日本共産党 衆院比例 近畿ブロック たつみコータロー

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国会会議録

JR東海 リニア活断層対策なし 「地震に強い」は安全神話

日本共産党の辰巳孝太郎議員は26日の参院国土交通委員会で、JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線について、熊本地震と同程度の地震を引き起こす危険のある活断層帯が路線を横切っているにもかかわらず安全神話を振りまいてきたJR東海と国の責任を追及しました。

 辰巳氏は「最も重要な使命は安全であり、事業化の大前提だ」と強調した上で、リニアの路線が、糸魚川―静岡構造線断層帯、曽根丘陵断層帯などマグニチュード7超の地震を起こす危険のある七つの活断層帯を横切り、活断層の数は30を超えていると指摘しました。

 辰巳氏が「活断層のリスクを評価し、対策をとっているか」とただすと、国交省の藤田耕三鉄道局長は「個別の活断層のズレに対する評価はしていない」と認めました。

 辰巳氏は、国交省のリニア実用化に向けた技術評価委員会が活断層の評価もせずに「技術や運営方法が確立している」と結論付けたことを追及。活断層がずれて軌道が破壊されれば、時速500キロメートルのリニアが破損した構造物に激突する危険があると強調しました。

 辰巳氏は「リニアが地震に強いシステムだと楽観論を振りまいてきたJR東海と、認可した国の責任は重い」と批判し、建設をやめるよう迫りました。石井啓一国交相は「JR東海に、リニアが多くの活断層と交差することを踏まえ、万全の対策を行うよう指導していく」と答えました。

2016年5月27日付「しんぶん赤旗」より引用

議事録を読む

○辰巳孝太郎君 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 本法案は、インスペクションの活用を促してチェックをする仕組みを設けて、既存住宅を長く安心して住み続けられるものとして取引するもので、賛成をいたします。

熊本地震でも建物の耐震性に大きな課題があったということも明らかになりました。今日は、これに関わって、リニア中央新幹線の地震対策について取り上げます。

質問の冒頭、大臣に確認しますけれども、このリニアの認可の条件はJR東海が全額自己負担をするということだったと思いますけれども、イエスかノーかだけで結構です。

○国務大臣(石井啓一君) 御指摘のとおりでございます。

○辰巳孝太郎君 報道にありますとおり、今政府による金融支援を検討との報道があります。

大臣、これ、自己負担ということと矛盾するんじゃないでしょうか。

○国務大臣(石井啓一君) リニア中央新幹線の整備促進のために何ができるかといったことにつきましては、財政投融資の活用も含めて、現在様々な観点から検討を行っているところでございますが、具体的な結論を得ているという状況ではございません。

○辰巳孝太郎君 繰り返しになりますけれども、認可の前提条件が全額自己負担ということですから、リスクを国が背負うということに財政投融資であってもなるわけで、私はもう前提条件が崩れたと言わなければならないと思います。

そして、リニアですね、これが安全なのかということであります。今日はこれを取り上げたいと思うんですが、公共交通機関として最も重要な命題、これが安全であります。事業化に当たっての大前提でもあったわけであります。

まず、今日は、資料にもお付けしましたけれども、このリニアの建設が予定されている路線、この品川―名古屋間で具体的にどの活断層帯を通過することになるのか、そしてその場合の地震発生確率と相対的評価というのを文科省に聞きたいと思います。

○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。

今御指摘の活断層でございますけれども、七つの活断層帯と承知をしております。

この活断層帯につきましては、一つ目が糸魚川―静岡構造線断層帯の南部区間。これにつきましては、発生確率及び相対的な評価も申し上げますと、発生確率はほぼ〇から〇・一%で相対的な評価はやや高いというものでございます。また、次の曽根丘陵断層帯につきましては、一%で相対的評価はやや高い。木曽山脈西縁断層帯主部の南部区間につきましては、ほぼ〇から四%で相対的評価は高い。同じ断層帯の清内路峠断層帯については、地震発生確率は不明でございますが、相対的評価も表記なし。また、伊那谷断層帯主部及び阿寺断層帯主部の南部区間については、ほぼ〇%で相対的評価は表記がございません。そして、屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯の赤河断層帯につきましては、地震発生確率は不明で相対的評価は表記なしと評価しているところでございます。

○辰巳孝太郎君 ありがとうございました。

日本には約二千の活断層があると言われておりますけれども、その中でもマグニチュード七程度の地震を引き起こす可能性があるだろうという断層帯約百を抽出しているわけですけれども、そのうち七つもの断層帯を通過するというのがこのリニアであります。

この評価につきましても、例えば今回の熊本地震では、前震と言われているマグニチュード六・五の日奈久断層帯はこれは元々表記なしとされていたものでありますし、二回目の本震、これマグニチュードが七・三でしたけれども、布田川断層帯ですけれども、これはやや高いと、こういうふうに評価をされてきたものであります。そのほか、活断層研究会が編集した「日本の活断層」によれば、藤の木―愛川構造線、中央構造線、下伊那竜東断層、飯田―松川断層、立花断層にかかるというものでありまして、これらを合わせますと、断層ということでいえば三十を超えるということになろうかと思います。

それでは、一方で東海道新幹線どうなのかと、活断層どうなのかということを確認したいと思います。どうですか。

○政府参考人(藤田耕三君) お答えいたします。

先ほど、文部省に設置された推進本部から公表されております最新の資料によりますと、東海道新幹線と交差をしている主要活断層帯は九つございます。国府津―松田断層帯、北伊豆断層帯、富士川河口断層帯、屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯、柳ケ瀬・関ケ原断層帯、鈴鹿西縁断層帯、琵琶湖西岸断層帯、三方・花折断層帯、上町断層帯、以上でございます。

○辰巳孝太郎君 非常に多いわけですね。東海道新幹線だって、これリスクがあるということだと思うんですね。

じゃ、JR東海は、この活断層に対する対策、東海道新幹線、やっているんでしょうか。

○政府参考人(藤田耕三君) 東海道新幹線につきましては、JR東海におきまして、活断層帯と交差している丹那トンネル、それから東山トンネルの二つのトンネルにおきまして、ロックボルト、これはトンネルと地山を一体化してその効果を発揮するための支保部材でございますけれども、このロックボルトによる対策を実施していると承知しております。

それから、東海道新幹線全線におきまして活断層帯を含め大きな損害が予想される区間では、盛土区間におきましてシートパイル工法による強化、これは鋼矢板を埋め込むことによりまして盛土の崩壊を防ぐ工法でございますけれども、こういった強化や、橋桁がずれて落下することを防止する落橋防止等の対策が行われております。

○辰巳孝太郎君 活断層に対するリスクの評価というのはJR東海やっていますか。

○政府参考人(藤田耕三君) 東海道新幹線でありますか。

今申し上げたように、活断層帯等を含む部分については所要の対策を講じていると、こういうことでございます。

○辰巳孝太郎君 先ほど二つのトンネル、ロックボルトという話ありましたけれども、しかし、活断層というのは九つですよね。これまで聞いていたところによりますと、JR東海というのは、一般的な例えば耐震補強であるとかそういうものはやっていますけれども、しかし、断層のずれ、活断層直下型だとずれますね、これについてはどうですか。

○政府参考人(藤田耕三君) 大きな損害が予想される区間においては強化等の対策を講じているというところでございます。

○辰巳孝太郎君 ちょっと明確じゃないんですね。

断層のずれ、どうですか。

○政府参考人(藤田耕三君) 繰り返しになりますけれども、活断層帯を含めて大きな損害が予想される区間では所要の強化等の対策を行っているということでございます。

○辰巳孝太郎君 明確な答弁にならないんですね。つまり、JR東海というのは活断層のずれに対する対策というのは特段やっていないということなんですね。

リニアですけれども、リニアは地震に強いとこれまでJR東海は説明してきました。じゃ、具体的にどう地震に強いのか、その根拠を示していただけませんでしょうか。

○政府参考人(藤田耕三君) 超電導リニアの車両につきましては、在来型の鉄道とは基本的に異なっておりまして、U字型のガイドウエーに囲まれて走行いたします。このため、物理的に脱線しない構造になっております。それから、リニアモーターカー内の超電導磁石と地上に設置された浮上・案内コイルとの間で作用する強力な電磁力によりまして車両は常に軌道の中心に位置するように保持される性質があります。

こうしたことから、超電導リニアは地震に強いシステムと言うことができると思っております。

○辰巳孝太郎君 つまり、簡潔に言うと、脱線をしないということが在来、新幹線などと比べてリニアは優位性があるということでよろしいですか。

○政府参考人(藤田耕三君) 今申し上げたとおり、脱線をしないということで地震に強いシステムだということであります。

○辰巳孝太郎君 これ、つまり、脱線しないということは、揺れに対しての優位性があるということであって、断層変位に対してもリニアは優位性があるのか。これ、答えていただきたい。

○政府参考人(藤田耕三君) 今申し上げたように、脱線をしない、あるいは常に軌道の中心に位置するという、こういう性格がありますので、断層変位により多少のずれが生じた場合でも在来型の鉄道よりも安全性は高いというふうに思っておりますが、構造物自体の強度については同等のものであるというふうに思っております。

○辰巳孝太郎君 ですから、今おっしゃったのは、あくまで揺れに対して脱線をしないという優位性であって、例えば直下型の地震でガイドウエーなりに亀裂が走ったと、ずれたということに対しては優位性はないんですよ。これまでも様々な審議会の中で揺れに対する評価はしているんです。だけれども、ずれに対してはしていないんですよ。

例えば、二〇〇五年、超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会によりますと、安全性能の評価について、リニアではU字型のガイドウエー内を走行するシステムであることから、基本的には風や地震に対して在来鉄道よりも安全であると考えられると、こうしているわけですね。中央新幹線小委員会だって、ずれの評価はしていないんですよ。これ、していませんね、ずれの評価は。

○政府参考人(藤田耕三君) 断層変位についての評価ということであると思いますけれども、交通政策審議会の中央新幹線小委員会におきましては、トンネルと断層が交差する際にはロックボルトの打ち込み本数を増やすとか、あるいは覆工の裏側にコンクリートを埋めて補強する、こういった対策について審議をされております。

○辰巳孝太郎君 だから、ロックボルトというのはトンネルの構造物でしょう。これ、ずれに対する対策になりますか。これでガイドウエーは守られますか。どうですか。

○政府参考人(藤田耕三君) 断層と交差する際の強化、補強のための対策というふうに認識をしております。

○辰巳孝太郎君 ですから、ガイドウエーが頑強だから、また、磁気コイルがあるので脱線はしないということを評価してきたわけですよ。だけれども、今、ロックボルトというのは、トンネルの構造物が大丈夫なのかという話ですね。それをそういう評価はしているんです。

だけれども、断層が変位した場合、直下型で、今日の資料にも付けていますけれども、三メーター、最大六メーターずれるところもあるんです。十センチの幅しかないわけでしょう。そういう評価はしているのかと、リスクの評価はしているのかということを聞いているんです。断層のずれ。

○政府参考人(藤田耕三君) 個別の断層のずれに対する評価という意味ではしておりません。

○辰巳孝太郎君 していないんですよ、していないんです。揺れに対する評価しかしていないんですね。

この間、二〇〇九年の技術評価委員会でも、超電導リニアの特性と考え方が示されて、それらへの対応方針が新幹線及び山梨実験線先行区間の経験に立脚して明確化されており、設定された条件に対応可能な技術や運営方法が確立していると結論付けているわけですよ。これだって、揺れに対する評価しかしていないんですよ。ずれの評価はしていないんだけれども、大丈夫なんだということをもう言っちゃっているわけですね。

とするならば、あれだけ活断層、横切るリニアの断層変位、これ、リスクの評価もせずにリニアは地震に強いシステムだと、こう説明してきたことに私は重大な瑕疵があると思いますよ。JR東海はこれまで丁寧な説明、丁寧な説明と言ってきたんですけれども、全く全然違うじゃないかと私は思うんですね。

直下型の地震が起きた場合は、ガイドウエーは破断します。破断箇所を通過すれば、列車はガイドウエーに直撃するか、その後トンネルの構造物に激突することが予想されます。リニアはすぐに止まれません、時速五百キロですから。ブレーキを掛けてから停止するまでの制動距離は新幹線の倍、六キロですから。これ、むしろ断層変位では地震被害のリスクが高いというのがリニアじゃないですか。どうですか、局長。

○政府参考人(藤田耕三君) 脱線をしにくいとか、あるいは常に中央部に保持される性格であると、こういった意味で地震には強いシステムだと考えております。

○辰巳孝太郎君 だから、それに限っているということなんですよ。あくまで揺れなんですよ。ずれじゃないんですよ。

大臣、これ、これまで、リニアの建設は東海地震など、南海トラフ、地震の対策のために二重化するんだということが目的で、地震に強いシステムだと楽観論を振りまいてきたわけですよ、JR東海は。それに国は追随して認可を出したわけですよ。

大臣、少なくとも工事をストップして、断層変位の評価をやり直すべきじゃないですか。

○国務大臣(石井啓一君) 鉄道構造物の整備に当たりましては、従来、阪神・淡路大震災や中越地震、これらは活断層による直下型の地震でございましたが、こういった地震における被災状況等を踏まえて新たな対策を講じ、さらに、その効果を検証しながら地震対策に関する知見を深める取組を積み重ねてまいりました。それらの知見は、鉄道構造物の設計施工の際に用いられる鉄道構造物等設計標準・同解説に反映をされておりまして、リニアの工事に当たっても、JR東海は、これに基づき活断層部分を含め地震に対する安全対策を講じることとしております。

さらに、活断層と交差する箇所の具体的な構造については、先進ボーリングなどにより更なる地質の調査を行った上で、必要により専門家による検討委員会の助言を踏まえるなど、JR東海において慎重に検討がなされるものと承知をしております。

JR東海に対しましては、リニア中央新幹線が多くの活断層と交差することも踏まえまして、万全の地震対策を行うよう引き続き指導監督してまいりたいと存じます。

○辰巳孝太郎君 いや私は、調査はしているんですよ、だけど、今申し上げたのは新たな安全神話じゃないかと思いますね。

国を相手に事業認可の取消しを求める行政訴訟も起こされました。住民の納得もありません、活断層対策もまともに考えない、私は、こういうリニアの建設というのはやめるべきだということを申し上げて、質問といたします。終わります。