットは不足し、定年を延ばしてまでベテランに飛んでもらおうとしているわけです。なぜ彼らを、彼女たちを戻さないのか、誰も理解できない。余りにも冷たく、理不尽ではないかと私は思います。 政府はこの間、円満に解決を図っていただきたいという立場と繰り返し述べておられます。そして太田大臣も、解雇ということに遭った人たちの気持ちというのは、私は思いをはせていると答弁をされています。 国交大臣、彼らに戻って働いてもらうことが望ましいと思いませんか。
○国務大臣(太田昭宏君) 日本航空を二〇一〇年末に整理解雇されました客室乗務員及び運航乗務員が解雇の撤回を求めた訴訟におきまして、最高裁は、それぞれの上告を棄却し、整理解雇は有効であるという判決内容は確定したものと承知しています。 いずれにしましても、日本航空の整理解雇につきましては、個別企業における雇用関係に係る問題であることから、日本航空において適切に対処すべきものと考えております。このため、行政としての関与をすることは適切ではないと考えております。
○辰巳孝太郎君 大臣、政府が関わった解雇ですからね。これ、絶対無責任な答弁は許されないと思います。 では、塩崎大臣、JAL再建の過程で公的資金が入り公正な競争が損なわれていると、大臣、警鐘を鳴らしてこられましたけれども、今は労働行政の長として、JALの健全な再建には整理解雇された労働者を戻すことが必要だと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これ、今国交大臣からお答えになったとおりで、個別企業の採用に係る事案でございますので、コメントは差し控えたいというふうに思います。
○辰巳孝太郎君 この整理解雇問題というのは国際的にも注目をされております。 二〇一三年十月のILOからの勧告、パラグラフ六十六はどのようなものですか、紹介してください。
○政府参考人(石井淳子君) 御指摘の第三百七十次結社の自由委員会報告書のパラグラフ六十六でございますが、さらに、申立人によれば、会社が二〇一二年、九百四十人の客室乗務員の採用を発表したことに留意しつつ、委員会は、前回の本案件に関する審議のときから、会社が再生計画を策定する際に労働組合との十分かつ率直な協議を行うことが重要としてきたことを想起し、経済的理由のため雇用契約終了となった労働者の再雇用に関する、関係する労働組合の見解が考慮されるよう、新規の採用活動においてそのような協議が全ての関係する労働組合とともに実施されることを期待する、このような内容が記載されていると承知いたしております。
○辰巳孝太郎君 つまり、新規にも採用されている、整理解雇された人たちを戻すための協議をと、ここまで踏み込んでいるのがこのILOの勧告であります。 では、この勧告に対して政府はどのような具体的な対策を取ったんですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 労使が自主的な協議を確保するために、我が国では、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否することなどを不当労働行為として禁止をするとともに、労働委員会による救済制度を整備をしております。 ILO第三百七十次勧告のパラグラフ第六十六において指摘をされております、経済的理由のため雇用契約終了となった労働者の再雇用に関する事項についても、労使の協議事項となり得ると思います。仮に、使用者が正当な理由なく交渉を拒否した場合、組合が救済を申し立てれば、労働委員会が公平中立な立場で個別の事案に即して判断する仕組みを既に設けているところでございまして、この仕組みによってILO結社の自由委員会の勧告についても対応できているものと考えております。
○辰巳孝太郎君 大臣、再雇用のための協議は一切していないんですよ。一般的な団交の話をしているんじゃないんです。ここではっきりと、JALが新規採用を行っている下で整理解雇された人たちを戻すための協議をILOは求めているわけですね。これは政府に対してですから、法的な枠組みが整っているからといっていいというのであれば、私は労働行政は必要ないと思います。 最後に一問。会社は組合に対してこうも言っております。ILOの勧告に関しては、当局の要請に応じて今後とも適切に対応していく考えです。大臣、これは知っていますね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 労働組合から、会社側が今御指摘のような当局の要請に応じて今後とも適切に対応してまいりたいと発言をしているとの情報はいただいておるところでございます。
○辰巳孝太郎君 情報はあるんですから、これは政府が主体的に動くべきだと思います。政府が協議の場の設定のために動くべきだと、JALで整理解雇された人たちをもう一度空に戻すべきだということを訴えて、私の質問を終わります。
○委員長(岸宏一君) 以上で辰巳孝太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
以下、委員会当日配布した資料を転載。